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僕の命はキミだけの物  作者: ユメのユメ
1/19

少年の物語はこれから始まる


「おい、お前早く出ろ」

いつもの声がする。

僕はいつも通りにその場所から出る。

今日はどっちに行くのだろう。

右に行く道は剣を持った人が刺してくる場所。

痛いのは嫌だ。

左に行く道は僕を水に沈めてくる場所。

苦しいのは嫌だ。

あの鎧の人は笑いながら僕の為だと言った。

物心ついた時からずっと繰り返してきた事。

痛いのは嫌だ。苦しいのも嫌だ。

だけど毎日同じ事が繰り返されてきた。

僕にとっては当たり前の日常だった。

でも今日は違った。

頭の上から何か被せてきた。

首に何か巻き付けてきた。

苦しい。けど何も思わない。

今日は初めて行く道だ。

見えないけどわかる。

今日は前に行く道だったのだ。

コツコツコツ

階段を上がって行く。

動きが止まった。

「外の様子は?」

「ハッ。いつでも行けます。」

誰かが話している。

「こいつもこれで終わりだな」

小さな声だったけど僕には聞こえた。

笑いながら話す声が。

僕はほっとした。

痛いのも苦しいのもやっと終わるんだ。

そう思っていたその時、首にチクッと何かが刺さった。

そして僕は静かに倒れた。







痛い。

僕は起きあがる。

僕は寝ていたみたいだ。

起きあがると同時にものすごい衝撃が右腕からはしった。

右手が無くなっていた。

何が起こっているのか僕には理解できなかった。

頭に被せられたものが無くなっていた為周りが見えた。

薄紫色の霧がかかっていて、初めて見るものだった。

「ここはどこ?」

周りを見渡してみると後ろに大きな生き物と良く知っている鎧の人が2人倒れている。

「ここはどこ?」

僕は倒れている人に声を何度もかけた。

でも返事がない。

赤い水たまりが出来ていて僕の右手から赤い液体がポチャポチャ落ちている。

僕は理解した。

「僕と同じで痛い痛いなんだね」

僕はにっこり笑った。

初めて見る景色に僕はすごい感動した。

右手が無くなっていることすら僕は気にしなかった。

痛いのは慣れているから。

僕はふらふらしながら歩き出した。

初めて見る光景が嬉しいからだ。

右手の痛みなんて気にもならなくなった。

赤い液体を垂らしながら歩いた。

歩いていると声がした。

「ここから今すぐ立ち去るがよい」

声が聞こえた方に振り向くとそこには金色と銀色が混じった髪の子がそこに立っていた。

初めて見たその子に僕は可愛いって心に思ってしまった。

「なっ。死にたくなければ今すぐ立ち去れ」

綺麗な声が先程より高くなった声で僕に話した。

「死にたくなければ今すぐ立ち去れってなあに?」

僕は聞き返した。

わからなかったのだ。

鎧の人達はそんなこと話していなかったから。

「馬鹿にするなら今すぐ死ね」

その子はそういうといきなり僕の目の前に現れた。

現れた瞬間胸に今までにない痛みが発した。

刺されていたのだ。

「鎧の人達と同じで今日も痛いやつなんだね」

今までにない痛みと苦しさが僕に走っている。

息も上手く出来ない。

僕は左手でその子の顔に手を伸ばした。

初めての感触だった。

柔らかくて、暖かくて、何よりその子が可愛くて、初めて見たその子になんとも言えない感情が湧いてきている。

「お前の事は良くわかった。我と供にするが良い」

その子はすごい可愛い笑顔をくれた。

そして僕も笑顔でその子を見た。

痛かったのが何も感じない。

目の前が真っ暗になっていく。

嫌だ嫌だ嫌だ。

暗くならないで。その子を見させて。

もう声が出ない。

そして目の前が真っ暗になった。




ああ。これが死ぬって事なんだ......





