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電車2
「急いで」という言葉に、広也は嫌な予感を感じた。
駆け足で先生の後を追い、職員室へ向かう。
「母さんに何かあったのかな・・・?」
広也は母親と二人暮らしだった。だから、母親の存在は、広也にとってかなり重要なものだった。
今まで二人で協力して暮らしてきた。母親は広也にとって、最も大切なものの一つだ。
しかし、考えてみると、母親から電話があったのだ。母親の身に何か起きている事は無いだろう。
本当に何かあったら、自分で電話してくるハズがないのだ。
そう考えて広也は、少し安心した。
広也が考えを巡らせているうちに職員室に着いた。
「失礼します。」
この緊急時でも広也は、入室の際の挨拶をした。
「こっちよ。」
先生に招かれ、いくつも連なっている机の一つに広也は案内された。
そうすると、先生は受話器をとり、何か電話のボタンを押し、
「お待たせしました。広也君、着いたので、代わりますね。」
そう言って、先生は受話器を広也に渡してきた。