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新人戦、当日!

コアルから、誰でも消費媒体を使った魔法が使える事を聞いてから、一層鏡文字の練習に身を注いだ。日常使ってる文字故に、鏡文字にすることが困難だった……普通・・なら。



鏡文字で敵弾吸収が使えるときいた時に、現代での特技を思い出した。

俺は鏡文字が得意なのだ。……いや正確には鏡文字を簡単・・に書けるコツを知っていると言った方が正しい。


人間の身体が基本は左右対称で、右脳と左脳があるのは現代では一般知識だ。

この人間としての元々の特性を使えば誰でも簡単に鏡文字が書ける。


他の剣奴隷や剣闘士にばれるとまずいので、ばれないように鏡文字を書く練習をする。これはまさに飯のタネなのだ。




そしてとうとう試合当日を迎えた。



-----------------------------



新人戦は30分1セットで、1時間に2度行われる。

早く終わる事もあるが、その時間は、次の賭け対象をじっくり考えたりする。


運営本部の情報では年齢、種族、性別、選んだ装備、保存魔力の有無だけが発表され、試合開始5分前に賭けを締め切り、オッズが公開される。


11歳、人間、男、ナイフ、革の篭手(片手)、保存魔力無しの俺はぶっちぎりの大穴だった。


リングのある闘技場に出て、大きな掲示板にある名前を見てやっぱりな……と思った。



一番人気は中年のおっさん金属鎧でガチガチに盾と剣

二番人気は壮年のおじいさんで盾と槍に鎖鎧

三番人気は美人で綺麗な獣人のおねぇさんで革の鎧に刺突剣

四番人気はまだあどけない少女で革の鎧に剣

五番人気はいうまでもない。




(あの少女よりもオッズが低いのか……)




しかし組み合わせは、運がいいとも言えるし、悪いともいえる。

この時点で俺の狙いは決まった。……4番人気の少女だ!

俺がぶっちぎりである以上あの子は保存魔力があるのだろう。



全員等間隔にリングに上がり、試合開始の合図をまつ。





「それでは……はじめ!」



2分の1の運を勝ち取り、隣の位置にいる少女に駆け寄る。

周囲探知を使って他の様子を確認すると、お姉さんとおじいさんでおっさんを真っ先に潰しに行くようだ。



(これは幸先がいい……)




「こ、こないでぇ!…………発動!」


手の動きを見ていると【火球】の文字を書いていた。



――ソフトボールサイズの火の球が飛んでくる




ばれないように胸の前で小さく鏡文字を書くと、右に避け火の球がすぐ横を通過するように左手を突出し、小さくつぶやく。



「吸収」



火の球はそのまま消え、瘴気が指輪に吸われているのと同じような感覚で、何かがブレスレットに吸われていった。



「あれ!?あれ?…………発動!」



また【火球】だ……



「吸収」


同じように避け、左手で吸収する。



「あれ?なんで?…………発動!!」



今度は【風刃】だ、目立ちすぎるのも困るので、軽くかわすと距離を詰め、振りかぶった剣の持ち手を掴み、場外に投げる。



文字を書くのを見逃さなければ、魔法に対する対応はなんとでもできるのがわかった。


周囲探知で確認していたが、もうリングには俺と、もう一人しか残っていない。



刺突剣を失った獣人のお姉さんだ。

おっさんを倒した直後、お姉さんが後ろからおじいさんを刺し戦闘不能にしたが、鎖鎧に刺さった刺突剣が抜けなくなったようだ。



「ぼうや……大人しく場外に降りれば、痛い思いはしないけど?」



「こっちにはまだ武器がありますからね」


そう言ってナイフを見せつける。


「女の子には優しくしなさいって習わなかった?」



不敵な笑みをしながら身をかがめる。



「差別はしない主義なんですよ」



「奇遇だね、あたしも子供とかで、手加減する気はない、よっ!!!」


最後の一言と共に猛烈な勢いで襲い掛かってくる。



鋭い爪の右手を振りかぶった瞬間……俺はナイフを



―――真上・・に投げた。



思わずナイフを目で追った隙に、惰性で突き出された右手を外側に避け、そのまま掴むと、場外に向けて引っ張る。

自分がつけた勢い余って、そのまま場外まですっころぶ。



「そこまで!勝者チャビリアンのリョウ!」


観客の怒号とため息の渦の中、落ちてくるナイフをかっこよく掴もうとして、刃を掴み怪我をしたのはご愛嬌。二度とやらん!



-----------------------------



「よくやった!よーくやったな!こんなことならもっと賭けておけばよかったわ!!」



「ありがとうございます」



「運がよかったという奴もいるが、俺は見ていたぞ!お前吸収を使ったな?」



「はい。買わなくても手に入りますし、貯まったら売って釈放金減らせるんですよね?」



「実戦でやる奴はほとんど見なし、新人戦でやった奴は初めて見た!約束通り、近いうちにうちの剣闘会の枠で試合に出してやろう!他になにか希望はあるか?」



「このブレスレットについて、いくつか質問があります」



「そのくらい、知ってる事なら教えよう!」



「一度文字を書いてから、別の文字を書いて発動したらどうなりますか?」



「最後に書かれた魔法だけが発動する」



「文字を書いてから発動までの時間はどれくらい有効ですか?」



「1分程度だな」



「【水盾】や【風剣】などの維持型の魔法はどのくらいもちますか?」



「元々放出量の次第だな、一般人で3分程度、お前だと……1分くらいかもしれん」



(やっぱり俺、一般より放出量低いのか!)


他にもいくつか質問し、部屋に帰った。





「よう、リョウ!勝ったらしいじゃんか!」



「なんとかね……会長も次の試合組んでくれるってさ」



「すげぇな!剣闘会が組んでくれる試合は、剣闘会の年間勝率に関わるし、総当り戦が多いから賞金もおいしいぜ?」



「自分でも色んな試合に参加希望出すけどな……」



「俺は死なないような安全な試合を選んで、コツコツ頑張るよ」



「それが正解だ」



賛否両論あるが、ギブアップありの総当り戦は非常に勝ちやすい。

一日で全試合消化なので、参加者の中で最強でなくても勝てる可能性が高い。

最大の利点は、試合に負けても優勝が可能だし、強者とぶつかる際に相手がけがをしてる場合もある。



無敗を目指すとは言ったが、それはあくまで1つの大会での話だ。

トーナメントなど負けの許されない試合や、チーム戦などの運による物よりも、ほとんど個人戦で、負ける事も出来て、優勝賞金が多い(試合数が多いため)総当り戦は俺にぴったりだ。


参加希望者を募っている総当り戦で、参加条件を満たしている物すべてに参加希望を出し眠る。



次の日、バレスから山の月10日に開催の【ベストカップル杯】への参加指示が来た。

鏡文字はやり方さえ知っていればたいていの人ができます。

両手を前に出して手の中間に線をイメージします。

あとはあまり深く考えずに、利き手で文字を書いてください。

反対の手は利き手に同期する感じで……非常に簡単に鏡文字ができます。

「できないぞばかやろう!」と言う方はご都合主義と思ってお読みください。(謝罪)

少し意識をすると反対の手でも利き手と同じように綺麗に文字もかけます。

ちなみに右手と左手で同時に別の文字が書ける人は天才タイプです。

作者には到底無理です(笑)

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