「いつまで寝ているん」

声が聞こえる

「早く起きるんだ」

僕はその声で起きた。

ゆっくり起きあがるとその子が隣にいた。

「やっと起きたか」

「僕は死んじゃったの?もう痛くない?苦しくない?」

その子は笑顔で笑った。

その子の笑顔はとても可愛くてみとれてしまった。

「お主は生きている。我がいるからな」

僕は良くわからなかった。

何が起きてるのかも、何を話しているのかも。

キミは誰なんだろう。

「我は名無しの王と呼ばれてる」

「えっ?僕何も言ってないよ」

「我は心の声が聞こえるからな」

その子は笑顔で僕に話した。

「可愛いなんて初めて言われたぞ」

その子は少し恥ずかしそうにしながら言った。

僕も少し恥ずかしかった。

(こうやって話す事もできるぞ)

その子は話していなかった。

僕の心に直接話しかけてきたのだ。

「そんなことが出来るんだね。ここはどこなの?」

「我はドッペルゲンガーだからな。故に名無しの王と呼ばれている。ちなみにここは我の住処だ」

「ドッペルゲンガー?」

「うむ。」

「そうなんだ。」

言ってることはわからなかったけど分からないものは分からないので納得する。

「あの鎧の人達は?」

「あいつらは我の住処に侵入してきたから魔法で消したのよ。まさか生き残りがいるとは思わなかったがな」

その子はまたにっこりと笑った。

(あぁ、可愛いなあ)

「主よ。可愛いと言うのはやめてほしい。恥ずかしいのだ」

その子は少し顔を赤くしながら笑っていた。

「僕色々初めてで、何もわからなくて。僕なんで痛くないの?」

「全部知っておる。だから我についてくるがよい」


その子は立ち上がると何かを喋り出した。

喋り出したと同時に紫色の綺麗な大きな線が空中に浮かび出す。

「イービルゲート」

その子が声に出すと綺麗な線がパリーンと消えたかと思うとでっかい扉が現れた。

「主よ。行こうか」

その子は僕の手を握るとその扉に向かって歩き出した。

扉を抜けると大きな場所にでた。

目の前にすごい大きな何かがいる。

見上げても顔も見えない。

周りを見渡すと2人誰かいる。

剣を持った人と、見たことない物を持った人が僕達をにらみつけている。

(あの人達だあれ?)

(少し待っててね)

「お前達誰だ。どうやってここに侵入した。」

大きな人は立ち上がると何かを喋り出した。

僕達の四方八方に黒、白、赤、青、黄、緑、ピンク、水色の線が浮かび出す。

僕は綺麗だなあとにっこりした。

あの子も笑顔だった。

大きな人は「プリズムジャッジメント」と一言発するとあの子は右手をパチッと鳴らし

「キャンセラー」

と発したと同時に周りの線が消えた。

「な、何がおこ...」

話していると同時にあの子は右手を前に出し「プリズムジャッジメント」と発すると先程より何倍にもでっかい線が大きな人のまわりに浮かび上がったと思ったら何本もの稲妻が大きな人を飲み込み中が真っ白に光った。

僕は目を開けると大きな人達どころかまわりにいた2人もいなくなっていた。

「ルナおるかー」

「おるかじゃないですよっ。簡単に私の子消さないでもらえるかしらっ」

目の前に金色の線が浮かびあがるとその中から大きな翼に包まれた子が現れた。

右の翼は真っ白で綺麗なついただ。周りに金色の雷がばちばちいってる。

左の翼は真っ黒の、だけどとても綺麗な翼だ。

こちらは灰色の雷がばちばちいってる。

ルナっていう子がばさっと翼を広げると部屋全体に雷が落ちてきた。

僕達がいた場所以外に。

ルナはあの子を翼で抱きしめた。

「久しいな。ナナっち。」

ルナはすごく嬉しそうにあの子を見つめる。

「ちょー!近い近いちかーい!怒るぞぉ」

あの子は照れ隠しなのか、目を薄めながら突き放そうとしてる。

「ごめんなさい。久しぶりすぎて。」

ルナは悲しそうな顔をしたので、僕は言ってあげる。

「もっとぎゅーってして欲しいらしいよ?」

ルナとあの子が見つめあっている。

心の中でお話してるのかな?

そう思っていたときにあの子は言い出した。

「ルナよろしくね」

「壊れたらごめんね?クスクス」

(待ってる)

「ん?」

知識の暴風雨(ルナリックストーム)

瞬間僕の目の前は真っ暗になった。

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