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ゴレアンさん、ただいま!

進級生や留年生が長期休暇で学園を出る際、来年もそのまま同じ寮に残る者はそのまま荷物を置いていける。


他寮への移籍申請者は私物用の棚における物しかおいていけない。

長期期間中に金庫ごと希望の寮に移動になるのだ。


棚に入りきらず持ち帰った物は来年度の持ち込みが不可である。

一部派閥のメンバーや講義の先輩後輩では伝統的に便利なアイテムや装備の受け継ぎのようなものをあるらしい。


受けていた講義のせいかあまり先輩と交流がないのは残念である。


持ち帰る物も特に何もないのでルーアのとカチュアの借用書、それにガロンとカチュアのサイン付きの自白を持って学園から出る。


出る際に学園服から入園時に着てきた服に着替える。かなりちいさい。

このとき自分の成長を感じるのが進級や卒業時の平民の恒例らしい。


進級生は卒業式以降であればいつでも新年度の学園に入れる。当たり前だが一度入ったら退学か来年まで出られない。

高等教育は基礎と同じく年間20万の3年分で一括60万エギラムである。

途中退学でも返金のない容赦ないシステムだ。

ちなみに留年の際は20万エギラム追加+合計で留年は2度まで。

3度目は退学である。なんでも昔、留年しては持ち込み金を貴族に売ったり、学園内無双で稼いでいた生徒がいたとかなんとか。

どこの世界でも色々考える奴がいるもんだ。


50万エギラム借金をしてこどもを入学させ、持ち込み金10万を3倍で売り翌年持ち込み金10万を3倍で売れば卒業後借金はなくなる。

この世界はいちゃもんをつけ借金を増やすゴミは多いが利子というシステムはあまりない。銀行のように賢い所だけが%で金を盗る。


アルベルトが入園時10倍と言っていたがあれはかなりの良条件だったのだ。その後すぐにレートを下げたがジンはホクホク顔だろう。来年は持ち込み金もあるのだろうか?




なつかしい冒険宿・・


「ただいまー」




「おや!もう帰ってきたのかい?もう少し遅くなると思ったんだけどねぇ」


「ほんとは後一日早かった予定だったんだけど、今日帰ってきました」


「おや?その犬は?」


「あ・・・ごめんなさい。学園にいるときに生まれた聖獣で売ろうと思ったのですが色々あって・・その・・・」


「犬の一匹や二匹いいよ。学園はどうだったんだい?」


「すごく楽しかったです!色々ありましたが・・・」


「街の方でも噂が流れているよ。今年は近年に珍しく10人以上亡くなって・・・」


パラルPTで5人クロウェル、ロキスウェルにセキロム、ガロンで9人。それ以外にも死んだ生徒はいるのか。

全体の0、3パーセント程とはいえ子供を失った親からすればそんな"数字"に意味はないのだ。まぁ自分が手を下した俺が言うのもなんだけどな。


「それで休みの間はなにするんだい?」


「学園の外に用事が2つほどあるのでどこかで2日自由に出かけたいのと空の月1日から学園に戻りたいです。少しでも勉強の時間が欲しいので」


「山の月は部屋がいっぱいで忙しいが2、3日手伝ってくれりゃいいよ。学園に戻るのは好きなときに戻りな。うちはそんなに金がないから高等教育までの学費はだせないが、今の学費は自分の金で行ってるんだ。遠慮することなく行っておいで」


「はい」


「そこは子供らしく"うん"にしときな」


「う、うん!」


「それと今エリーは買い出しに行ってるよ。腹減ってるなら何か食べるかい?」


「先にできる用事を片づけてしまいます。夕飯までには帰ります」


「リョウなら平気だと思うけど、ここは学園内じゃないんだからね。気を付けるんだよ?特に貴族には」


学園での癖が抜けずに長期期間中に貴族相手にやらかす生徒もいる。

あくまで学園内で生徒間においての公平なのだ。

一歩外を出れば王政の特権世界。スイッチの切り替えは必要なのだ。

学園での恨みを長期期間中に果たそうとする貴族は毎年の事である。

学園内では何もなかったがガロンの公爵家とハンガーの実家には注意するべきだろう・・・。


「ゴレアンさんそういえば俺宛ての手紙とかって来てませんか?」


「そういや差出人の無いリョウ宛ての手紙があったね?恋人でもできたのかい?」


学園内では自分で明かさない限り身分や住所はばれない。

情報管理に厳しいのは助かる事だ。恨みを持った貴族達に家が囲まれたりするのは勘弁なのだ。


自ら貴族と名乗るのは学園内で生徒に敵を作っても問題ないという自信だろう。

恋人や親しい人にしか教えないものなので素敵な勘違いをしてくれているようだ。


「恋人なら今度うちに連れてきなさい。エリーとあたしが鑑定してやる!」


目が結構マジである。ルーアやカチュアを連れてきたらどうなるのだろうか?

想像したがどう転んでも絶望なので考えるのをやめる。

手紙の封を切るとゴメスのサインが入った城壁内への使い捨て通行許可証が1枚入っている。他には手紙も何もない。


(つまりいつでも来いって訳か)


話は聞いてくれるようなので一安心しもう一つの用事に取りかかる。

嫌いな物は先に食べ、好きな物を最後に食べる派ではないが時間が過ぎるごとに危険性は高まる。


重大な話なのだ、それを理解し、できるだけ早く話をしに来たという姿勢が信用や信頼につながるのだ。些細な事で崩れる繊細な物なのでできるだけ小さく積み重ねて隙間を減らす。それが強固な信頼の築き方なのだ。


懐かしのポーチとナイフを身に付けると部屋を出る。

昔はあまりなかったがこの部屋には女の子の匂いがすごくする。

エリーも色気づいたのだろうか?

エリーはもう20代半ばである。この世界の結婚適齢期は知らないが行き遅れである事は間違いがない。

やめよう・・・こんなこと考えてる事がばれたら多分ぶっ飛ばされる。


時間は有限なのだ。さっさとギャリンのところに行くのだ。



周囲索敵を使いながら潜伏で向かう。すでに外を歩く際の癖になってきている。

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