第1記 冒険の心得
プロローグ
俺は舞奈 一、高校生だ。
面白みのない、言われるがままの生活を繰り返す高校生だ。
毎日のように起床、登校、授業、帰宅、睡眠と変わらない一日を送っている。おまけに友達もいないから、ちょっとスペックの低いウ〇コ製造機である。
休憩時間がやってくる。いつものように文学に励んでいると、ある奇妙な噂が耳に入ってきた。長年ぼっちやってると忍耐力、盗聴力が身につくもんだ。
「今朝親戚のおっさんがいってたんだけどさ~、あの裏山をジョギングで通ったときに倒れてる女の子を見たらしいぞ。もっとも疲れてるだけかもしんないけどな~」
「マジかよ!?レイプじゃね?」
「オイオイ、字伏せろよ~」
と陽キャ特有のセリフ回しが聞こえた。しかし引っかかるものがある。疲れているだけでそのような幻覚が見えるのだろうか?
おかげで読書に集中できず、休憩時間が終わった。
学校が終わり、家へと帰宅する前にその裏山に向かった。裏山とは近所にあるとても低い山のことだ。学校から徒歩10分程度。
俺は密かに旅や冒険というのに憧れていた。
べべ…別にあいつらの話に興味があるわけじゃないんだからね!俺はおっさんの話にしか興味はない。直接見て確かめてやろうではないか。ここまで行動力のあるぼっちはそうそういないぞ。
裏山のふもとに到着する。いい感じに風が心地いいので悪い場所ではない。
人が通れるジョギングのルートなるものを見つけた。そこを順々に辿っていく、すると見慣れない道ができていた。
生い茂った草や木を、人間がかき分けてできたような道だ。何度かこの裏山に足を運んだことはあるがこんな道は無かった気がする。
その道を潜り抜けた先にあったのは、何も無いと言っていいほど空虚な場所だった。周りには木々が敷き詰められ、元来た道以外に通れそうな場所は無かった。行き止まりだと思いあきらめて帰ろうとしたとき、俺の鍛え上げられた耳がわずかに小さい声を聞き取った。
「……そこに…いるんでしょう?」
「!?」
俺は思わず腰を抜かした。ただでさえ無の恐怖を感じる空間なのに…。さっさとここから逃げたい、が、足が動かない。するとまた声が聞こえてきた。
「驚く必要はありません、落ち着いて後ろにある木に近づいてください。」
俺はまだ半信半疑だった。幻聴だろう、そう思いたい。しかし聞こえてしまったものはしょうがない。ガクブルしながら恐る恐る木に近づいた。
「誰かいらっしゃるんですか…?」
震えた声で俺が尋ねる。
「裏です」
声に従い、裏を覗いてみるとそこには、負のオーラをまとった俺とは正反対に明るく華奢な服を纏い、故に笑顔が似合う顔をした中学生ぐらいの赤髪の少女が木に寄りかかっている。
「女の子…?」
驚愕していた。この子がおっさんの言っていた倒れている女の子のことなのか?だとしたらおっさんは疲れてないし、この子も倒れていたのなら今こうして立っていられるのは不思議だ。
「君はもしかして今朝倒れていたという女の子なのか…?どうして倒れていたんだ?家族はどうしたんだ?」
いきなりの出来事で言葉がまとまらず質問攻めにしてしまった。
「いかにもです。実は昨日から何も食べてなくて…えへへ」
照れくさそうに頭を掻きながら少女は言った。俺は全く内容が理解できてなかった。しかし、家族は?という質問には答えなかったことだけは分かった。
「ところでこの道に来たということはあなたもそうなんですね」
「?」
俺の脳裏に疑問がいくつか浮かぶ。だがこの少女はすぐには答えてくれそうもない。
そうこうしてる内、少女が薄く微笑みながら言った。
「旅に出たくはないですか?」
初めまして、オワコン戦士です。ふと小説を書きたくなって投稿しました。一応連載ですが、毎話結構な間が開くかもしれませんが許してください。僕の暇つぶしが多くの笑顔に変わるよう頑張ります!