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僕らはもう会えないだろう。

6話目にて最終話です。

 俺が目を覚ましたのは例の椅子の上でのことだ。俺の横には老人がニヤケ顔で立っており、俺を見据えている。


「どうやら、無事に終わったようだね〜。いやぁ〜、君に頼んで良かったよ」


 俺は重い腰を上げ、老人が渡してくれたコーヒーを受け取り、一口飲む。


「コーヒーは、やっぱり美味しいな。世界線Cのオレのことだけど、無事に全部終わったよ。オレも自分の力で小説を書くってさ」


 ここで俺は思い出した。俺がオレに言った言葉。オレが俺に言った言葉。


「そうかいそうかい。お疲れ様〜。さぁ〜、これが報酬だよ。君の小説のアイディアだよ〜」


 老人はニヤケ顔のまま俺に封筒を渡す。そう、俺はこの報酬のために老人の頼み事を聞いたのだ。そう、この封筒を受け取るために……。


だが、本当にこれでいいのか?


オレはダメで、俺はいいのか?


それは本当に俺の力なのか?


「いや――いらないな。俺は小説家だ。今はまだ名前も売れてない素人だが、いずれはプロの小説家になるんだよ。その封筒は受け取れない」


 そう言った後、俺は恥ずかしくなり、カップで顔を隠すようにコーヒーを飲む。


「そうかいそうかい」


 老人はそう言うと、ニヤケ顔のまま封筒をゴミ箱に捨てた。


 老人のそのニヤケ顔を見ると、俺が老人の掌の上で踊らされている気になる。


俺自身、小説家になることを諦めていた。


俺自身、誰かの作品をパクりたいと思っていた。


 老人はそれを見据えて、俺に声をかけてきたのかもしれない。


「じゃあ、今回はこれでおしまい。早く家に帰って、小説を書かないと締め切りに間に合わなくなるよ〜」


 俺はコーヒーカップを老人に返し、ドアを開ける。老人のこの声ももう聞くことはないだろう。


「そんな寂しそうな顔をしないでよ〜。また、きっといつか、会えるだろうから」


 そんな曖昧な言葉で俺を励ます老人。


 俺は涙を隠すように走って帰った。顔から滴る塩味の雫は老人を追いかけるように俺の後ろへと流れていく。


 家に入り、パソコンの前に座る。時間がない。早く、早く小説家にならないと……。


 オレと――――約束したから。


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

拙い文章力でしたが、いかがだしたか?

感想などございましたらよろしくお願いします。

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