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おともだちのいえ!

とうとうオーダーしていた正装一式が届いた。

なんかこういう時って無駄にわくわくする。


普段自分が着ない服を着ると違う自分になったような気がする。

精神年齢が40でも心は少年なのだ。身体も少年だが・・・。


山の月90日昼前に行き貴族の事や礼儀を聞こうと思い朝から準備をする。


「なかなかサマになってるじゃないか!」


「リョウどこかの貴族みたいだね!」


「や、やめてくれよ・・・」


鏡がなかなか高価なので自分の姿はわからない。


「いってきます」


「気を付けるんだよ!特に城壁内に入るまではね!!」


「はい!」


こんな格好の子供が一人でうろつくなんてカモネギである。

壁外だったらカモにネギに鍋にコンロに豆腐、おまけにしらたきと炊き立てのご飯が付く。


いつも以上に警戒し周囲探知と潜伏を使う。

城壁内との境の門に着くと許可証を出す。


しばらくすると衛兵が一名やってきた。どうやら屋敷まで案内してくれるらしい。

今日一日あの許可証を持ってくる者を案内するように指示されているらしい。



なかなかやるなフォブスリーン家!

考えてみれば屋敷についてもインターフォンなどないのだ

[アルベルトくーんあっそびっましょ!]じゃないのだ。案内してくれる人がいてよかった。


そんなアホな事を考えていると屋敷に着いた。

入口の門には衛兵がいてそこで案内役交代である。


(・・・貴族だもんな。門に衛兵くらいいるよな・・・)


数分前のアホな考えを忘れ去り敷地を歩く。

手入れの行き届いたセンスのいい庭には少し雪が残ってた。


屋敷の入り口に着くと今度は執事と交代だ。


「アルベルト様のご学友リョウ様ですね。こちらへどうぞ」


まじテンプレ執事のような白髪の背筋の伸びた執事に案内され部屋に通される。


「ただいまアルベルト様をお呼びしております。しばらくお待ちください」


貴族とか王様とか権力ある人間は元々なんとなく嫌いだし、ママンを殺したのが貴族である以上やはり嫌悪感はぬぐえない。しかし丁寧に対応されると恐縮してしまう。根は小市民なのだ。


ソファーに案内され、さりげなく手で着席を促されるので座る。

しばらくするとアルベルトがやってきた。


「よくきたなリョウ。お?こんな時間に来たから服を借りるのかと思ったら立派な正装じゃないか。なかなか似合ってるぞ。」


「茶化すなよ。ジンは?」


「貴族様のお祝いに行くとは恐れ多いってさ。不参加だよ」


まぁ服を借りて汚したり粗相があって・・・首と胴体がさようならってのも嫌だしな。

まぁアルベルトがそんな事するわけもないだろうがな・・

学園1年での生活でなんとなくアルベルトの性格は知っている。ムカツク所もあるが悪い奴じゃないのだ。


「・・・でなんでこんなに早いんだ?」


「貴族様のお前と違って俺は貴族のルールやマナーを知らないからな。先に来て色々教えてもらおうと思ってな」


「僭越ながらリョウ様、アルベルト様へのお言葉づかいもう少し気を付けていただけ」


「ジェイン!よせ、リョウは友だ。友に身分の差はない!」


「は!失礼いたしました。お許しくださいリョウ様、アルベルト様」


「ここで話すのもなんだ、リョウ俺の部屋を案内するよ。ジェイン、軽く食べられる物との飲み物を2人分頼む。」


「かしこまりました」


「リョウこいよ!宝物をみせてやる!」


「お、おう・・・。ジェインさんありがとうござました」


ジェインは頭を深く下げたままアルベルトを見送る。



-----------------------------


アルベルトの部屋に着くとサラマンダ―が覚醒したという自慢や誕生日にもらった剣などいろいろな自慢がはじまった。

途中途中で貴族の身分の上下や礼儀やマナーを聞いた。


気を付けるべきは、物を貰ったりあげたりしない事。

パーティ中の物の受け渡しはデートの約束だったり、一緒にパーティを抜けましょう。というお誘いになるらしい。


落とした私物も拾ってはいけない。執事や使用人が拾って渡してくれるまで待つそうだ。

基本はアルベルトにくっついていればいいらしい。


さらに公爵は爵位の中では最も高いらしい・・・


(あれ・・・ちとまずくね?)


