初めてのデート!?
今回は探索で少し深めに潜る予定なので"地図"を購入していくことにした。
露店などで販売されている地図はダンジョンの構造変化後からの地図で細かさ、階層によって値段が変わる。
階段案内の10階までならかなり安く1000エギラム程度で買えた。
階段の位置さえわかればいいのだ。次からは暗記してやる。セキラムの時は道を覚えるどころじゃなかったのでもちろん帰りも覚えていない。
たまご往復のおかげで5階は網羅してるし、5階層までは最短距離を突っ切れる。
今回の目標は20階。使用魔力配分の練習と20階までのマッピングの為だ。
危ないと感じる前に引く、今回は俺だけではないのだ、安全第一で行こう。
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生活魔法を極めようの講義の後ダンジョン前で合流し、結界球やその他邪魔になる物を持ってもらう。
「さて!いざダンジョンへ!!」
「リョウは女性にこれだけ荷物を持たせて罪悪感が湧かないのか?」
「俺は人を雇う時、男だからとか女のくせにとか差別はしないよ、お互いの役割分担頑張ろうぜ?」
「だんだんお前の性格がわかってきたよ、コノヤロー!」
ジュリアの不平を無視してダンジョンに入る。今回は3日で目的階層は15階と書く。
「15階層まで潜るのか!?」
「予定だよ予定。万が一の場合逃げ道が下がる階段しかなくて逃げた場合を考えて深めに書いた方が救助PTが下まで探してくれるかもしれないだろ?」
「そうか・・・なるほど!!」
ちょろい・・・実にちょろい
「しかし嫌な予感がするな!怖くなったらすぐに結界球を使うからな!」
「あぁ構わないよ」
(っち!なんだこの野生の勘は!!)
順調に5階まで来るとさくさく先に進む。
ここまでの敵はすべてナイフでさようならだ。麻痺や毒に頼らなくてもナイフでダメージを確実に与えられる技術と筋力が付いてきたと思う。
「しかし最初は馬鹿にしてたがその棒すごいな、罠に一度もかからないとはな」
「偉大なる棒だからな!これがあるとないとじゃかなり違う」
周囲探知では回避できない危機をこの偉大なる棒のおかげで乗り切れている。
6階以降は必要以上に魔物を回避しないようにしていく。
下手に回避するよりも階段まで最短距離を進むほうが短時間で済むからだ。それに一人なら構わないが後ろには荷物を抱えたジュリアがいる、囲まれたら非常に危険だ。
ジュリアに安心感を与えるためにもサクサク魔物を倒すことは大事な事だ。
「しかしほんとに楽に進めるな。なにかインチキでもしてるのか?」
「人聞き悪い事言うなよ。高位魔術がダンジョンで使えればどこの魔術師でもこんなものだ」
「でも魔術師はこんなに罠避けたり、進行コントロールできないぞ?」
「高位魔術が使えて先頭を歩ける強さがあれば魔術師でも平気さ」
「先頭を歩ける強さ?」
「耐久力とか回避力とか、要は攻撃されても死なない強さだよ」
「なるほどね……魔術師じゃイチコロだもんね」
ほんとにこの世界の魔術師は脆い。魔術の特訓の為にあまり身体を鍛えないから重い装備はつけられない。装備が軽くて脆いから避けるしかできない。つまり最初から攻撃の当たる場所には出てこない。
これが一般的になってしまったため魔術師は接近されるとほんとに脆い。
「そう言えば鍵も開けられるリョウは探索者志望なのか?魔術師志望なのか?」
「……聖獣マスター」
「なんだそりゃ?」
「いや、なんでもない忘れてくれ」
雑談をしながらもサクサク進み10階層まで到着した。
講義に出てからの潜入なのでもうしばらくしたら夕飯時だろう。
さすがに荷物を背負ってるジュリアのペースに合わせてるのでソロより時間がかかる。
「ジュリア!このまま進んで小部屋があったら今日はそこにで休憩する、もう少しだから頑張れ」
「まだ平気だぞ?」
「明日もあるんだ早めに休息は取ろう」
