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機体撃の合格証、師範との別れ!


ダンジョンから帰り、持ち帰った物の販売とジンへの委託をジュリアに任せるとヴォル師範を探しに行く。


次の講義の日程を延期してもらおうと考えたのだ。

機体撃の講義が延期されれば自由な時間がかなり伸びる。


この後編成されていく救助PTの後ろにくっついて行けば安全に18階まで消費媒体を使用せずに行ける。30階到達がぐっと楽になる。


ソロで行く以上利用できる物は利用しないといけない。

前回の探索で初のダンジョン内での睡眠も経験できたし、片道の半分以上が楽できるのは大きい。


【生活魔法を極める】は既に合格認定を4人がもらっており、残りのレイが合格すれば講義は終了である。


学園長との特別講義でも高位魔術の合格認定を正式にもらったのでレイが合格すれば卒業の最低ラインは終わりである。こんなにちょろくていいのだろか?


基礎教育の卒業者は2年で専門合格は6~9、多い人で15程度。

高等教育生は3年で100を超える合格認定を得た猛者もいたらしい。


11歳とはいえそろそろ将来の道について考えなければいけない。

せっかく学校に来たのだ。この時間を無駄にしてはいけない。

ダンジョンの踏破回数も就職には有利な条件。という言い訳を自分にして30階層、さらには生徒記録更新を目指す。



-----------------------------


非常勤講師は講義がない時も学園に出勤していることが多く、職員室で聞くと15時まで身体強化の講義の手伝いらしいので、食べてなかった朝食の代わりに昼食を食べ、結界球2個と食糧を買いヴォル師範を待った。


講義の終わったヴォル師範に声をかける。



「師範、お疲れ様です」



「む?リョウか、ちょうどいい、話があったところじゃ」



「身体強化のアルバイトならもうしませんよ?」



「そんな事ではない、ちょっと場所を変えるかの」



そう言いながら運動場の方に歩いて行く。



「ところで儂を探しておったのか?」



「えぇ……ちょっと言いにくいのですが次回の講義の延期をお願いしたくて」



「儂の知るところによると、スケジュールは余裕があるようじゃが……」



ダンジョンに潜りたい事、深い階層に行きたい事を伝える。



「お主、懲りてないどころか呆れたアホじゃの……ちょうどいい講義なぞでなくてもよい。一生ダンジョンに潜っておれ」



「そーゆーことじゃなくて!!……それにここずっと、講義は頭に水の入ったどんぶりを置いてるだけじゃないですか!!」




「それが今お主に必要な事だからじゃ!」



「言い訳をして手を抜いてるだけじゃないか!!いいさ別に、元々今年の講義を受けるつもりもなかったし、これで自由時間ができてせいせいする!5銀貨はくれてやるよ!ふざけんなよ乞食じじい!!!」



「……言いたいことはそれですべてかの?」



ぶんなげられるかと思ったが読めない表情でじじいはこちらを見る。



「合格認定なんてどうせ出す気もないし、たまに釣れた生徒をからかって遊んでるだけだろ?」



思ってもない言葉が次々に口から出てしまう。


「これで清々したよ!!今までどうもありがとうございました!!!余生をお大事に!!」



「最後までくそ生意気なガキじゃな……これを持って行け」



そう言って小さな袋を投げてよこす。



「お主が欲しがっていた合格認定もやる。じゃが機体撃を名乗る事は許さん。名乗った場合儂が殺しに行く、よいな?」



「言われなくても名乗る気ないぜ!!」



「それはよかった。儂からの本題じゃ。ちょっと野暮用で学園を辞める。その前にお主に質問がある」



話とは学園を辞めるという話だったのか……



「……なんですか?」




「去年死んだ、セキロム・ハンガー、ガロン・フォン・ギャスパーこの2名の死に関してお主何関わっておらんか?」



「しりません」



「やはり嘘が下手じゃの……まぁよい、生きておればまた会う事もあるじゃろう。リョウ、世界は広い。この国に縛られず色々な国を見よ。以上じゃ。それではさらばじゃ」



「さようなら」




-----------------------------



まずい、どこから情報を得たか知らないが、あの質問は俺を疑っている証拠だ。しかもこの学園を途中で辞めるだと?途中で辞める以上想定外の何かが起きてやめたのだ……それにおそらくセキロムとガロンの死に俺が関わってるのを気づいてる……いや知っている。



寮の部屋で考えているとふと渡された袋を思い出し中を開ける。

中には銀貨が5枚入ってた。間違いなく受講料を突き返したという事だろう。



(学園を辞める事が決まっていたから用意していたのか?ならなぜ合格認定を?)



とりあえず救助PTのダンジョン突入まで時間がないので、予備のヒヨコの羽に口笛で呼んだヒヨコからも羽を貰い、ポーチにしまうと食糧の入った使い捨て気分のリュックを背負い、ダンジョンに向かった。


日付は一週間、目標階数は20階と書く。

心配する入口の講師に消費媒体がある事と20階まで行ってることを伝える。


一応他人のPTの後をついて行くのはあまり褒められた行為ではない。

救助PTの気を散らせるのも問題なので潜伏をしながらついて行く。



朝方には結界球の時間が切れてしまうので、救助PTは休みなしのほぼ強行だ、それでもペースはソロよりは遅いのでゆっくりついて行く。



真夜中には18階の重症者を置いてきた部屋まで辿り着き、大きな安堵に包まれていた。

俺はそこを素通りし20階まで降りると小部屋を探し食事にして眠りについた。


-----------------------------



朝起きると、ふと一人で寝るのが久々だった事に気づく。

ここ最近は常に誰かがそばにいたんだな……と今更ながらに思う。

なくなってからでないと気づかない事もあるってホントだぁと思いながら探索を始める。


敵はやはり強くなっているが困難なほどではない、囲まれないように注意しながら罠を便利棒で回避する。

発動した罠の矢の先から液体が垂れていたのでおそらく毒などの状態異常を引き起こす物が塗られていたりするのだろう。まぁ俺には関係ないが。



時間が掛りながらも、推定だが夜になる前には30階に到達してしまった。

自分でも驚きである。しかし魔法が効かなくてナイフで倒した敵も出てきたので、おそらくその逆もいるのだろう。高位魔術が使いにくいダンジョンで出会ったらぞっとする。



壁を土魔法で塞ぐと質素な夕飯を取り眠った。

やっとパラル達と同じ階層にたどり着けた。

しかしあまり達成感はなかった。予想外に簡単すぎたのだ。


例えて言うならRPGのラスボス後の裏ダンジョンに潜ってみたら裏ボスすらいないダンジョンだった……。そんな感じだ。



(意外と俺チート無双なのか!!)

違いますヒヨコ無双です!(笑)

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