第二章:質問と答えと後悔
意識がある程度覚醒してきたと思えば、目の前のこの謎の少女である
見た目は中学生ぐらい、銀色の背中まで伸びた長い髪、碧い瞳は目の前の海のように青く、透き通った肌は白浜と形容しても異論は出ないような一言で言うと美少女である。
しかし、見惚れるより先に真っ先に浮かんだ質問を投げかける。
「きみ、そんな格好で暑くないの?」
「最初の質問にしてはあまりにも単純ね・・・まだ起きて間もないからかしら?もちろん大丈夫よ~この礼装はいかなる環境変化にも対応可能な”加護”が施してあるから・・・このまま雪山登山だって可能よ!どう!すごいでしょ!」
決して大きくない胸を張り、とても理解しがたい言葉を紡ぎ上げる。
「ちなみに、質問は三回までよ~最初の一回はもうすでに使ってるからよく考えて使いなさいね~」
理不尽きわまりない・・・
「最低限の情報をくれないとこちらも質問できない。それに条件を伝えていなかったのだから、最初の質問はカウントされないはずだ!まずは今の状況を5W1Hを使って簡潔に伝えてくれ!」
少女は目を閉じ少し考え・・・そして小さな口を開いた。
「ん~まぁそう言うなら順を追って説明しようかなぁ~まずは私が暇をもてあましてお父様の宝物庫からフラフープを持ち出したことから始めようかぁ~」
その言葉を聞いた瞬間およそ大半のことを理解した。
少女曰く、それを川原に置いてきてしまい、慌てて持ち帰ろうとしたところ私が使っていたと言うことらしい。
「それでいったいここはどこなんだ?」
「まぁ、簡単に言うと~あなたが住んでいた世界の裏側の世界といったところかしら~貴方『通り抜けフープ』って知ってる?」
なぜここで『未来から来た猫型ロボットの秘密兵器』の名前が出てくるかが一瞬わからなかったが、今の状態と先ほどの説明を聞くと明白である。
「ということは私はそのフラフープを使ったことによって異世界に来てしまったということかな?」
「おっと!それは最初の質問かな~答えはイエスです!そう貴方は異世界に来てしまったのです~!」
しまった・・・
「貴方は私が遊んでいた異世界転移装置を使ってこの裏側の世界に来てしまったのです~」
そんなもんで遊ぶなよ・・・
偉そうな感じというより楽しそうに笑顔で両手を挙げて高らかに宣言する少女の前に私は多くの疑問が生じる。しかし、質問はあと二つ。最後の質問は決まっているからいいとして、次の質問はとても重要になってくる。だが、私の口は自然と開いてしまった。
「僕は二度と元の世界に戻れないのか?」
至極当然な話、このままこの世界で生きていったからと言って問題があるわけではない。しかし、後悔がないわけではない。元の世界に残してきたものは多すぎる。それこそ、それを清算してしまわなければならないと心の中で何かがささやく・・・
「あ~そのことに関しては答えはノー。貴方は元の世界に戻れるよ~」
・・・はい?