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初めてのデートで昼帰り!


翌朝……いや正確にはまだ朝ではないだろう何せまだ俺が起きていない時間だった。



「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



階段から誰か人が飛出し叫んでいる。


ダンジョンは階をへだてて音や魔法などは一切通らない。

なのでこの声は間違いなくこの階層からである。



無視してもいいのだがこの馬鹿でかい悲鳴ではジュリアも起きるだろうし、朝っぱらから寝覚めが悪いことが起きるのも嫌なので助けに向かう。正直だるい。



土の壁に【でるな!】と彫ると一部壊し、そこから出て壁を直す。

幸い階段のすぐ近くなのでへたり込んでる少女が目の前だった。



「あぁ……あ、た、助けてください!!!」


恐怖でへたり込んだ女子と階段の間には魔物が3匹。魔法でさっさとご退場願う。




「うわ!!……高位魔術……消費媒体?」



「あーとりあえず事情は聞くよ?どうしたの?」



明らかに昨日遭遇した俺はえらいぞ君PTのメンバーだ。




「あ……他のメンバーが……お願い階段の上の近くで戦ってるの!!お願い助けて!!!」




「まぁとりあえず手遅れになる前に助ける努力はしてみるよ。まず君が安全なところにいてくれ」




「は、はい……」



宿泊場所の壁を一部崩すと中に入るように指示する。


「外から壁を埋めるから中にいて、メンバーが寝てるから無理には起こさないでね。起きたら事情説明して一緒に朝飯でも食べてて」



外から壁を修復するとだるい身体に鞭を打ち階段の上へ進む。



階段から少し離れた場所の中部屋に人間の反応があり、2匹の魔物と戦っている。



風の魔法を使い部屋に滑り込むと重症の2人と盾を持った剣士が必死に剣を振っていた。



「おーい平気か?まだ生きてる?」



「っ!!助けか!?」



高位魔法でできた魔弾をぶつけると魔物はこちらを見て走ってくる。



「あ、あぶないぞ!!」



貫通で救出対象に当てないように斜線を考え魔弾で止めを刺す。




「だいじょうぶか?」



「……。」



唖然として固まっている。とりあえず逃げてきた女子を保護してると説明し、宿泊先の部屋まで重傷者を運ぶ。




宿泊場所に戻るとジュリアも起きていて事情を説明する。しかしよくあの声で起きなかったな……。



-----------------------------


「交代で見張りをしてたんだけどリーダーが見張りの時間にあたしに話しかけてきて……気づいたら魔物が部屋に入ってきてて……戦闘になったら騒ぎ声を聞いて魔物が集まって来ちゃって……そしたらリーダー逃げちゃって……」




「あーわかったその辺はどうでもいい。問題はそっちのPTは自力帰還できるかだ」




「……正直無理だ……ここは18階……万全な状態でぎりぎりだ……リーダーが逃げ、重傷者2名の状態では不可能だ」



盾持ちの剣士がそう言う




「俺たちは今日地上に向けて出発する予定だった。アンタらを気にしてるとこいつの講義に間に合わなくなるし、何せ移動すら困難だ」



重症者2名は死ぬほどではないにしろ意識がない。




「ねぇちょっと!!命がかかってるのよ!?講義とかより人の命でしょ?」



「リ、リョウ助けてあげようよ!あたし講義一回くらい休んでも平気だからさ……」



「ジュリア、PTリーダーは俺だ、俺のPTの安全を守る責任と義務は俺にある、お前がこいつらを助けたいってなら好きにしろ、それがお前の選択・・でPTリーダーに逆らうなら俺はPTリーダーでなくソロとして自由にやるだけだ」



「逆らう気はないよ……でも……」




「ダンジョンは自己責任の場だ、起きる事はすべて自分らの責任だ。せめて俺らができるのは帰る俺らのPTの後ろにくっついてくるか、余った食糧を置いて行ってやるから俺たちが戻って報告して救助PTが来るのを待つくらいだな」



「そんな……上まで連れてってよ……あの強さならできるでしょ?ねぇ!」



最初に助けた少女が俺の肩を強く揺する。




「慈善事業じゃないって事さ、結界球が1個ある。2銀貨で売ってもいい。メッセージを残して食糧などを置いて行き、できるだけ身軽になって重症者2人に結界球を使い壁を塞ぎ、4人で地上を目指す。3人は別に戦闘もいらないし、ついてくるだけでいい。急げば昼過ぎには戻れるだろう。その後2人が救助PTを編成して戻って2人を救えばハッピーエンドじゃないか?」



「でも結界球の2銀貨も……救助PTの編成費も高すぎるよ!!」




「ここから俺らが全員を連れて地上に出るなら俺らは重傷者を運ぶため今まで得た素材や装備を捨てなければならない。さらにそっちの男とジュリアが1日人づつ背負うから進むのも遅くなる。おそらく明日の今頃の到着になるだろう。もちろんこいつが講義を休む分の賠償もある。救出PTが学園に頼めば手持ちがなくても学園の借入金で編成はできるはずだ」



「あたしが背負うのかよ!!?」



「お前が先頭で戦って地上までいけるなら俺が背負ってもいいぞ?」



「リョウなら一人くらい背負っても何とかなるだろ!?」



「さすがに無茶だ!」



「でも……普通困っている人がいたり、命の危険があったら助けようと思いませんか?」




「それはアンタかアンタらの普通だろ?こっちは別にほっといて帰ってもいいんだ。むしろ結界球をダンジョン内で原価で売ったり、無事な人間を無料で上まで連れて行くって言ってるんだ。善意って奴だけじゃ生きていけない世界もあるんだよ」



「全員で脱出するなら費用はどのくらいになる……?」


盾の剣士がそう聞いてきた。


「別にぼったくろうって訳じゃない、おいて行かざるを得ない荷物分の金と一般的な救出費、こいつの出れない講義分はこいつと交渉してよ」




「わかった、すまない……結界球を譲ってくれないか?今手持ちはないが必ず返す。必要なら戻ってから借用書を書いてもいい。俺は第2寮トーマスだ」



「緊急事態だからね、即金以外は売らないなんて言わないよ。ただしっかり返してね。俺は第0寮のリョウだ」



「ここに彼らを残し最速で帰りたい。よろしく頼む」



「……トーマスさんあの馬鹿よりよっぽどリーダーの才能があるよ、じゃぁ行こうか!」



「ちょっとリョウ!あたし結構荷物あるよ?あんまり早いの無理だよ?」



「あーいいよ帰りは俺が持つから」



そう言ってかなり重いはずのリュックを軽々持ち上げる。



「え・・・?」


風魔法と身体強化を使えば実は何ともないのだ。ずっと使うのもつらいが。



「リュックくらいなら何とかなるさ……さぁ行こうか」




それから罠に気を付け最速でダンジョンを駆け抜けた。

地上に着いたときは丁度昼ごろだった。





(朝帰り通り越して昼帰りだな……こりゃ)

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