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訓練2日目!

日の出とともに起きる癖のついている俺は、自らの起床20分後に集合を掛ける。


「全員起床!訓練場に班列縦隊で10分以内に整列!!」

宿舎の入り口から大きく怒鳴ると訓練場に戻る。

1つの班でも10分以内に整列できたら驚愕だ。


(さて、連帯責任の罰は何にしようか……)



驚くことに3つの班、計19名が10分以内に整列していた。


「各班班長は点呼の上、小隊長に報告。その後ペアになり、装備の状態の確認をしろ、わずかでも汚れ、手入れ不足があった場合、連帯責任で訓練場10周。装備点検の空いた時間で、各自ゆっくりと身体を動かし、ほぐしておく事、10分以内に整列できた班には特別に俺のおごりで、朝食にたまごをつける。正直間に合う班が出るとは思わなかったが、今後訓練中はいつ呼び出されても10分以内に集合できる心構えで休むこと、戦時が日の出と共に来るとは限らない!!では点呼と装備の確認開始!!」


学園長から学園産のたまごが、毎朝200個ほどファラク便で届くのだ。

たまごは意外にも保存食で、冷暗所で管理すれば一か月は持つ。昔飲食店で働いていたが、たまごは冷蔵庫管理ではなかった。夏場はちょっと足が早いが、死ぬほどのレベルは臭いでわかる。

しかもたまごは高たんぱくで、完全栄養食とも聞いたことがある……気がする。知り合いの筋肉馬鹿はよく白身焼きを食べていた。

元々生食で食べる文化がこの世界にはないので、加熱すれば大丈夫。いざとなったら売ってしまう。


点呼の確認をカチュアとアニマに任せ、装備確認してる兵の間を巡回する。




「装備確認が終わった班から班長が報告に来い。確認で失格の場合でも報告に来い」


-----------------------------

次々と班長から報告が来る。



「問題ありませんでした!」


「確認する、班員整列…………剣の柄、盾の持ち手、服装の乱れ、靴の汚れ、失格。班長の判断ミスだ装備の手入れ後20周走れ、10分以内に間に合わなかった班なのでさらに追加で10周、行け!」


-----------------------------


「班員の装備に汚れがありました!」


「誰の装備に、どんな不具合か報告しろ!」


「……。」


「班長の情報把握不足だ、全員装備の手入れ後20周、10分に間に合わなかった班なので追加で10周、行け!」


-----------------------------


「班員3名の装備に汚れ、1名にナイフの所持忘れ、1名に服装の乱れがありました!」



「以後、装備の過不足は点呼の際に班長が気を付ける事、装備の手入れ後10周、10分に間に合わなかったので追加で10周、行け!」



結局装備確認初日は、すべての班が手入れし直し、連帯責任だった。


ノルマが終わった班から遅めの朝食、その後3つのグループに分けて訓練開始である。


本来運動と勉強は別にした方がいい、一般常識だ。

しかし現代で生きてきた俺とこの異世界では、軍の動かし方や戦術も全く違った進化を遂げているだろう。俺が座学で教える事は俺なりの理論だ。しかもそれを叩き込まなければならない。しかしあまり座学に時間を消費するわけにはいかない。


そこで現代知識の1つである感覚と記憶の連動作戦に出た。

匂いや音楽、痛みなどで、過去の記憶が意図せず蘇る事がある。

記憶は単一で覚えるより、連動して覚えた方が覚えやすく、引き出しやすい。

今後彼らは罰があるたびに、腕立てなどをさせられ、その度に座学の内容を思い出すだろう。実に効率のいい復習方法じゃないか!!


