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基礎教育1年最後の日!

ジュビリー杯?は無事に終わった。馬鹿と脳筋の死の行軍デスマーチになど興味はないのだ。勝ったのは比較的脳筋度の薄い女子第2寮だがどうでもいい。



俺の今の問題はじじいズなのだ。

学園長にすでに年末の忙殺期がはじまりもう年内は講義ができないらしい。

そのくせ来年の講義受講は強制確定らしい。もちろん合格判定なんかくれなかった。来年はもう習う事もないので受講費をふんだくってやろうと思う。


基礎教育は教養のテストと歴史のテストで満点。

教養と言っても物書きと算数がメインだ現代を生き抜いた俺に死角はない。

歴史は暗記物だ。来年の講義免除の為にひさびさに一夜漬けを頑張った。頑張らなくても余裕だったが俺は慎重なのだ。生活魔法はもともと2年免除だ。たまに存在を忘れてる気がする。


来年は基礎教育講義全免除だ。卒業試験を受けるだけでいい。時間がたっぷりとれて色々できそうだ。


ダンジョンは今年いっぱい閉鎖

長期休暇に学園と王国の合同調査が入り色々調べるらしい。願わくばそんな奴らに先輩の魔法剣が出ない事を祈る。


すでに俺は長期休暇に入っているのだがヴォル師範が最後に伝授する奥義があるからと最後の講義の予定を行ってきた。ここで合格認定をもらい気持ちよくエリーとゴレアンの元に帰るのだ。


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「よく来たなリョウ!お主にとっておきの訓練があるついてこい」


(こ、これは一子相伝の奥義とか極伝とかだろうか・・・)


「はい!」








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「ヴォルグさん助かります!ホント猫の手も借りたくて!!」


「こやつが弟子のリョウじゃ。よろしく頼む」


「知ってますよ基礎教育1年で最速クリアした子だね。今日は一日よろしく」


この講師は知らないがこの場所は知っている。

そう・・・身体強化正式名称【魔力を用いた身体強化術】である。



「ほう・・・さすが我が弟子じゃすでに合格しておったか」


「はい、すでに合格済みです。って事は今日はこれで終わりですか?」


「ばかもん何を言ってるのじゃ今日はここにアルb・・・修行に来たのじゃ」


今絶対アルバイトって言おうとしたな。


「では好きなだけこき使ってください。」


「でもいいんですか?合格者が出たら1人につき銀貨一枚って・・・」


「かまわんかわまん。軟弱な鍛え方はしておらん。奴の財布が空になるようではそれまでの才能だったという事じゃ」


「ちょ・・さらっと何言ってるんですか?嫌ですよそんなの!」


「合格認定が欲しくないのか?前金で報酬はもうもらったのじゃ今更どうにもならんぞ?」


「別に専門分野の合格認定はすでに3つ以上ありますよ。こんな無茶してもらわなくてもいいです!」


「い、、、いやまて機体撃の合格認定は今まで誰もおらんぞ?・・・そうじゃ!今なら特別に合格認定と共に師範代をやろう・・・どうじゃ?」


「別に合格認定も師範代もいりませんよ!最後の講義だからと楽しみにしてたらヴォル師範のお金稼ぎですか!正直呆れました!」


「ま、待ってくれ・・・正直たった一年では教えきるのが不可能なのじゃ・・・誰も来ないから受講料をあげるしかないし・・・同期の者がおらんからいつまでたっても自分の実力がわからないままじゃろ?正直他の武術講義にもコネはないしの・・・身体強化なら同世代の相手と身の危険なく練習ができると思ったのじゃ・・・。ほんとにすまん。報酬も断って儂が手伝う事で許してもらってくる・・・。リョウよ・・・ほんとにすまんの・・・。」


「あーもうわかりましたよ!全員投げて合格者出さなければいいんですよね!!やります!」


年寄りの小さい背中は見るに堪えないのだ。

それにこう見えてこのじじいはちゃんと色々考えてる。

同世代に1:1で相手が武器を持っていても素手で制圧できる自信がる。

大人相手でもほとんどは余裕だろう。この実力は間違いなくじじい効果だ。

闘技祭の時も真っ先に逃げろと言ってくれた。終わった後はひどい説教の嵐と審判に掴みかかって危うく謹慎処分だったか。


円の中に入って構える。


「はじめ!!」


相手は後ろに逃げていく。


・・・あれ?機体撃って機を誘って・・・って相手攻撃できないし・・・

(騙された!!)


