イシュメルとコンラッド
始まりは小さな包みだった。
「……おいこら、なんだこれは」
連れの持ち物から覗く金色の包装をされている手の平大の箱を見て、低い声が出た。にも関わらず、幼馴染は優雅に微笑んでいる。
「私からセフィへのプレゼントですよ」
そして予想通りの答えが返ってきて、頬を強張らせた後、腹の底から声を出した。
「今年のセフィの誕生日は、二人からで贈るんじゃなかったのか!!」
毎年セラフィーナへの誕生日プレゼントには、セラフィーナが如何に気に入るかを競って彼是画策するイシュメルとコンラッド。誕生日の三か月前から二人の間には探り合いが始まり、一か月前には暗雲が漂う。それに怒りを爆発させたセラフィーナは、今年からは二人揃ってのプレゼントにするようにと厳命した。
二人で買い物に出かけ、西国にある小さな金山からとれる砂金を小粒にまとめ、さらに職人芸によって精巧に形作られた胸飾りを注文した。すっかり日も暮れ、王都の中心地に戻るには時間がかかるので一休みすべく、目についた飲み屋に入る。――とコンラッドからセラフィーナへの個人の贈り物を見つけた。
「『私個人からのみ』の贈り物が禁止等という約束はありませんよ。あくまで『二人揃って』のものがあればいいのですから」
屁理屈を並べる幼馴染に怒りを覚えたのも束の間。ならば、と翌日イシュメルの部屋には墨色の箱が増えていた。大きさは人の赤ん坊ほどもある。
翌々日にはコンラッドの部屋に小ぶりな袋が二つ。翌々々日にはイシュメルの部屋に……
そこまで行ったところで、セラフィーナがキレた。
「いい加減にしなさいこの莫迦ども!!」
そしてその日の晩、王都の小さな飲み屋では、寂しげに杯を傾ける若い男が二人おりましたとさ。
イシュメルとコンラッドは、「夜の居酒屋」で登場人物が「くすぐる」、「プレゼント」という単語を使ったお話を考えて下さい。http://shindanmaker.com/28927
仕事が忙しくてまるで書けませんでした。
あと今回は、1000文字以内にするのに苦労して中途半端な結果に……
連続投稿して、本編に入りたいです。」