カチュアさんのお仕置きタイム?
復讐の最後の1人
オペレーションUCAEQ最後の1人・・・カチュアである。
まずは学園の様々な場所で聞き込みを開始する。
情報は必要な場所に適切な日時にそこにいるだけで入ってくるのだ。
ただでさえセキロム、ガロンが行方不明になったのだ。今年ダンジョンで死んでいるクロウェルやロキスウェルとも関わっていたので女子の間では格好の噂の的だった。
まずここで一番まずかったのはカチュアが貴族だった場合だ。
しかしルーアからきいたセキロムのカチュアの扱い方はそこまでよくない。
罠の壁代わりにもするし見捨てて逃げたことも何度かあるようだ。
噂話をしていた女子から聞くと苗字はないらしい。貴族未満は確定である。裕福な平民も屋号などを苗字にすることが多いのでおそらく生まれはよくないのだろう。
お金が大好きで頼まれれば女子の下着を盗んで男子に売ったりもしているとか言う噂もあった。
噂好きな人間は得てして話のが好きなだけで、話している内容や相手は二の次なのだ。両親の有無は母親がとても怖いという事だけしかわからないかった。
ルーアのように天涯孤独ならばやりやすかったのだが。
とりあえず権力の後ろ盾がないのはわかった。
(後はぶつかってみて臨機応変だな・・・)
目撃情報を聞き運動場に行く。基礎体力の講義中のようだ
遠くからもわかる金髪にすらっとした手足、高等教育3年と聞いていたが14歳には見えないほどのスタイル抜群だ。この世界は成長が早いのだろうか?
近くまで行くと思わずじっと見てしまった。どこかで見たことあるようなきつい目を向けるこちらに向けると
「あんた何の用?」
「お、おねぇさんと結婚するのって・・・いくらかかりますか!?」
「はぁ?どこの貴族のガキだい・・・あたしと結婚したけりゃ銀貨1000枚持ってきな!」
銀貨1000枚とはこの世界の子供がよく使う"あれ"である。
現代で言う「いちおくまんえん!」みたいなやつである。
「じゃぁ銀貨1000枚払うので結婚してください・・・人殺しのおねぇさん」 最後は声を小さくