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実地訓練その2!

実戦訓練の結果は上々だ。アニマ小隊が包囲しカチュア小隊が突入。33名を10分で縛り上げる。


エッグノックに死傷者は0。無事に制圧し終えた。


アニマとカチュアには制圧までの指示だったので、制圧後の場所に合流する。



「ご苦労だった。さて、盗賊諸君。我々はフォブスリーン伯爵家私設軍だ、申し訳ないが君たちに聞きたいことがある。素直に答えてくれれば嬉しいが、素直でない場合皆さんの事を書類に【勇敢に戦い、抵抗するのでやむなく殺した】と書かなければならない。我々もそんなことはしたくない。命があるうち、しゃべれるうちに是非しゃべって頂きたい」




「う、嘘をつくな、ここの領主軍はすべて国に徴発されたはずだ!!」




「君は素晴らしく賢いね、しかし国から派遣されている者がいるのは知っているかい?」




「っは!全員お飾りだろ?お前らは衛兵でも、ここの領主軍でもない!!」




「我々はとある貴族様から頼まれて、この領地に来た」




「お、俺らも一緒だ。バルベス侯爵の領地で捕まって、罪に問わない代わりにフォブスリーン伯爵家の領地内で、盗賊を続けろって言われて送られたんだ、なんだ仲間じゃないか。早く縄ほどいてくれよ!」




「その前に証拠を見せろ!バルベス家から何か証拠を貰っているだろう?」




「俺達盗賊がもらえるわけないだろ!で、でも捕まったら侯爵家が金を出して無罪にしてくれると約束してくれた」



思わぬ背後をばらしてくれた。

考えろ……こいつらの処遇のベストはなんだ?



執政官に突き出してもただ捕まって終わり。捕まった履歴が残る以上、バルベス家が金を出して無罪にすることはまずありえない。

証言を書かせても信用性はない。こいつらは捨て駒だ。

バルベス領地に送り返してあっちで盗賊をやらせても、どうせ同じことになる。訓練しても無駄だ。この領地にこれ以上善良・・な盗賊はいらないし、バルベス領に送り込んでも、捕まって余計な事をしゃべるだけだ。



「……お互い大変だな、そう言えばそろそろ月末だけど、約束のあれはもう払ったのか?」

ただ送り込むだけじゃない、間違いなく侯爵家は利益を享受してるはずだ。




「やってられねぇよな、うちは月で30銀貨だと。おたくらは人数も多いしもっと多いんだろうがよ!」



(釣れた!!!)


「大変だよな!こっちはもう払ったが、襲って迷惑かけたお詫びだ、今月分こっちで支払っておこうか?」




「それはホントか?正直馬鹿にならない金額だからな。助かるよ兄弟!」



「いいって事さ、こっちも迷惑かけたからな。うちは大所帯だから向こうの領地まで届けてるんだが、そっちは?」




「アルフォンの骨董品売ってるルダってじじいに【この壺はこの国と同じくらいの価値がある】って話しかけて、壺買って一月分はらって終わりさ」




「そうかわかった、他にロミスカでバルベス家から来た同胞に会ったか?」




「いーや、でも俺ら以外にも結構な数が牢屋にいたからな。もっといると思うぜ?」



「そうか、他の奴に会ったらよろしく言っておくよ」




「全兵に告ぐ!この盗賊を執政官に突き出すことは困難になった。かといって監視、情報漏えいの観点から見ても、生かしておくことは難しくなった。よって誠に残念だが、ここで口封じをする。後始末は俺一人でするので、全員戦利品を持ち、小隊長の指示に従い宿舎に帰還せよ」




ヒヨコを使い、ファルコンとコンドル班にも伝令を出す。

ファルコン班は遺体と兵を連れて宿舎に帰還。執政官への報告は一時保留。

コンドル班は盗賊を連れてこっちに合流の指示を出す。




「ちょっと待てリョウ!こいつらの罪は法で裁くべきだ!!殺すことはない!!」



カチュアが猛烈に反対する。



「いいか?こいつらは捨て駒だ、こいつらを捕まえて突き出すという事は、当然骨董品屋のじじいも姿を消す。こいつらがしっかりとした口止めをされてない以上、そのじじいも下っ端だ!時間をかけてでも俺達はその下っ端からバルベス家へのつながりを掴まなきゃいけない。下手に警戒されればそれで終わりだ。こいつらには悪いが、行方不明になってもらわないと困るんだよ」



「だがしかし!!」



「こいつらを決着が着く日まで養う余裕はない!こいつらも盗賊だ。自らの為に人を殺してきている。自らのせいで死ぬのも仕方ないだろう」




「な、なんだ、どういうことだ!!騙したのか!!?」




「こいつらに金を払わせに行って、その金の流れを追えばいいじゃないか!」



「その場でじじいに話を漏らして、その後捕まえても黙秘したら?」

さわぐ盗賊は無視する。



「その時は…………」



「金を払うのはこっちでもできる、じじいから次の金の流れを追った後、じじいを捕まえてさえずってもらえばいいんだよ。仮に吐かなくても金の行方を追えばいい、要するにもうこいつらは用済みだ。捕まえるわけにもいかなしい、野放しにもできない。ここで消さないと何倍にも跳ね返ってくる」




「でも殺すなんて……」




「だから俺の手で決着をつける。手を汚すのは俺だけでいい」




「騙しやがったなクソガ――」




――――アニマの槍が騒ぐ盗賊の胸を貫く




「リョウがロミスカとエッグノックの事を考えた結果なら、それでいいんだよ。でもリョウだけが手を汚すってのはおかしい。これはリョウの問題じゃなく、エッグノックの隊長の判断だよ。抵抗激しく全員殺した、埋めた。それだけでしょ?」




「アニマ……」



「中隊長!口封じをせねばならない理由もわかりました。ただ、自らの手だけを汚すというのは賛成できません。安易に殺すのはよくないと習いましたが、殺さねばならない時に、躊躇ちゅうちょもしてはいけないと習いました」



ホーク班、班長ののり弁が意見する。



「カチュア、すまな――」

「いい、謝るな!自分が甘い理想を吐いてるのもわかっている、でも言わずにはおけなかった」




「補佐だからこそ、そんな意見が言える奴も必要だ」




「ここの始末はあたしを小隊でやる。任せてくれ」




「わかった。ではカチュア隊はここの処理と後始末を、コンドル班が合流し次第状況説明、処理が終了後宿舎に帰還せよ、アニマ隊は盗賊の所持品、物資の整理確認後、宿舎に帰還せよ。各班とも帰還後、別命あるまで余暇とする。では行動開始」






俺はその場で自分の部下が人を殺して埋めるのを見守った。

無法者の盗賊と別な貴族とのつながりを書きたかったのですが、盗賊から貴族まで辿ろうとするとどうしても盗賊は監視下に置くか殺しちゃうしかありませんでした。


ゴルスーイ盗賊団に吸収させようかとも思いましたが、全員監視するのも大変ですし、借りは作りたくないですし、エッグノックで管理するにも街の中には連れて行けないし、外で管理するにも限界があります。

よってこうなりました。

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