おとなとはなしあい
「ギャリン!!!」
入り口を無理やり突破しノックもせずに寝室に怒鳴り込む。
「すみませんおかしら・・・止めたんですがリョウの奴無理やり」
「いいよ。さがりな・・・役に立たないねぇ・・・まったく」
「・・すいやせん」
「・・・でなんだいこんな時間に?夜這いに来たわけじゃないんだろ?」
「ふざけるな!心当たりがあるだろ!!」
「はて・・・何のことだい?」
いつもの威嚇するような獰猛な目になる
「カチュアの事だ!!自首するってどういうことだ!!!聞いてないぞ!」
「悪いことをしたら罪を償う。常識じゃないのかい?」
「常識?お前等盗賊が常識を語るなよ!!」
「なんにしたってカチュアが自分で決めた事だろ?なんであたしに怒鳴り込んでくるのさ?」
「カチュアとの母娘の縁を切っただろ!!自分に被害が来ないように!!」
「元々カチュアが卒業した時点で母娘の縁は切る約束だったさ。母親が盗賊の頭目じゃ色々生きていくのにつらいだろうしね。それがちょっと早まっただけじゃないか。だいたい他人の家の事情に首を突っ込むと長生きできないよ」
「そのちょっとが大問題なんだ!!自首する娘を止められなくて切り捨てたんだろ!!!?」
ものすごい速さで近寄られるといつの間にか投げ飛ばされていた。
この感覚はよく知っている・・・。機体撃だ!!!
「うごくなクソガキ!あんたに何がわかる!!」
「お、お前が想像以上のくそったれだったって事はわかる」
「自分の主観的な見方だけで相手を判断すると後悔するよ?」
「俺は間違っちゃいない、アンタはくそったれだよギャリン!思い通りにいかないから押さえつけてお説教か?」
「そんなに死にたいなら今殺してやるよ」
自分の額にまっすぐ降りてきた左肘の衝撃と共に記憶が途切れた
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目が覚めるとそこはエリーとの相部屋だった。
そっとおでこを触るとちゃんと存在してる。穴もない。
ゆっくりと部屋から出るとゴレアンさんに見つかった。
「リョウ大丈夫だったかい?昨日の夜ギャリンの小娘が抱えてきてくれてね・・・ギャリンにやられたんだって?」
「う・・・うん」
「何があったのか察しはつくけどそーゆー事は学園を卒業してからね!」
「へ?」
「それとギャリンからの伝言だよ。【次に見かけたら必ず殺す】・・だそうだよあー怖いね」
これはガチだ洒落や冗談ではない。
「しかし娘の隠し子がいる噂は聞いてたけどあんなにそっくりじゃ隠す意味もないね。とんでもない女に惚れたもんだね!」
「あ・・うん」
「まぁ漢ならしっかりがんばんなさい!おかあさんは応援してる!」
「う・・・うん」
盛大な勘違いをされているようだがスルーしよう余計な心配はかけたくない
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カチュアが自首して他の容疑者、被害者が全員死んでる以上それなりに調査が入るはずだ。カチュアの言う燃やして捨てた装備など・・
状況証拠に犯人の自供。間違いなく有罪。公爵家もハンガー家も多少の罰は波及するはずだ。
学園の中にいる間は安全だがその後の保証はない。
身元も住所もばれない以上、エリーやゴレアンに火の粉が及ぶ可能性は薄い。
(問題は殺人がばれる事よりも思い込みでの逆恨みかー)
とりあえず俺に万が一の事があると考えるとルーアの借用書はゴメスに売ってしまった方がいい。
俺が死んだ場合・・・平民の場合子供以外に相続はなく親や兄弟にも相続されない。国庫に行くのだ。つまり国の奴隷になる。
俺が捕まった場合・・・財産の没収はないが凍結はある。
王国内の裁判は無罪を金で買ったり事件そのものをなかったことにするが学園ではありえない。王国で借金使用人を持つものが有罪判決を受ける事はほぼない、たいてい金で解決する。解決できなくでも借用書を売ってまで減刑を頼む。
本来借用書を持ってる生徒なんているはずもない。学費が高価である上、保護者が必要な以上ほぼありえないのだ。
つまり学園で実刑が確定した場合借用書がどうなるかわからないのだ。
使用人の罰が雇用人に波及するならば逆もあり得るのか?
