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朝チュン!?


アニマと話し合い、お友達から始めるという事で同意した。

しかしアニマは予想外に危ない女だ。元々こんなやつではなかったと思う。

【恋は盲目】と言うが恋に落ちると、ほんとに周囲が見えなくなる奴はいる。

好きになる事はあっても、恋とか愛とかよくわからない。


男と女は所詮違う生き物なのか、それとも俺のどこかが、壊れているのか。

考えてもわからない事は忘れよう。



しかしこの同居生活でかなり生活環境がよくなった。

唯一の文句は、夜の長話に付き合わされるのと、他の剣闘士からの冷やかしの声だ。


かなり貯まっていた保存魔力を売り、タッグマッチの賞金も入り、釈放金は82銀貨にまで減った。大きい試合なら2つか3つで終わるところまで来た。



次の大会は25日のフリーランク、15歳未満限定のトーナメント戦。

ランクCの大会にも申請を結構出してるがなかなか抽選に当たらない。

さすがに1:1の同世代相手に負けることはなかったが、賞金は1銀貨と少なめだった。


やっとランクCの試合の抽選に勝ち取れると、なかなかひどい大会を勝ち取っていた。

ランクC限定チーム戦、魔獣VS剣奴隷の?:5

賞金は50銀貨で生き残りや山分けである。全滅の場合、賞金は次回に繰り越し。前回は3名の生き残りで勝っている為、繰り越しはない。


降参は許可されていない。魔獣をすべて倒さないと終わらないのだ。

魔獣の数は3つのサイコロを投げて出た数字で決まる。

3~18匹の完全ランダム。正直2倍の数が出たら相当まずい。

高位魔術が使えれば別だが、メンバーが誰だかわからない以上頼れないし、危険だ。賞金がなかなかおいしいので、ダメ元で申請したらこのありさまだ。



-----------------------------



試合当日、集まったメンバーは俺の他は、全員ガチガチの全身鎧。おそらく自分用の私物装備がなく運営からのフリーランクと同じ装備の貸し出しだろう。



普通のチーム戦で俺の格好をみれば、嫌味の1つも飛んでくるが、この試合は選手の生き残りが少ないほど自分がおいしいのだ。文句を言ってくる奴はいなかった。


試合開始前、とうとう運命のサイコロが振られる……



―――5、2、5




(馬鹿じゃねぇの?)