「じじい!!!騙したな!!何が練習だ!!機体撃の"機"がどうしようもねーじゃねーか!!!」


「誰がじじいじゃ誰が!!!男は一度言ったことはやりきるんじゃな?まぁ嘘つきでへたれで軟弱な弱虫なら話は別じゃがの!!!」


「一瞬でも信じた俺が馬鹿だったぁぁぁぁっぁぁ!合格者誰も出さなかったら合格認定くれるんだよな!!」


「馬鹿言うな来年の金づるを逃がすわけなかろう。ではよいお年を。儂は用がないので帰って寝る。また来年じゃの」


「じじいてめぇぇぇぇぇぇ!!!」


「残り2分です」


「ふっざけんなぁぁぁぁぁ」


八つ当たりにどんどんぶんなげる。コツがわかってきて余裕な相手はギリギリまで逃がし休憩した。


身体強化の講師からお疲れ様と声をかけられたのは日没過ぎだった。

結果は余裕の合格者0

そもそもこの時期にまだ不合格なのは才能がないかやる気がないのだ。

意外に才能があるのか努力の子なのかジンは海の月の下旬に合格していた。



-----------------------------


「リョウくーん」


この学園内で俺を気安く呼ぶ女は二人しかいない。

片方は呼び捨てにするのでこいつは残りの1人だ。


「なんの用だ?」


「探してたんだ!!あの多分最後の支払いになるけど・・・。」


細かい硬貨が多く鉄化も混じってる。ほんとに今の全財産だろう・


「15768エギラムの返済だから・・えっと残りは1654984エギラムだな。あれから45006エギラムか・・・まぁ頑張ってる方じゃないか?」

ダンジョンが閉鎖されている分学園依頼も少なく稼げる仕事自体が少ないのだ。

原因の少なくとも半分は心当たりがあるためあまり強くも突っ込めない。


「あの・・それでね・・・あの」


「なんだ?用がないなら俺は帰る、学園から帰る準備をしなきゃいけないからな。空の月1日に校門前まで迎えに来る。身ぎれいにしとけよ!」


「あの!今日で最後になるかもしれないから……ルゥリじゃないリョウ君の犬と遊ばせてほしいの!」


「・・・まぁいいよ。最後かどうかはわからないだろ?借金さっさと終わらせて買いに来いよ。その時もまた言い値で売ってやるからよ。まぁそれまで売れ残ってたら・・・な」


「そうやって・・・またなんかして取り上げるんでしょ?いいんだ。あの子はあたしが勝手に名づけて盗っただけだから。リョウ君にもあの子にもほんとに悪いと思ってる。あの時はホントにごめんね。パンツ見られてちょっとからかうだけのつもりだったんだ・・・。でも人がいっぱい来ちゃってさ・・・怖くなって逃げちゃったんだ。そしたらすごく可愛くてさ・・・もう離したくなかったんだ・・・。」