ちなみにフォブスリーン家は領地の経営がなかなかよく、鉱石が豊富に出る鉱脈を抱えており、伯爵ながらもかなりのお金持ちらしい。


アルベルトと他愛もない話をしていると扉がノックされる。


「アルベルト様ご主人様がご帰宅なされました。ご学友と応接間に・・と」


「わかった、今行く。行こうリョウ。家族に紹介する!」


「あ、あぁ」


「緊張してるリョウなんて初めて見たな。意外と人間味があるんだな」


「俺をゴーレムかなんかと勘違いしてないか?」


「規格外の変な奴だとは思っている」


「わかった。ものすごく変な顔で応接間に入ろう。そして俺の思いつく限り変な奴の行動をしよう」


「すまない。わるかった」


「・・・冗談だ。まだ死にたくはない」


「大丈夫だお父様は優しい」


「聖獣を買ってくれたお母さんと優しいお父さん・・・。まさか・・・お前・・!!」


「なんかすっごく失礼な事考えてるだろ?」


「まぁ行こうぜ!人を待たせるのはよくない」



-----------------------------


応接室に座ると葉巻を燻らせた壮年のおじさんが席を立つ。


「お?君がアルベルトの学友かね・・・おや二人じゃなかったのかい?」


「お父様おかえりなさい。もう一人は家の都合で来られないそうです。紹介します学園でルームメイトだったリョウです」


「初めまして伯爵様。アルベルト様と学園で知り合い本日お招きいただきました。平民ゆえの不作法もありますが、ご容赦ください」


「ほぅ・・・話は聞いていたがとても10歳には見えん挨拶だな。どこぞの貴族でもおかしくないな。アルベルトの友なら遠慮は無用だもっと楽にしていいぞ。・・・おっと失礼忘れていた、わたしはロンデル・ロミスカ・フォブスリーン。フォブスリーン家当主にてアルベルトの父だよろしく」


ロミスカと言う地名には聞き覚えがある。確か鉄鉱石の有名な産地

(そこの領主って事か!)


「俺・・初めてリョウに様付きで呼ばれたぜ?・・・なんか気持ち悪いな」


「よろしくお願いしますロンデル伯爵様」


アルベルトをスルーして挨拶をする。


「様なんて付けなくでいいぞ!ロンデルさんかロンデルおじさんで構わん」


「・・では他に人目がなければロンデル伯爵とお呼びしてもよろしいですか?」


「子供がそんなに丁寧な言葉を使わんでよろしい。アルベルトは見習うように!!」


「は、はい。お父様」


「聖獣を安く譲ってもらったり、寮で世話になったことも聞いている。親として感謝している。馬鹿な息子だがこれでも次期当主だよくしてやってほしい」


「アルベルトが貴族様だから仲良くしてるわけじゃありません。今まで通り良き友人でいます」


「アルベルトも仲良くな!」


「はい」


「そう言えばリョウ君はワシの聖獣を持っているそうだね。ぜひ一度見てみたいのだが、お願いできるかね?」


「いいですよ」


席を立ち窓に近寄ると窓を開け指笛を吹く。すぐに笛を聞きつけヒヨコが飛んでくる。


「これがわたしの相棒の聖獣です」


「おぉ!!立派な鷲だなこんな立派なサイズはなかなか見れん」


「お父様は狩りが大好きで中でも鷹を使って狩りをするのが得意なんだ!」


この世界の貴族の狩りは鷹や犬を勢子に使う狩りが人気である。

優秀な鷹の血統もありなかなかに高い。


「相棒という事は売ってくれとも頼めん・・・いつかその子に子が生まれたら1羽でいい譲ってくれないか?」


「聖獣に子供ができるかはわかりませんが生まれた際にはお譲りしましょう」


「それと、少しで構わんから触ってもいいかね?」


「お父様はホントに鷹とか鷲が好きだからね・・・」


「本人が嫌がらなければですが、どうぞ」


さすが鳥の扱いは慣れてるのか撫でられてるヒヨコも目を細め気持ちよさそうだ。


「よろしければこれをどうぞ」


ポケットからヒヨコの羽を一枚取り出す。

万が一に備えて常に数枚持ち歩くのだ。


「おぉ!!これは立派な羽だな!!いいのか?」


「えぇ・・・まだありますし、それにこれ消費媒体なんですよ」


「なに!?」


「ヒヨコの羽にちょっと特殊な事をすると消費媒体になるんです」


「そうだよお父様、リョウは闘技祭の決勝で高位魔法を使って失格になったんだ」


「その歳で高位魔法・・・高等教育には進むのか?」


「おそらく基礎教育で卒業です」


「うむ・・・もったいない・・・卒業後うちの家臣になるなら高等教育の学費をうちが出すぞ!?」


「いえ・・・そこまでしてもらっても・・・卒業できるかわかりませんし・・・」


「まぁまだ時間は一年ある。いつでも言ってきなさい。基礎教育で卒業したとしてもぜひうちに欲しい」


「は、はい」


なんか最近いろんな所で勧誘されてる気がするぞ?


「こんないいお守りを貰ってしまったからな。帰るまでに何か土産を考えておくことにしよう。さて色々支度もあるのでこれで失礼する。今夜は楽しんで行ってくれ」


そう言うと席を立ち去って行った。


「じゃあ俺らも部屋に戻ろう。俺もそろそろ着替えないとな!」



貴族相手だとビクビクしていたが現代の頃の友人の親父と大差ない。

むしろ全然まともな人間だ。すべての貴族があんな感じならいいがそうでないから国が腐っているのだろう。


そう思ってふと思うが噂では貴族の悪い話を聞くし治安もいいとは言えないが国が腐ってるかと言われれば・・・あれ意外とまともじゃね?


法も整備され(実刑を金で逃れる奴もいるが)、学費が必要だが教育もある。国が税金で国民を苦しませるほどの税はない。


まぁとりえず腐った貴族がいるなら、まともな貴族もいるのだな・・・。

アルベルトの父親は実にすがすがしい貴族だった。



パーティではちょっと期待してた女の子との遭遇みたいなハプニングもなくふつーに終わってふつーに帰った。


帰りは馬車で送ってもらい、服を丁寧にしまうと眠りについた。

ヒヨコの羽は消費媒体だったのですね!!

気づいた人はいましたかね!?

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