2年次の体験講義!
今年の体験講義が始まってきた。2と3番目のたまごはまだ反応がない。
運命とは因果なもので午前に投擲術と生活魔法を極めるの講義が重なり、午後は機体撃の体験講義である。
生活魔法は年3回の90日開催の講義なので、体験講義は空の月では今日だけだ。ダンジョンのためにも早めに受けて学び取りたいので体験講義を未参加でも受講料を払い申請する。
投擲術は主に石や槍の投擲練習らしい、体験講義でナイフについて聞いてみたが講義の練習道具にはないが持ち込んで練習することは可能のようだ。
この学園では武器としてのナイフはほぼない。サバイバルの解体用や果物収穫やちょっとした作業に使う用のナイフしかない。
やはり使うなら神からもらったチートナイフを使っていきたいので、今のナイフはそれにできるだけ近い形、重さ、重心でできている。
つまり投げナイフで練習するにしても1本しかないし、複数作るのにはお金がかかる。あまりたくさん持ち歩けないのでもったいない。
予備のためにもう一本ほしいとは思うが練習で2本投げるたびに取りに行くのでは効率が悪すぎる。
去年作ったナイフを10m先の的に向かって風魔法を使い投げる。
――ど真ん中に的中する
(まだ感覚は忘れてないな…)
練習用の野球ボールサイズの石を手に持つと同じく風魔法を使い投げる。
――的中するがど真ん中ではない
(石は少し練習が必要だな)
体験講義の間ひたすら石を投げ練習する。10個中8個は、ど真ん中にあたるようになった。
投擲術は無料講義なので体験講義でも試験を受けられるらしい。
しかし一度受けると再挑戦には10日の時間を置かなくてはいけないらしい。
好きなものを投げ10m先の目標を8個以上壊せればいいらしい。
非常に頑丈な練習用の的と違い、壊れるようにはなっているがそれなりの威力でぶつけないとだめらしい。真ん中近くに当てるほど脆く壊れやすいのだそうだ。
命中率は8割以上あるので早速試験を受けさせてもらう。
練習中講師も驚いていたので合格はほぼ間違いないだろう。
土の魔力でもできる野球ボールサイズ物を投げつけるのは罠解除や小動物の狩りにも使えて便利な気がするが、槍なんか持ってないし使う気もないのでほっておく。
結果はすべての的を破壊し文句なしの合格認定だった。
(こんなに簡単に合格するなら投擲術じゃなく生活魔法の講義に出ればよかった…)
過ぎたことはしょうがないのだ。生活魔法を極めるには期待しつつ因縁のじじいの体験講義に出る。去年の身体強化の講義の手伝いで騙された以降あっていない。非常勤である以上普段どこにいるのかわからないのだ。
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「二人一組になって40cm離れ相手をてのひらで押しあえ、ただし押した側が手のひら以外で押したり、手のひら以外を押したら負けとする。一歩でも動いたら負けじゃ。5分以上決着が着かなければ双方負けとする。負けた者は運動場1周走ってくるのじゃ。勝った者はどんどん次の勝負をしていけ。負けた者は走り終わったらすぐに相手を探して戦え。質問は受け付けんはじめ!」
(去年も聞いたよこれ)
「ヴォル師範これ俺もやらないとダメですか?」
「あったりまえじゃ……しかしどうせ全部勝ってしまうじゃろ…うむ、よし!!」
「なんか嫌な予感がするんですけど?」
「全員こちらに一度注目!今から特別に去年の受講者との組みあいのを見せる。機体撃がどれほどの物か見てほしいのじゃ」
手押し相撲をしていた生徒がこちらに集まる。
「ではリョウ本気でかかってこい。何を使っても構わん。ワシの手を地につけさせることができたら合格認定をやろう」
「何を使ってもいいんだな?」
「お主の身一つでな、聖獣は許可せん。あれは投げられん、他は真剣のナイフでも魔法でも好きにせよ」
「上等だ!泣きを見せてや――」
いきなり宙にぶっとび高速で地面にたたきつけられる。
「しゃべる暇があったらかかってくるのじゃな」
「じじい、卑怯だぞ!まだ始まっ――」
――わき腹に強烈な蹴りが入る
「戦いがいつもヨーイドンで始まると思うな、ほれ早く立て」
「絶対に倒す!!!」
「だからお主は才能がないと言われるのじゃ」
無属性の魔弾を8個展開したが超低空からの足払いにを受けバランスを崩す。
足払いをした右足がそのまま真っ直ぐ頭に跳ね上がりかかとが頬にめり込む。
速度はあるが軽い当たりなのでそのまま右足を掴む。
その瞬間追うように左足が頭部を直撃し最初の気絶をする。
水をかけられては起こされ何度も何度も向かっていった。
しかしことごとく投げられ、極められ、気絶させられた。
「これまで!!受講希望者は5銀貨を支払い、次回からの講義に参加するように。以上!!」
迷うような素振りをする生徒もいたが去年同様、1人も参加希望者が残らなかった。
「な、なぜじゃー」
「そりゃ一年も講義受けた人間がこれだけぼっこぼこにされてるの見たら受けたくもなくなるだろう、講義が厳しいって噂も出るだろうな!」
「そ、そんな普段はもっと優しい内容なんじゃーーー!!」
「それを伝える体験講義でなにしてんだよ…」
「そう言えばなぜお主ここにいる?」
「…合格取れなかったし今年も参加しようかなーと…」
「そんなのは聞くまでもない。早く5銀貨ださんか!明日からの食事代をどうする!!」
受講料として5銀貨を渡すと、とりあえず今日は帰る事にする。ギャリンの事を聞きたいが焦ってはいけないのだ。
「まて、お主どこへ行く?」
「体験講義終わりましたし、受講費も払ったので帰ろうかと…」
「あれだけ投げられたのじゃ!投げられた回数走るに決まっておろう。10回から数えるのを忘れたから20回でよい。いけ!」
これでも投げられ、蹴られ、殴られ全身ぼろぼろだ。
「や、やだな、冗談がうまいんだから…冗談ですよね」
「死にたくなければとっとといけ。次は手加減せんぞ?」
あれで手加減してたとか冗談きつい。全力本気で高位魔法まで使ったがことごとくやられた。魔術師から逃げろとはなんだったのか!!
それなりに強くなったつもりだったが、まさにつもりだったようだ。
重い身体を風魔法で支え地味にズルをしながら走っているふりをする。
今年中に一泡吹かせてやることを心に決め今は耐える。




