0.プロローグ
「昔ね、とおいとおい昔ね、魔法が使える人たちがいたんだって」
「それでね、その人達は悪い魔女だとか、悪魔の使いだとか言われて殺されちゃったの。みんな。」
「でも生き残った人たちがいたの。その中に女の子とそのお兄さんがいたんだって。」
「女の子はいつか絶対、家族や仲間たちを殺した人間たちにに報復してやると、思ってたんだって」
「その魔法使いの女の子はね、小さい村の男の子と恋に落ちたの。」
「それでその女の子は、男の子と一緒に遊んで、暮らして、魔法の使えない人間がどれだけ自分たちのことを恐れてたか、人間にもこのないい子がいるということを学んだ。」
「でもある日、王様の命令で魔法使いの討伐隊が組まれて、お兄さんが殺されちゃったの。」
「女の子は、やっぱり人間なんてと男の子を突き放したけど、女の子に恋をしてた男の子はそれでも女の子と一緒にいた。」
「そして女の子は忘れていた報復をしようとした________」
と、
「__ねぇ、聞いてる?風海?」
「あ、ゴメン。ウトウトしてた・・・。」
友達の話を聞いてた私、五条風海は話を聞いてる途中で不意に眠くなってしまった。
まぁ昨日読んだ小説が面白かったんだから仕方ないと適当に理由をつけて言い訳してみる。
「知らないし、聞いてもないわ。」
二蹴された。
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世界は人の心で動いている。
故に人が忌避するものは次々消されていくのが道理。
15世紀以降、一般に魔女狩りといわれる行為が多発した。
それは魔法を使うもの。魔法によって害をなす者を処刑する行為であった。
最初期こそ、【人に害をなす魔法】いわゆる黒魔術や呪術の類を使用する者だけが処刑されていったが、時が経つにつれて、少しずつ少しずつ、認識が緩み、【魔法を行使するもの】全体が処刑対象となっていった。
時は17世紀半ば。
一つの村が滅びようとしていた_____