これ無双のはじまり?
修正加筆済み 2018/01/08
糞神に不幸が訪れるようにと念じながら眠り起きると、枕元にウエストポーチが転がっていた。
黒い革っぽい素材のポーチを開けると、中からナイフが3本と紙が1枚出てきた。
【リョウ君へこの手紙を読んでいるという事は、私はもうこの世にはいないでしょう。だから呪詛を念じるのはもうやめてください。
形見としてナイフを3本送ります。
グリップが緑色なのは毒付加のナイフで黄色はマヒ付加のナイフで黒は普通のナイフです。(とてもわかりやすいでしょう?)おまけとして面白い効果を付けておきました。まずはナイフですが、リョウ君の手から離れると約5秒で鞘に戻ります。鞘に戻ったナイフは見た目も効果も全く同じですが再生成されるので、さびも刃の欠けもなくなり完品になります。ヤッタネ!リョウ君以外が鞘から抜くと即時で鞘に戻るので売ったりはできましぇーん。鞘をなくさないように気を付けてね!
そして本題のポーチの方ですが、このポーチは見た目と違って莫大な量の物を収納したり、取り出したり、投げつけて爆弾の代わりにしたり、ハンドルを付けて乗り物のように運転できたりしません。気を付けてください。とても高い牛皮を使った最高級品なので、長く使っているといい味が出ると思います。大事に使ってね!
PS:自分のナイフで状態異常になるのも間抜けなので、状態異常無効の祝福を付けておいたよ。なおこの紙は読み終わった後爆発する!(うそだよ!)】
「おぉぉぉっぉい!」
突っ込みどころ満載である。
とりあえずナイフは微どころか普通にチートだありがとう。普通に感謝する
ポーチは意味不明だし若干いらっとしたが、マイナスではないのでどうでもいい。
問題は最後だ。さらっと言ってるがこれはどう考えてもチート。
状態異常無効とかなにそれおいしいです。
3つの賠償がナイフ3本でもナイフセット、ポーチ、祝福なのかはどっちでもいい。とりあえず昨日のマッサージ師とか言う祝福の件も許してやろう。
素直に感謝するのもむかつくが、呪詛を念じるのはやめよう。
俺はたまには約束を守る男なのだ。
そんなことを考えているうちに紙は消えてなくなってしまった。
(神は何でもありかよ・・・)
まぁ実際マッサージ師ってのも悪くないんだよな。
ほかの店との差別化ができそうだし、祝福で貰ったって事はこのレベルのマッサージができる人はほとんどいそうにないし。
糞神の評価を少しだけあげてやろう。
ナイフ3本をポーチに放り込むと、今はまだ腰につける大きさではないポーチを右肩から左脇にかけて背負う。
さて・・・今日も足湯屋の開店である。
「いってらっしゃい気を付けてね」
「はい!いってきます」
足湯屋の話はママンにもエリーにも話したが、よくわかってない顔をしていた。
実際にやってあげたが、マッサージ師の祝福がない時であったからなのか、くすぐったいだけのようだった。
エリーからは頑張れとの言葉をもらったが、これは頑張るしかない。
無料サービス4日目の今日は昨日以上に人が集まり、永遠と続くマッサージループであった。
マッサージをしながら世間話や回数券の売り込み、知り合いへの紹介依頼も忘れない。
昨日以上に集まる人がいたので、対策として予約用の小さい黒板を買ってきた。
翌日の午後であれば予約できるシステムを入れた。
予約の際は前金で受け取り、当日キャンセルは返金に応じることにした。
遊びで予約を入れられても困るが、キャンセル料金を取るほどうちはハイソな店ではないのだ。
黒板で出費は出たが、回数券の販売だけで余裕で収益はプラスである。
マッサージ師の効果なのか、昨日までに来たお客さんにも褒めてもらい、手がつらいといったことも起きなかった。
無料マッサージ最終日はとても嬉しかった。
短いながらも常連のお客さんができ、開店祝いにと回数券がたくさん売れた。
一応期限は冬の月の間である。5歳以降の予定はまだわからないのである。
そして5日目にしてとうとう真似するところが出てきた。
しかもお客さんから聞いた話だけでも3つ以上ある。
価格も20エギラムと値下げ合戦が始まっているようだ。
勝手にやっていてくれ。個人でやる以上自分の人件費と最初の設備費程度しかかからないのだ。生活魔法の魔力とマッサージする手が持つならご自由にどうぞ…だ。うちは高級路線という独自戦略を進ませてもらう。
明日からは待ちあい用に椅子を用意し、セルフサービスでのお茶も用意する。
値下げ合戦に付き合うと巻き込まれるのだ。高級路線で行かせてもらう。
これが真似されても次を考えるし、何せマッサージの技術はまず抜かれる可能性がないのだ。元祖としてのブランドもあるしとりあえずこの冬は楽観視している。