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家族を守る決断!


「……わかりました」



「賢明な判断だ、では飛竜の正式な譲渡けいや――」



「違いますよ?勘違いしないでください」




「っ!!?正気か?家族を見捨てて犯罪者に落ちてまで、そちらを選ぶのか!?」




「家族には手を出させませんよ、それにそのギャリンの署名は偽物だ、信じる人がいると思いますか?ここは学園ですよ?」



ファラクも、ゴレアンも、エリーも……家族だ手出しはさせない!


「盗賊とはいえ当事者の母親だ、しかも自首直前に娘と縁を切った実に怪しい親子じゃないか……これが本物かどうかなんてどうでもいい、この件に関して学園に深く追及されることも、公爵家やうちを敵に回すことも考えた上での発言かね?」




「必死で考えましたが、ファラクを引き渡せばやってもいない殺人の罪を認める事になり、身内を人質にとられてあなたには一生逆らえない。渡さなければ証拠不十分だし、俺は何もしてないので、犯罪者になる事はありませんが、家族が危ない……しかし、あなたが俺の家族に手を出すのと学園が保護するのは、どっちが早いですかね?」



「たとえ学園といえども公爵家権力とハンガー家の財力をなめるなよ!!」



そうだ……セキロム殺しが露見するより、こいつらが一番危険だ。



「公爵家の権力とハンガー家の財力、それって王様よりも強いんですかね?」




「な……なに!!」




「戦略的な価値がある雌の飛竜、それを献上した者の願いってどこまで叶うんでしょうかね?」




「ば、ばかな!そんなことをしたら貴様……一生をかけ――」




「あなたの一生が残りどれくらいだと思っていますか?私怨からスラムを焼き討ち、証拠を偽造し、脅迫して飛竜を奪おうとする……あ、スラムを実際に焼いたのはギャスパー公爵家でしたね」



「証拠の偽造の証拠などない!!!」



(っ!!あるじゃないか……可能性は確実じゃないがあそこなら確実にギャリン直筆のサインが残ってるはずだ!!)



「……本物である証拠もない、と言いたいところですが、あるんですよ、その証拠が偽造である証拠がね」




「なんだ!?その証拠とやらは!!」



「学園側に提出しますよ、あなたに提示する意味はない」



行ける!!……ギャリンの告発の紙は燃やしてしまおうかと考えたが、これなら逆に利用できる!



「ハッタリだろう?お前宛ての手紙や盗賊同士のやりとりなど証拠にもならんからな!!」



「その証拠の信用性もどうかと思いますがね、少なくともこちらは第三者が絡んでる、身内でもなく、盗賊でもなく地位のしっかりした商人・・がね!!」



「騙されん!俺は騙されんぞ!!!」



「筋書きはこうですよ。あなたのその証拠とやらを学園に提出し、偽の証拠をでっち上げ、飛竜を渡さなければ罪人にすると脅された。家族を人質に取られたことも、もちろん言いましょう。あなたがあの宿を調べて訪れた事は、姉からの手紙にもあります」




「貴様!!!何年かかろうとも必ず復讐するぞ!!覚悟はあるのか!!」



「私怨でスラムを焼き払った公爵家とハンガー家、場所はスラムでも事件の発端は学園内。たしか学園内の恨みに対する復讐は学園の法を持って裁かれる……ご存知ですよね?」



長期休暇中に報復が発覚した場合、場所がどこであれ学園の法で裁かれる。

普通報復するなら足がつかないようにするものだ。



「はっはっはっ!!馬鹿だな!それこそ証拠がない、我々はスラムを掃除しただけだよ」




「証拠ならあるじゃないですか……あなたの手に」



「なに?」



「その証拠が偽造となった時、どうなりますかね?スラム襲撃の前日たまたまその証言がとれ、翌日スラムは焼き討ち、何もかもが燃えた証言者も、その証拠を証明する物すら……。すぐに飛竜の持ち主に罪を着せる証拠を持って来て人払いをしたあなた……誰の目から見ても真っ黒じゃないですか?」





「まだ時間はある。いくらでも帰ってから証拠を作ってやるさ!!!」




「よかった……他に偽造証拠はないんですね」



「数を重ねれば本物になる!!!」




「……よかった。あなたはどうやら小悪党だが、頭はよくないようだ……焦って損をしました」



「なんだと――――」










――――魔弾を発動させ戦士風の男の頭を吹き飛ばす



「あなたのミスは4つ。1つ、他に情報を知る者を消した事」



「き、きさま――」



「2つ、余計なことをべらべらしゃべる事」



「た、ただじゃ済まさ――」



「3つ、俺の身内を狙った事」



「こ、これで貴様は犯罪者だ……ざまあ――」



「4つ、自分の息子を殺した相手の前にのこのこやってきた事だ」



「やはり貴様が!!お前の家族を殺し絶対に飛竜を奪ってや――」



「……別に家族を殺したければ好きにすればいい。この部屋から出られればな」



言葉の意味を理解し、カロナムは目を見開くとガクガクと震えだす




「俺だってここまでしゃべってるんだ、生かして帰すわけがない。殺される覚悟もねーのによその物に手ぇ出すんじゃねーよ。先に死んだ息子さんによろしく」



「ま、まて――――」



――――魔弾で頭を吹き飛ばす。

こいつだけは生かしておいちゃいけない。



後はハンガー家の後始末と公爵家だ。



大丈夫……分の悪い賭けじゃない。家族みんなを守るには、一度俺が罪人になって相手を道連れにするのが確実で安全だ。




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(ギャリン、ヴォル師範……)



二人の考えは全くわからない。ただ二人とも逃げられる戦いを、勝てない戦いを……正面から受け止めて死んだようだ。

自分の主観的な考えだけで判断すると後悔する……

ギャリンがあの時言っていたセリフだ。



「死んじゃったら何も聞けないじゃないか!!!」


(俺にはまだわからないよ・・・ギャリン、ヴォル師範)





そのうち来るであろう講師を待ちながら、元ボスと元師匠の事を考えていた。

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