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「作品に対する批判は作者に対する批判ではない」という考え方と、『小説家になろう』のシステムとの齟齬の問題

作者: いかぽん

 本作は感想欄を開いておりません。

 その点をあらかじめ了承して頂いて、よろしければこの先をどうぞ。




 さて、創作関係のモノの本を見ると、だいたい三冊に一冊ぐらいは書いてある内容がある。

 その一つが、このテキストのタイトルにもある、「[作品]に対する批判は[作者]に対する批判ではない。だからあなたが傷つく必要はないのだ」というものだ。


 僕はこの考え方には(理想論としては)同意だ。


 比較的最近に読んだ中では、藤田和日郎先生の『読者ハ読ムナ(笑)』にそのような記述があったと記憶している。

(まあこの本では、そこの先にこそとても良いことが書いてあるわけなので、ここは一番浅い部分の一般論として提示されているだけではあるのだが)


 ただその考えに同意するということと、実際にそれを自分が実践できるかどうかというのは別問題で、なかなかそう理想論通りにはいかないのが人間である。

 実際には、感想を書く側がうっかり[作者]を批判してしまったり、書いた側にそのつもりでなくても正しく伝わらず作者側がそうであると受け取ってしまったり、そもそも自分が好きなものを貶されると腹が立つっていう人類共通の感情がある時点でこれかなりの無理ゲーじゃね? 人間じゃない何かにならないと無理なんじゃねこれ? とか思ったりで、まあ現実には色々ある。

 でも実際にそれをできている人はいるようなので、どうにかすれば人類にも実現できるメンタリティではあるのだろう。


 まあまあ、それはさておき。

 それはそれとして、『小説家になろう』のシステム面が、そういった感想の受け取り方をするのに適した構造になっていないなぁと思ったので、ちょっとそれを書いてみたい。




 読者が批判するのは[作者]ではなく[作品]であるとしたとき、[読者][作者]間のアクセスの構図としては、以下のような形になるはずだ。


[読者]→[作品]←[作者]


 まず[作品]というものを[読者]と[作者]の真ん中に置いた上で、読者は[作品]にアクセスをし、作者も[作品]にアクセスをするという形になる。


 これはつまり、[読者]は[作品]に対する批判として「作者へのメッセージ」を書くわけではない、ということになる。

 ただ単に、作品に対する批判としてそこ([読者]と[作者]の真ん中にある[作品(の感想欄)])に置く、というのが望ましい形になるだろう。


 そこに「作者へのメッセージ」が混じったら、当然ながらそれは純粋な[作品]に対する批判ではなく、「作者へのメッセージ」としての性質を帯びる。

 こうなってしまうと、[作者]は「作者へのメッセージ」と「作品への批判」とが混在した形でそれを受け取ることになる。




 さてここで、『小説家になろう』の感想システムを見てみよう。


 ユーザーインターフェースもそうだし、感想の書き方マニュアルもそうだが、作品の感想欄は[読者]が[作者]へのメッセージを送る、という形式を前提としているように見える。

 つまり、


 感想……[読者]→[作者]

 感想レス……[読者]←[作者]


 と、こういった構図になっているわけだ。


 このあたり、なろうのシステムそのものが、作者が[作品]に対する批判と[作者]に対する批判とを切り分けられない一つの大きな原因になっているのではないかと思ったところである。


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