さすがに200人全員を一度にはできないので、3つの小隊規模に分けて訓練する。


俺の訓練は、座学+筋トレ


アニマの訓練は、訓練場を装備を付けたまま2列縦隊で指定する速度で行進


カチュアの訓練は弓


カチュアは、あまりギャリンと一緒に生活できなかったが、子供の頃よく森に狩りに連れて行ってもらったおかげで、弓が扱える。弓の練習と言っても、カチュアが矢を撃った先めがけて全員が矢を撃つだけだ。カチュアが撃った後に全員が同じタイミングで"面"での攻撃ができるようにする。まずは誰でもできる事で、実戦レベルにしなければならない。慣れてきたら班規模でも指示、射撃ができるようにしたい。弓だけは全員必修だ。



-----------------------------


「はい、それではまるちゃん君、軍隊が戦いで必要な事を3つ上げてみよう」


200人もいる兵士の名前は覚えきれないので、印象であだ名をつけ、あだ名を書いた布を配る。以後明日までに全員軍服の制服の左胸に縫い付ける事が決まってる。

今後隊の中ではそれが呼び名になる。


ちなみに軍服、下着などは各自3着づつ伯爵家から貸し出されている。

元私設軍の備蓄だ。他にも布やロープなど徴発されなかった物で頂けるものは頂いた。

他の宿舎は国からの衛兵が使用しており、ほとんどの装備や物資は国に徴発されている。



「敵を殺すこと、勝つこと、逃げないこと……ですか?」



「大っ不正解だ!まるちゃん。まず第一に敵は必ずしも殺さなくていい……理由がわかる奴、手をあげろ!」



おどおどしながら手を挙げたのり弁を指名する。


「殺さなくても勝つ事が可能だから……ですか?」



「半分正解だ。君は仲間がけがをしたらどうする?」



「もちろん助けます!!」



「仲間を助けながら君は戦えるかね?」



「……あ!」



「負傷兵を増やすことは、その分負傷兵をかばう兵の戦力すら削る。敵に退路がある場合は殺さずに負傷させるだけの方が、有効な場合もあるという事だ。

次に勝つこと、これは大事だ、非常に大事だ!しかし勝つために味方の半分が死んでは意味がない。時に犠牲も必要だが、むしろ究極の理想は負けないことにある!」



「負けない事と勝つことって同じじゃないんですか?」


まるちゃんが聞いてくる。


「似ているようだが全く違う、たとえばまるちゃんが、今俺と戦争しても間違いなくまるちゃんは勝てないだろう?」



「……はい」



「でもいざ戦争になったらどうする?」



「……逃げます」



「そうだ、勝てない奴からは逃げる、勝てるように鍛える、話し合いで味方になる、他の手段を持って勝つ。でも逃げたからって負けじゃない。最終的に勝てばいい。それが負けないって事だ。つまり隊として、軍として撤退というのは必ずしも負けではない。だからまるちゃんのあげた3つは大不正解だ!」



「では必要な3つとはなんですか?」



「俺は情報、補給、速さの3つだと教える。しかし、俺は中隊長なんて立場だが、諸君らと同じく戦争の経験はない。必ずしも俺の言う事が正しいわけじゃない。なぜこの3つが大事なのか、他に大事なことはないか、各自それぞれ考えてみるといい、それでは腕立てやめ!5分の休憩の後、腹筋開始!」



座学の内容を毎日整理確認しながら次の座学について自分で考察し考える。

俺の頭はすでにパンク寸前さ!

この章に関しては色々な意見があると思います(特に軍関係

ここはもっとこうだろ?やこうするのが普通という意見たくさんお待ちしています。


元ニート君程度の知識で奮闘してるので、「軍事が全く分かってない死ね」とか言われるとあっという間に作者のライフがなくなります。


異世界である事と主人公の元々の知識を鑑みてお楽しみください!


「こんな訓練面白いかもね!」とか「こんな戦い方する中隊みてみたい!」とかありましたら実現するかもしれません。

作者はミリオタではないですが、史実の戦いやフィクションの戦いも好きです。個人的に好きなのは第二次世界大戦の日独伊三国同盟ですね。

ドイツも日本も強かった。イタリアは呑気だった!

世界の思惑が絡んだ世界大戦、すごく好きです!

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