どうせ人に聞いたところで借用書を売って減刑を望めばいいで終わりである。
ならばさっさとゴメスに売って換金しておくのが無難。
借用書の1654984エギラムを見ると
返済・・・銀貨100枚と書きサインした。
窃盗で銀貨100枚は平民相手にはぼりすぎだ。実際セキロムから銀貨100枚相当を奪って示談にした以上ルーアは払わなくてもいいのだ。盗難届は一つだからな。
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許可証を見せ城壁内に入り夢庵楼に着くと受付であいさつしゴメスの部屋に向かう。勝手知ったるなんちゃらである。
コンコン「はいります」
「次からは返事を聞いてから入れ!」
「努力します」
「それで借用書があるから買い取ってほしいだと?」
「12歳の犬獣人です。今年基礎教育を卒業です」
「額面はいくらだ?んん?65万?しかも今日日付で返済100銀貨だと?」
「100銀貨は不当な借金だったので相殺しました」
「65万か・・・15までに完済できるかどうかのぎりぎりだな。可愛いのか?」
「まぁそれなりには・・・」
「お前もずいぶん悪い男だな。8歳でうちの看板を落とすわ学園の生徒に借金を作らせて娼館に売り込むとは・・・見どころあるぞ!」
「偶然の産物で俺にはここしか当てがなかっただけですよ」
「借用書がある場合お前の時と違って上乗せとかできないから・・・さてこの借用書いくらで売る?」
「銀貨20枚。代わりにお願いがあります」
「なんだ?」
「この子がここで住みこむ際に犬を一匹飼う事を許可して頂きたい」
「んー客の前に見えない所ならいいだろう」
「それじゃ銀貨20枚で」
「もう少し欲張ると思ったんだがな!」
「他にあてがないと手札を見せてしまいましたしね、これからも何かあったらよろしくという意味も込めてですよ」
「頭のキレがうちの従業員とは違うな。学園を卒業したらうちにこんか?跡継ぎ候補で迎えるぞ?」
「考えておきます」
「そういえばノーリがもうすぐ期間あけじゃ。きをつけろよ?」
「あ~大変怒ってらっしゃる?」
「3年の期間明けで迎えに来ると信じているようなのだが・・・その・・・すまん!」
「なんで謝るんですか?」
「ノーリに親が殺された事をしゃべってしまった」
「へ?」
「お前が出て行ってから・・・荒れに荒れてな・・・仕方なくこう・・・親の仇を討つ為に女に黙って出て行ったんだ・・的に語ってな・・・すまん」
「ま・・・まぁいいですよもう会う事もないでしょうから。親の仇と相打ちになったことにしておいてください」
「いや・・・続きがあってな・・・この間リョウに手紙を書いてる時にたまたまノーリが入ってきてな・・・」
「・・・まさか」 ゆっくりと周囲索敵を発動させる
「住所が見られてしまってな・・・」
許可証を見られて俺が来るのを待って、部屋のどこかにいるかと思った。マジビビった。え?このあぶらぎっしゅなんて言った?
「は?」
「いや・・・だから住所がばれた」
「ちょ・・ふざけんな。え!・・・え!?」
「まぁ因果応報だな・・・自分でしっかり後始末していかないからこうなるんだ。俺は知らん」
ギャリンは機体撃の使い手だった。気づいた人はいたかな!!
この様に地味なあれが結構あります。見つけたら感想とかメッセージ下さいね!




