食事改善に挑む!
訓練が始まってから、すでに10日が経過しようとしてる。
逃走もなければ反乱もない、怪我や体調不良での訓練休暇は3人ほどいたがすぐに復帰している。予想以上に目立った問題点もなくスムーズだ。
座学で自主的に質問したりする者には、たまご作戦である。
朝の集合も15分かからないようになり、装備の点検も今朝は3つの班だけだった。
そろそろ班長のと副班長の任命と、班の再構成をしようと思う。
俺の中で歩兵という兵種は、最強だと思う。
あらゆる汎用性があり、自己完結能力は群を抜いて高い。
自己完結能力が高いという事は、戦地における継続戦力の高さにつながる。
スペシャリストも大事だが、まずは全員を一定以上のジェネラリストにしなければならない。
しかし、その前にやらなければならない事があった。
いい加減俺の食事環境を何とかしようと思う。
自由に作ったりもできる環境になってしまったので、懐かしい味の再現に着手した。
アルフォンはそれなりに大きな街なので、小売りでもかなりの物が揃う。
現代での料理知識を駆使し、自分用調味料の開発に着手した。
現代では職業として、厨房に立った経験もある。なんとかなる!!
そう思ってた時期が俺にもありました。
まずはマヨネーズ、大量に余るたまごの使い道としては最初に思いつく道、全卵タイプと卵黄タイプを風魔法の撹拌で頑張り、油と分離しないように頑張って酢のような、ビネガーのような物を使いマヨネーズもどきを作ってみた結果。想像と違いすぎた、例えるならコーヒーと思って飲んだら炭酸の抜けたコーラだった感じ。油が悪いのか酢が悪いのか不明だが、嗜好品として使う気にはなれなかった。
次に取り掛かったのがウスターソース。野菜や果物、出汁材を煮詰めて香辛料でや酢で味を調える。しかしこの世界では調理の火にガスなどなく、ひたすら生活魔法の弱火で管理だ、4回焦がして投げ出した。
次は最強調味料カレー粉。基本香辛料は高く、種類も少ないが、記憶ではカレーの色はウコンの色だったはず。どんなにまずい物でもカレー粉をかければ何でも食える。彼女の作った暗黒物質も、海外で口に合わないものでもカレー粉をかければカレー味である。
さまざまな香辛料を混ぜ合わせ作ってみた。後半やけになって色々混ぜたせいで、レシピも残ってない。再現性はない。なめてみると……カレーと思って食べたら麻婆豆腐だったような違いがあった。もちろん麻婆豆腐の味ではないがそのくらいかけ離れた物になった。とりあえず味は強制的に上書きしてくれるので保留とした。
最後に挑んだのがケチャップ。初夏と秋が旬なのはこの世界でも同じらしく安く大量に手に入れた。(むしろたまごと交換でたくさん手に入った)
ケチャップだけは自信がある!働いていた飲食店がケチャップ自作の店だったのだ!ヘタや青い所を切り取り、乱切りにする、みじん切りにしたタマネギと一緒に鍋で煮詰める。にんにくが見つからなかったのが悔しいが、裏ごしした物を鍋にうつし、塩と胡椒と酢もどきで味を調えさらに煮詰める。
粘性が少し低い気がするが味は納得がいくものができた。
しょうゆは作り方自体知らないので無理、みそも同様。
マヨネーズもどきは、刻んだゆで卵と混ぜて塩と胡椒と酢もどきで誤魔化して、タルタルソースにして、兵の朝食のパンに使って消費した。意外と好評だったのに驚いた。
結局完成したのは大してうまくもなく、再現性の無いスパイスと、あまり粘性のないケチャップだけだった。ゆでたまごにマヨネーズ、目玉焼きにソース派の俺としては悔しい結果になった。
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11日目の訓練の朝、班の再編成と共に班長、副班長の立候補を募る事にした。
「全員に告ぐ、海の月21日をもって班の再編成、および班長、副班長の正式任命をする。今日までの訓練姿勢で選考と明日以降の特殊訓練での成績で班長、副班長を任命する。なお班長は自分の班に対して様々な責任を負うことになるが、同時にいくつかの特権も与えられる。21日以降班での罰は、連帯責任と共に班長にはさらに別な罰も受けてもらう、副班長の希望者は募集しない。俺が独自に任命する、希望者は朝食までに小隊長に伝える事。以上!では各自装備点検、報告開始!」
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結果、半数以上が立候補した。
明らかに適正ではない者を除外して80人ほどに絞る。
適正でない理由は、感情的、連帯責任で仲間にあたる、楽をしようとする奴らだ。
班長候補としては努力をする者、装備の手入れがしっかりできている者だ。身体的には現時点むしろ劣るような、連帯責任で足をぴっぱるような者を班長にしようと思う。
逆に副班長にはリーダーシップや頭のキレる者を任命する。
班長は班員の為に必死に努力する、班員は班長をしっかり支える。副班長は足りない所を補佐し、支える。これが理想形だ。
副班長は班長以上に入念に観察し、反乱や乗っ取りなどを企まない者を探す。
今日からは班長、副班長試験だ。
初日は80人全員にサバイバルの座学。
2日目以降から20人1チームでカチュアと共に森にサバイバルの実地訓練2日間。
残りの60人は40人が居残り組の訓練管理、20人は俺の座学。
アニマには40人の管理がしっかりしているか、管理させた。
8日もサバイバルをするカチュアの負担が大きすぎるので、何かしらの形でねぎらってあげようと思う。
女の子へのご褒美と言えばあれだ、デザートだ、スイーツだ!
とりえずパッと浮かんだホットケーキに取りかかる。
保存の為に砂糖を大量に使ったジャムなども、多少高価だが売ってる、生クリームは手製で作ってやる!生乳を遠心分離して軽い方を集めればいいんだ!
膨らし粉は泡立てた卵白で代用する。
脱水と違って液体と液体の遠心分離には苦労したが、生活魔法の水流操作で、円柱上に高速で回転させ、それを凍らせる。外側の部分を地味に削って脂肪分の高い牛乳をゲットした。
凍結による品質低下はよくわからないが、とりあえず放置する。
(あれ?これでバターも作れるんじゃね?重曹も泡立て卵白で応用したら色々お菓子ができそうだ……)
お菓子無双帝国を夢見ながら、夜な夜なカチュアの為にホットケーキを試行錯誤するのであった。
日本のマヨネーズの味と品質は世界でも高く評価されています。
なんでもマヨネーズをかけるマヨラーを聞くと海外の方はおかしいというらしいですが、日本のマヨネーズの味を知ると納得するそうです。
日本での販売前に日本人用に改良されたマヨネーズはまさに他の物と別物。
大きいスーパーなどで瓶詰めの外国産のマヨネーズを買うとわかります。
さすがキユーピー伊達じゃねぇ。質のいい植物油を入手できたらおいしいマヨネーズも実現するかもしれません!
一般流通の牛乳は遠心分離で生クリームやバターを作る事はできません。(確か……)理由はよく覚えてせんが、気になった方は調べてみてください。生乳から遠心分離で生クリームを作るまでは知っていたが、液体同士の遠心分離で悩んだ!いっそ放置して上層をすくおうかとも思った!!




