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サバイバル演習で生き残りました!

久々に周囲探知と潜伏を使う。

学園のダンジョン40階でも思ったが、どちらも万能ではない。

どっちかが上位能力なのか、腕次第なのかわからないが、過信は禁物とあの日心に刻んだ。



まずは、生活の軸が必要である。衣食住の3つである。

古来人間の生活には川が深く関わってきた。と歴史の先生が言ってたような気がする。


学ぶときは、こんなのいつ役に立つんだよ?

と愚痴を漏らしていたが、意外と役に立ってしまうのが、幸せなのか不幸せなのか……


生きるのに水が必要なのは、人だけではない。

動物も植物も必要なのだ。


まずは川辺で乾いた流木を拾う。ナイフで表面を削り、木屑を作り細かい枝を重ねて、太めの枝を隙間ができるように重ねる。服を脱ぎ川で洗うと、布が傷まないように絞り、焚火に火をつける。


火は細かい物から大きなものに徐々に移し、酸素が入ってくる隙間が大事だと現代知識で覚えてる。お手軽生活魔法、温風ドライヤーが使えないのが悔しい。もう一度川に入り適当に髪を切ると汚れを落とし、焚火の前に座る。


わずかな風魔法で空気の流れの調節と、自分と服に風を送る。なんだか燻されてる気分である。


時間は有限なので手元の枝をナイフで削り先をとがらせる、肉にしても魚にしても焼いて食べたいのだ。ナイフがあるが短すぎるし、手から離せば5秒で消えてしまう。コップも鍋も水筒もない。今の土魔法では使用に耐えうるものは作れない。


実はナチュラルに、生活魔法がチートだったことに気が付く。




剣奴隷は国や学園からまわされてくるので、剣闘会にとっては無料なのだが、生活費などは剣闘会持ちである。賞金の一部が還元されるとはいえ、生活費以上を稼げるのはなかなかいない。


それなりに強ければ、その試合に賭け利益も十分出るが、勝てない剣奴隷ほど邪魔者はいない(剣闘会関係者は自分の剣闘会の選手以外には賭ける事が出来ない)


剣奴隷は死んでもお咎めなしだが、殺したり、殺しあわせたりは違法なのだ。

もちろん試合でもデスマッチは禁止されている。


つまりどこかで邪魔者には消えてもらわないといけない……

それが目的のサバイバルだろう。明らかに強そうな奴や何か実績のある奴は、そのまま新人戦にでるらしい。この演習に選ばれてる時点で期待なんかされてないのだ。


いいだろう……俺にはとっておきの秘策が2つある。この2つで、俺は無敗のままここを釈放されてやる!


俺が目指すとことはもっと遥かなる高みだ、いつかヴォル師範に勝てるくらいまで!!




身体と服が乾いたので、服を着て火を消す。とりあえずは今日の晩御飯さがしである。大きい物を獲っても食べきれないし、保存食にする方法もわからない。塩を使ったりして水分をなくせばいいのは、なんとなくわかるが塩なんてないのだ。


小さめの生体反応を探し、川沿いに上流に向かって歩き出す。

あまり山の河原を歩かない方がいい。と現代で読んだような気もするが大雨の後だっけ?とりあえず少し川から離れて歩いて行く。


川の中に生体反応があり、魚がいるとわかるのだが、獲る方法がない。

釣り針も網もないし、ナイフで獲るのも、ましてや素手なんて無理だ。



(爆裂魔法でも使えれば……あ!)




ふと事を思いつき、抱えられる最大の岩を抱え、川の中の頭を出してる岩に近づく。

静かに魚が戻ってくるのを待ち……






――持ってる岩を叩きつけた!!









砕けた岩が直撃して痛かったです。もう二度としません!

もちろん魚が気絶して、プカーなんてことはなかったです。




気を取り直して、鳥やウサギなどを狙う事にした。久々の投げナイフを使った狩りだったが、ウサギを見つけると麻痺ナイフを投げ、川まで運び解体して夕飯にしました。


いつもなら生活魔法でできる事を、魔法無しでなんとかしないといけないので、非常にもどかしい。シティー派がいきなり原始人なった気分だ。


塩っ気のない夕飯を食べると、安全な寝床を求めいい樹木を探し、ひとまず眠りについた。



少ない魔力で出来る生活魔法を考えながら、第1日目はこうして終わった。



-----------------------------



翌日から他の剣奴隷と、遭遇することが出てきた。


川近辺で生活する者が増えてきて、焚火の煙が立つと人が集まってくる。



中には

「みんなで平等に分けよう!」

「みんなの為に食糧を獲ってきてくれ!」



といった奴らが出てくる。

彼らが何語をしゃべっているのか理解ができない。

肉や魚を獲ったから火を貸してくれ。○○するから、○○と交換してくれ。ならば非常に理解できる。


むしろ

「ヒャッハー!!その食糧を寄越せ!!!俺様が食ってやる」

の方が全然理解できる。



何がどう平等で、なぜ俺が知らない奴らの食糧を獲ってこないといけないのか、わからない。


「住むところを作ったり、飲み水を確保したり、各自ができる事をやってみんなで生き延びよう!」


そんなことを言ってるが俺は一人でも問題ないし、そもそもここいいる連中は、全員"みんな"で生きてる中で"なにか"をした結果ここにいるんだろ?


剣奴隷を選んだ以上、死ぬことも覚悟でやってるんだ。各自頑張ってくれ。俺も頑張る。

大きい獲物を狙い、食糧を確保し、もしかしたら何もしないより多くの人が生き残れるかもしれない。でも食糧を狙って殺人も厭わない奴らから狙われ、殺され、奪われるかもしれない。(演習、試合での剣奴隷、剣闘士の殺人は黙殺される)何がどう転ぶかわからないし、ここで助けてもらわないと生きられない奴はどうせこの先も生きられない。


未勝利が続き、どうせまた別な演習に参加させられ、同じ末路だ。

苦しもうとも、少しでも長く生きさせてあげたいなんて、人の生き死にをどうにかできるほど俺は偉くも高尚でもないんだ。



親しくするほど人の死はつらくなるので、自分の食事を終えるとさっさと姿を消す。森や山の中で俺を追えるほどの人は、ほとんどいない。

食事場面に出会ったらラッキーで、あまりものくらい頼まれれば譲る。



たべられるキノコや果実も食べ、実りの季節の山に感謝する。

見る所を見れば、食べるものはたくさんある季節だ。要はそれに気づけるかどうかと、知識の問題だ。


他の剣奴隷の食糧や物を奪う奴らも出てきているので、あまり人に関わらないようにこそこそと生活し、あっという間に川の月80日を迎え集合場所に行く。


最終的に人数は半分以下になり、迎えが来るのを待ちながら数えたが23人しかいなかった。




馬車に揺られながら、俺のしたことは正しかったのかと思い返していた。

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