ジュビリー杯参加者選挙!
とりあえずオぺレーションUCAEQはひとまず終了だ。
このままギャリンに黙っておいてのちのち回収することも考えたがギャリンには借りがあるお世話にもなったし、筋は通さなければいけない。自分が外道だと理解しているが畜生になる気はない。どんな形であれお互いが納得できる決着が必要なのだ。
セキロムとガロンの行方不明から日もかなり経ち、30階到達PTが全滅したこともあってハンガー家の支援の元ギャスパー公爵家私兵団と学園の常勤講師でチームを作りダンジョンの一大捜索に出た。
ハンガー家の当主に呼びだしを受けたが常勤講師同席の元説明をし、ルーアにも示談金として100銀貨が上乗せされている事と今年卒業後夢庵楼という店で働くことを伝えた。
夢庵楼の名前が出た時に一瞬目が大きくなりそれはほんとか?・・と、何度も聞かれた。
(このおっさん絶対行く気だ)
それ以上は特に何も聞かれず、おそらくルーアの借用書を買い取りに来たのだと思った。
しばらくは生徒のダンジョン潜入は禁止となった。
そもそもこの学園は入園時に死亡や怪我をしても文句を言わない誓約書を生徒だけでなく保護者も書く
パラルやラウリー達の両親も真っ赤な目で遺品を受け取りに来たが学園に文句を言う事はなかった。
もうすぐ寮対抗戦ジュビリー杯が開催される。
各寮6名でのサバイバル演習である。
学園の中でも最大も戦いであり、来年の寮の序列がこれで決まるともいわれる。
昔は闘技場でのチーム戦であったが魔法攻撃による死傷者が多すぎるのと魔術師6人での一斉烽火がひどいので野外での演習になった。
女子1学寮から男子2学寮までの計5チームである。
街の外の東の森からスタートしゴールは北の山脈のどこかにいる常勤講師を見つける事である。
常勤講師の初期位置は地図に書いてあるので講師の性格や受け持ち講義から予測して探し出すのである。
女子寮はハンデとして3日分の食糧の持ち込みが許可されている。
それ以外は現地調達である。
各チームに非常事態用に常勤講師が1名付き添い違反がないか確認する。
不正は即失格である。
優勝チームはかなりのスカウトが来るので選り取り見取りの職種を選べる。
参加メンバーに選ばれるだけでも就職にかなり有利だ。
異世界でも就職戦争は大変なのだ。
このジュビリー杯が終わると同時に基礎教育の試験や各講義の合格判定試験などがある。その後は補習や就職面接期間。進級基準を満たした基礎教育1年生や高等教育に行く予定の2年生と高等教育1,2年生はそこから長期休暇である。
ジュビリー杯が山の月の50日から。終わるのに大体10日前後かかる。
それから試験が行われるので早い人は40日ほどの長期休暇になる
なお卒業生はぎりぎりまで就職活動をし山の月90日から空の月1日にかけて盛大に卒業式を行う。
就職が決まるとたいてい見習い期間は住み込みなので卒業式を最後にしばらく家族とはお別れで巣立っていく。
問題のジュビリー杯の参加メンバーの決定方法だがふざけたことに生徒の投票制である。
寮生1枚に3名まで名前を書き投票する。上位6名が参加者だ。
ぶっちゃけよう。あぁぶっちゃける。俺が参加すればその時点で一位はほぼ揺るがない。
東の森は一年前に狩場で使っていた場所だ。おそらく学園内で一番詳しい。いきなり転送されたって自分の位置をおおよそ掴める。
さらに俺にはヒヨコがいるのだ。ゴールの常勤講師なんて初日から補足して足手まといが6人いても3日で余裕だ。
しかし俺がTOP6に入ることはないなぜならば・・・
高等教育生限定である。
さらに俺が決定方法をふざけた・・・と表現したのはわけがある。
一見寮の生徒から見て優秀だと思えるメンバー6人が揃う。
投票先も3人までかけるしなかなかいいシステムだ。
優秀な生徒を選ぶならな。
一週間以上のサバイバルで動き回るターゲットを追うのだ。
索敵、斥候はもちろん食糧の確保、チームの指揮、管理
魔法ぶっ放して俺つえーとか剣で殴り殺して俺サイキョーの出番ではないのだ。
しかし・・・しかし・・・残念な事にこの国では範囲魔法で畑を焼畑する馬鹿とか剣で魔物を殴り殺す脳筋がもてはやされるのだ。
想像してほしい。広範囲に火魔法をばらまくしか脳がない奴と獲物を見たら突っ込んでいくだけの猪剣士
阿鼻叫喚のピクニックである。そんなアホな祭りには付き合っていられない。
食堂の今日の掃除当番に名前がある高等教育生3名の名前を書くと投票箱に投げ入れた。
基礎体力も先日合格認定を受けたので、残りはじじいズの講義だけである。
-----------------------------
「がっくえんちょーそろそろ合格認定下さ~い」
「ばかもん、まだワシは1m位しか飛べん!!合格などまだまだじゃ!」
「いや・・・俺の合格認定なんですけど?もう習うことないんですけど」
古代語が使えて体外魔力と融合が可能で前日学園長のドラゴンの血で消費媒体との融合も終わった。後は放出量の増大の特訓と使いたい魔法のイメージである。ここからは長い自己鍛錬の領域で下手に教えると妙な癖が付くらしい。自分のセンスが魔法の才能とか言っていた。
実際、俺の高位魔術の技術は講義の合格クラスを突っ切っているらしい。
もう半年近く学園長の飛行練習の付き合いである。
「リョウ・・・この講義をなんだと思っておる?」
「・・・高位魔術の習得?」
「ばっかもん!ワシの飛行魔法の習得じゃ!!ワシが飛べぬなら合格など出せるわけもない!!」
(なんでこの世界のじじいは自己中心的なのだろう・・・)
「リョウ・・・いま失礼な事を考えておるじゃろう?」
「そ、そんなことないですヨ」
「この齢まで生きてると色々見えるようになるのじゃ!さぁ特訓の開始じゃ!今日は天井までじゃ!」
(このじじぃたまにさらっと心読んでないか?)
「ガンバリマショー」