結局いい大きさの部屋が見つからず11階に降りた直後の部屋を使うことにした。細かい地図だとオススメの宿泊場所などが載ってたりする。
このダンジョンは不思議な事に通路をすべてふさいで密室状態にすると暗くなる。ジュリアから魔力灯を受け取ると土魔法で壁にフックを作りぶら下げ魔力をこめる。
魔法で突起を作ったりは可能だが、ダンジョン内では元々の壁や床には穴があけられない。
次に唯一の出口を土魔法で壁を作って埋める上の方小さな穴を複数開けて空気の通り道も作っておく
「あんだけバカスカ魔法を使って生活魔法使う余裕もあるのか……」
「出口ふさいでおかないと魔物が怖いだろ?2人で見張りの交代は難しいからな」
「あたしにとっちゃある意味猛獣と同じ檻の中なんだけどね」
「ご期待に沿ってやろうか?」
「やれる度胸があるならね!」
この学園では相手の同意のない大人の行為は重罪である。発覚し、証拠がある場合は即日退学、傷害や強盗が付く場合奴隷落ちは免れない。
さらに被害者側は加害者に対し正当防衛権があり、襲われた場合抵抗して加害者を殺してしまっても罪には問われない。
この学園ではそんなアホな事をする男子学生はいないし、裏ではそんな男子学生相手にビジネスをしてる生徒もいるくらいだ。クソ高いらしいが。
土魔法で桶もどきを作り水を張りお湯にする。
夕飯の支度はジュリアの仕事だ。
「ジュリア、夕飯の続き変わってやるから汗拭けよ」
「そんな事言って覗く気だ!!」
「まだ死にたくないし、あいにく見慣れてるもんでね、気になるなら壁作ってやるぞ?」
「別にいいよ、大丈夫」
そういうとジュリアはインナーを残して脱ぎ汗をぬぐう。
「リョウ交代!もういいよありがと!」
「俺もうさっき拭いたし……」
「えーあんたの拭いた後のお湯だったの!!信じらんない、ヤダもっかい拭く」
「別にかまわないが水をきれいにするのとお湯にするのは自分でやれよ?ちなみに言っておくが俺が拭いた後に水をきれいにしてお湯にし直してるんだからな?」
まったく失礼な奴である。
「あ、ありがと」
「どうでもいいけどお前が拭いた後のお湯そのままなんだが1つ聞くぞ?俺の残り湯で身体を拭くのと自分の残り湯で俺が身体を拭くのどっちの方がいいんだ?」
「……なんかどっちも卑猥だね。そもそもダンジョンでこんなに生活魔法贅沢に使わないしね」
「そうか?」
「大人数になるとある程度魔力に余裕がある人がいるから交代でお湯作ったりするけど、やっぱ万が一に備えるしね」
「まぁ俺は無理してるわけでもないし、大丈夫だ」
「色々と規格外だよね……今頃気づいたよ」
「もう手遅れだけどな」
とりとめもない話をして寝た。本来は見張りが必要なのだが俺が自分で作った壁に寄り掛かって寝るという説得でジュリアを寝かせる。
万が一に魔物が壁を壊しても真っ先死ぬのは俺だ。
周囲索敵をしながら寝れば敵性生物を感知したとき起きる。
盗賊団の頃、森の木の上で身に付けた特技……というより体質だ。
ジュリアより早く起きた俺は軽く朝食を作りジュリアが起きるまで魔力操作の練習をする。
魔力操作の精度と速度はそのまま身体強化の精度、発揮の速さに直結する。
しばらくするとジュリアは寝袋から出てくる。自分用の寝袋だけは持ち込むとはいい性格をしている。というより持ち込まない俺がアホなのだ。
ナイフの投げ練習をしてた頃は地面に寝ていたので慣れている。
(女の子の寝起きの顔ってなんでこんなブサ可愛いんだろうな?)
妙な性癖を発動させながら桶にお湯を張りジュリアに差し出す。
朝食を温めなおして食事を終えるといざ2日目の探索である。
第20部分糞神再登場!新たな祝福!まで加筆修正行いました。
登場人物の紹介をどうしようかと悩んでいます。
一言簡潔にネタバレなしか連載中までのバレありの紹介か……
何かご意見ありましたら感想やメッセージ下さい。