「そんなことを言ってもやらねーし借金もへらねーけどな。・・・さっさと行くぞ。時間がなくなる。」


「うん!・・・あのさあのさ・・・実はリョウ君って優しいよね!」


「一月後に同じ顔で同じセリフが言えたら結婚してやるよ。」


「ほんとに?約束だよ?結婚したら借金もなくなるし、思う存分あの子と遊べるね!リョウ君結構かっこいいし。」


一か月後はルーアは娼館だし俺は学園2年生だ。会う事なんてない


「前半部分がなけりゃ可愛げがあるんだけどな」


「ん?何か言った?」


「なんでもねーよ」


-----------------------------


寮に戻り犬を外に出すとジークフリートもついて行く。


どうやらアルベルトはこれから出発するところ、ジンはまだ教養の再テストの勉強中らしい。


「いくのか?アルベルト」


だいぶ大きくなったイグアナを肩に乗せ荷物を整理している。


「母様が門まで馬車で来ているからなもう行かないと・・」


この一年で地味に打ち解けている。


「ね~リョー来年はどこの寮にするの?」


椅子に寄りかかりながら頭だけさかさまにこちらを見てジンが聞く


「あ~第0寮かな~来年はやりたこともあるしできるだけ自由時間も欲しいしな~」


「僕もやっぱ0寮かなぁ・・・アルベルトは?」


気づいたときには"様"付けはしなくなっていた


「オレ様は・・・第1寮だな。尊敬する先輩がいる」


「そっか~。アルベルトいなくなるとつまらなくなるな~。」


「きっさま~出会ったころから思っていたがオレ様をなんだと思ってる!」


「聖獣と騙されて雑種の犬を買ったかわいそうな子。」


「きっさまー!」


「まぁ最初は嫌いだったけど今はそうでもないぜアルベルト。何かあったら言って来いよ。俺たちは寮が変わっても仲間だろ?」


「そうだね!」


「フン!仕方ない。その程度なら認めてやろう。」


「俺今年結構銀貨余ったし来年の持ち込み金もすでに出してるし、空の月に金なくなったら言って来いよ。多少なら貸せそうだ。」


「フン!!所詮お前も貧乏な平民か。どうせ長期休暇中に10倍返ってくる目当てだろ?」


「馬鹿言うなよ、仲間だぜ?そんなアホな事しないよ。せいぜい飯一回おごってくれりゃいいさ。」


「リョウかっくいー僕にも貸して!」


「返せるあてがあるならな!」


「ないから借りまっせーん」


「それが正解だ。」


「リョウ、ジンありがとな・・・。」


「あ?」


「ん?」


「おれ・・・今までこーゆー友達いなかった。ありがとな。」


「頭打ったか?」


「大丈夫?」


「きっさまらー最後の最後まで!!!くそ!時間がない。ではまた!」


「おい待てよジークフリートはどうするんだよ!!」


「・・・。友情のあかしにリョウにやる大事にしてな!!」


「てめぇ!」


「ではごきげんよう!」


逃げるようにアルベルトは去って行った。


くそったれなお荷物犬をおいて・・・。


-----------------------------


「ルーアもう暗くなるそろそろ返せ!」


「やーだもうちょっと~」


「っち!仕方ねーなー」


そう言いながら隣に腰を下ろし、ヒヨコを呼び

犬とヒヨコに魔力を注ぐ。


「いやっ・・・くすぐったぃ・・・ねぇもう・・ちょ・・ダメだってぇ!」


さっきからジークフリートがルーアの秘部や尻尾に興味津々である。

普段から部屋の中なので女の匂いが珍しいのだろう・・。


「もう・・・この犬エッチね!リョウ君みたい!」


「心外だ、謝罪と賠償を要求する!」


「ごめんなさい。」      ちゅ


完全に不意打ちのキスである


「好きだよ・・・リョウ」


「・・・。悪いが俺にはそーゆーつもりはない。」


「・・・ごめんね。ばいしょーにならなかったね。」


「・・・。冗談でもそういうのは嫌いだ。」


「・・・ごめん」


「さーって!ジークお前は何か仕事を探さないとな!ご主人に見捨てられたお前は明日から無職だ。餌の為に働け!!」


「この子ジークって言うの?・・・でも見捨てられた?」


「俺のルームメイトの貴族が聖獣って騙されて買った雑種の犬さ」


ジークハルトはじーっとルーアを見ている。


「ねぇリョウこの子あたしがもらってもいい?」


「お前犬なら何でもいいのかよ。」


「違うのこの子あたしの目をじーっと見てるわ、多分言葉がわかるのよ!ね、ジーク?」


犬がたてにうなずく

念のためにジークを視てみる


【犬(雑種)1歳】


相変わらずだ。


「お前ルーアのところに行きたいのか?」


ぶんぶんと音がするほど強くうなずく


「いいよ、じゃルーアにやるよ。一応貴族からもらった犬だから大事にしろよ?あとなんかあっても俺は知らん。」


「うん!わかったありがと!!」


「あぁ・・じゃぁな・・・気を付けて帰れよ?」


「うん!!・・・・・・・・・・リョウ!!!」


かなり距離があいてからルーアが叫ぶ


「何!?」


「さっきの事・・・冗談じゃないよ!本気だよ!!」


「・・・しってるよ」


「なぁぁにぃぃぃ!!?」


「なんでもねぇよ!!!」


「リョウのばぁぁぁぁか!いくじなしーーー!!!」

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