たまご同盟結成!
5日目にジンが、10日目にアルベルトが帰ってきた。
やはりこのツンデレ貴族は第0学寮を選んだらしい。
棚に祀ってあるたまごをみるとジンがうらやましそうに見てる。
「いーなーリョウまた聖獣が生まれるのかい?」
「まだ実験だからなーわからないよ。聖獣買うのか?安くしとくぞ?」
「パース。今年も持ち込み金ないもん」
「あれ?アルベルトから銀貨10枚入ったんだろ?」
ちらりとアルベルトを見る。
「な、なんだその眼は!俺はちゃんと休み中に払ったぞ!やめろその眼を!!」
「アルベルトからはちゃんともらったよ…でもほら……妹がいてさ」
そう言えば来年妹が…とか言ってたな、幼馴染も紹介してもらっていない。
「ほんとは足りなかったんだけどさ……学園で稼いだ分とアルベルトからの10銀貨で妹も学園に入れたよ!」
「え……じゃ持ち込み金は?」
「0だね!多少残ったんだけどさ…妹に全部あげちゃった。僕はもう1年だけど妹は2年あるしさ!両親もそっちの方がいいだろうって」
「あれ?普通は男の方が就職先期待されるんじゃね?」
「ほら…アルベルトからの招待状があったじゃん?あれで両親が勘違いしちゃってさ…もうそこで働くみたいに思ってる…」
「…だとさアルベルト」
「俺に雇う相手を決める権利はないさ」
「あれ…?家来見習いとか前に言ってなかったか?」
「あぁ言えば大抵の平民が言う事を聞くと習っていた」
「だれに?」
「……第1学寮の先輩だ…」
「…そりゃこっちに残って正解だ」
「ふん…まぁ一応それとなくお父様に手紙は出しておこう。期待はするなよ?」
「うん、僕も色々頑張るんだ!」
「そっか…持ち込み金がないと買えないよな…」
「いつか払いだといつ払えるかわからないしね~」
「じゃ、このたまご買わないか?」
そう言って棚に祀ってあるたまごを指差す
「う~ん…聖獣うまれそう?」
「検証の為だからな、正直言って可能性は薄い…それでも普通にたまご買うよりは全然確率高いと思うぜ?」
「えーいくらするの?」
「検証結果が知りたいだけだしな!原価の1000エギラムでいいよ。ただしヒヨコが生まれようと腐ろうと責任はとらないぜ?」
「んー1000エギラムか…今すぐじゃなくていいんだよね?」
「生まれるまでは検証の為売れないからな。生まれるまでに払えばいいよ。払う前に生まれたらキャンセルな。その場合何が生まれても1000エギラムじゃ売らない」
「もちろんそれでいいよ。いつごろ孵化するの?」
「1日からこの状態だから、だから早くて20日、遅くて30日くらいかな…まぁ20日してもたまごが腐らなければ聖獣濃厚だ」
「そうなの?」
「去年たまごから雌鶏と聖獣が生まれた時、雌鶏が一番早かったしな、俺のヒヨコも生まれる時も20日以上かかったからな」
「へぇ…じゃ20日までに払うようにする!」
「20日過ぎたら払うとか言ったらジンでもぶっ飛ばそうと思った」
「そんな気がした」
「でも1日から帰ってきてすぐたまご買うなんてリョウらしいね」
「買ったんじゃないよダンジョンで拾ったんだ」
「でもこのたまご学園マークがついてるよ?」
1日のダンジョンたまごゴールドラッシュを説明した。
-----------------------------
「うわ・・・いいなぁ僕も行きたかった!」
「でも魔力阻害の袋が2銀貨だったぞ?」
「…買えないや」
「まだ、たまごラッシュは続くしな、なんだったらジン。暇なときにたまご売れよ、俺がたまご仕入れてくるぜ?」
「え…ほんとに?」
「今年は結構ダンジョンに潜ろうと思うし、見つけたらでいいなら獲ってくるよ。空の月にバカ売れするから一応狙ってみるつもりだったし」
「ほんとにー?でも売れるかなぁ?」
「いざとなったらヒヨコで客寄せすりゃいいさ。1個500エギラムでさ」
「二人で山分けだね!」
「いや…俺がたまごを売るからそれをジンが仕入れて売るんだ」
「??」
「俺がたまごを獲ってきて200エギラムで売る。それをジンが買って500エギラムで売る」
「なるほど!でもそれってリョウが損じゃない?」
「全部売れりゃいいけど売れ残りだって出るだろ?売り子の腕次第さ…ヒヨコのレンタル料はいくらにしようかな…」
「そ、そこはサービスで………」
「冗談だよ、代わりにお願いがあってさ」
「なに?」
「ちょっとした検証もしたいんだ。だから売れ残りから雌鶏が生まれたら俺に譲ってほしい」
「売れ残りなんて出すつもりないからいいよ!代わりにヒヨコはレンタル無料ね!!」
「交渉成立だな!」
ここに第0学寮たまご販売同盟が成立した!
-----------------------------
入園式は相変わらず裏切らない長さと空気の読めない副学園長の話でうんざりだった。ようやく最後の学園長である。
「最後に学園長からのあいさつです。全員起立!」
そういえば執行部ってどうやって決まってるんだろう…
タイミングはもう知ってるので遅れずに立つ!
壇上にいないと思ったらなんと席から飛んで壇上の上に漂う。
「昨年は近年にない数の死者が生徒から出た。学園側の管理不足もあるが各自しっかり注意すること!今から3分間亡くなった生徒の為に神に祈りをささげる時間とする。神よ!あの者らに安らかな眠りを、新たなる生を受け幸福になりますように……」
-----------------------------
「では挨拶を始める!」
「常勤講師!!非常勤講師を下に見るような言動は許さん。どうせやるならばれぬようにやれ!!」
「非常勤講師!!我が学園の生徒に悪影響をもたらすことは許さん!!命が惜しくば厳守するように!!」
「高等教育生!君たちには何も言う事はない!、だがダンジョンの踏破記録をそろそろ塗り替えたまえ!!」
「基礎教育2年次!!悪しき風習はそなたたちの代で食い止めよ!!後輩に厳しく、優しくあれ!!」
「新入生!!驕り高ぶる貴族はニワトリのエサにする。礼儀のなってない平民はトイレ掃除一週間!!」
「少年、青年達よ!!女の子も大事じゃがまずは勉強じゃ!!大いに学べ!!!!」
「少女、淑女達よ!!女性が強い国は滅びない!だがやっぱり殴ってはイカン話し合いも大事じゃ!!」
「副学園長!!いい加減にしろ!!次は残り少ないその髪を焼き尽くすぞ!!!」
タメを作るように大きく息を吸うと…
「生徒諸君!!新たなる可能性を切り開き、自分の夢は自分で勝ちとれ!!!学園で友を作り仲間を大事にせよ!!!!以上!!解散!!」
毎年の事なのだろうが短くてわかりやすく、聞いてて楽だ。
それにしても去年、男子をほんとにぶっ飛ばした女子がいるんだな。
あまり女子との絡みはないが気を付けよう。
寮に戻るとダンジョンに向かう。1と書いたたまごにはできるだけ瘴気を吸わせたいのだ。それに販売用のたまごも確保したいしな!