平均で一応10、5とは言え、二桁は勘弁してもらいたかった。

この試合審判がいないので降参は不可能だが、魔獣が連れてこられた檻の中に入れば実質、降参扱いになる。


しかも闘技場用に飼育された魔獣は凶暴で、同じ魔獣同士を襲わない。


檻の中には12匹の魔獣。まずこいつらが檻からすべて出ないと、檻の中に逃げるのも困難だ。



「試合、はじめ!!」



「お、おいみんなで、できるだけ魔法を撃つぞ!」



「「「おう!」」」



集団行動は苦手なので、さっさと檻の上に避難する。正直ここしか安全ポイントはないのだ。



「小僧!上から剣を刺せ!!」



「剣なんかないですよ~」



魔法を撃ちこまれた魔獣は、次々と檻から出て剣士勢に襲い掛かる。



「1匹づつ処理するぞ、集中攻撃だ!!」



やはりこの世界の魔物や魔獣には、ヘイトがあるのか8匹の魔獣は、一直線に剣士たちに向かっていく。


全身鎧の剣士たちは距離を取る事も出来ず、数で圧殺されていく。

後ろから近付くと、1匹づつ確実に毒ナイフで小さな傷を作っていく。


「ひぃぃ!!た、助けてくれ!!!」



唯一生き残っている剣士が、いい感じに囮をやってくれるので楽でいい。

檻から新たに出てきて走り寄る魔獣を避け、麻痺と毒を同時に与える。



生き残ってる剣士の出番の為に2匹ほど魔獣を残し、檻の残りの3匹の処理に向かう。


檻の中に入ると、麻痺と毒ナイフを同時に投げつけ、神ナイフチートで処理していく。檻の中は観客席から死角なので遠慮なく投げれる。


檻の中を片づけて外に出ると、残念な事に最後の剣士はやられ、全滅していた。

残る魔獣は2匹。


狂ったように襲い来る爪を避け、麻痺ナイフをかすらせる。

残る1匹の攻撃を避けながら、麻痺と毒を同時に当てる。

先に麻痺させた魔物に毒ナイフで傷を作り、無傷の圧勝だ。


実際このナイフはチートすぎる気もするが、生きる為だ自重はしない。




-----------------------------



「リョー、生きててよかった。ほんとによかった!!」



なぜか試合後に泣きつくアニマ

「12匹はさすがにまずいと思ったけど、全部まとめて相手するわけじゃないし、囮もいたから何とかなったよ」




「早く自由になりたいのもわかるけど、あんな無茶して死んだら意味ないんだからね!」



「あーはい、注意しますよ、会長に呼ばれてるからまたあとでね」



アニマを置いて会長の元へ行く。



「よく勝ったな、いやお前の1人勝ちに賭けて正解だった。あの見捨てるシーンはまさに極悪人!さすがだな」



「褒めるのかけなすのか、どっちかにしてください」

しかも見捨てた覚えはない。



「自らの利益のために非情になれるのは一種の才能だ!お前なら剣闘士としても全然食っていけるぞ!!」



「考えておきますよ」



「実際これほどの勝率の奴は、なかなかいないからな」



そりゃそうだ、強い経歴を持つ者は、剣奴隷の道を選べない。

そもそも大会優勝なんて月に1度できれば御の字だ。

本来は優勝以外でも賞金の出る大会で、安全に稼ぐのだ。



「しかしお前が使う武術はなんという?どこで習った?」



「死んだおじいちゃんから習いました、名前はよく知りません」

いちいち言いふらすことでもない。



「そうか、嫌な事を思い出させた。すまない」



「いえ、大丈夫です」

嫌な事を思い出したのは事実だ。



-----------------------------


その後、空の月40日開催の、剣奴隷限定のランクC総当り戦を勝ち抜き5銀貨の賞金。

空の月53日開催の、フリーランクのトーナメントに参加し3銀貨の賞金を得た。


残りは24銀貨、釈放への期待感が高まる。



「リョウ、自由になったらどうするんだ?」

不安の入り混じった声でアニマが聞いてくる。



「まだわからないよ、でも冒険者になりたいから、剣闘士として戻る可能性が高いね」



「そ、そっか、戻るときはチャビリアンだよな!?」



「まぁ他の知らない所よりも、ここじゃないかな」

実際、元剣奴隷はよほどのことがない限り、元の剣闘会に所属する。



「な、なら安心した!!これを使ってくれ」

そう言ってアニマは水の盾を出す。


剣奴隷は、エギラムで消費媒体を買ったりできないが、保存魔力の受け渡しは可能である。


仮に貴族が銀貨や高価な私物を持ち込んで、剣闘士に消費媒体を代理購入させ、売った場合でも釈放は可能である。しかしそんな金があるならそもそも奴隷に落ちない。学園などの超法的機関や特例で実刑になった場合に貴族がよく使う手である。



「でも、なんか悪いよ……」



「ならば吸収しなければいい、ここで無駄に魔力が消費されるだけだ」



「わかった。わかったよ、ありがたくいただくよ……」



それからアニマの保存魔力がなくなるまで吸収させてもらった。



「ずいぶんあったけど、いくら分あったんだ?」



「30銀貨分かな、これでだいぶ釈放に近づいた?」



(引き取り額が確か購入額の80%くらいだから……あれ?これ釈放金貯まったんじゃね?多少ロスが出てるだろうけど、右手に残ってる魔力もあるし、あれ、終わり?)



「だ、だいぶ近づきたと思うよ。ありがとう。こんなに平気なのか?」



「意外と稼いでるしね、リョウとの【ベストカップル杯】と【タッグマッチ】はおいしい収入だったし!」



涙の感動も、[この試合に優勝できれば自由だ!]みたいな意気込みもなく、気づいたら終わってしまった。

195銀貨からはじまった剣奴隷生活、なんだかんだで半年弱で終了である。



とりあえず会長にブレスレットを渡してn吸い出しをしてもらい確認しよう。1エギラム足りないとか、笑えない冗談とかは嫌だ。

さっそく吸い出してもらってくるとアニマに伝え、会長の部屋に向かう。



翌日、無事釈放金すべての償却が終わり、晴れて自由の身になった。

魔力抑制魔法の解除の日程を決め、自由になったことをアニマにも伝えた。


やっと釈放された高揚感からか、はしゃぎまわって疲れ、朝起きるとなぜか隣に裸のアニマが寝ていた。




「……これなんて朝チュン?」

最初に誰かが決死隊で檻の扉を閉めて安全な距離から魔法での飽和攻撃を考えるのは作者だけじゃないはず!


作中で今後書く予定がないので、この日あったあらましを簡単に書いておきます。

1、釈放キャッホーな主人公が荷物の整理を始まる。

2、アニマが何かお祝いをしようと言う。

3、合同演習で盗った酒を持ち出し、二人だけの宴会がはじまる。

4、アニマの「あたしの身体が美しいと言ったのは嘘かー」と絡み酒がはじまる。

5、めんどくさくなった主人公は酔った入りをして、布団にもぐり、寝る

6、残りの酒を飲みつくしたアニマは服を脱ぎ、主人公の布団にもぐりこむ。

7、ここは作者も知りません。(震え声)読者様のご想像に……

8、主人公が起きる。

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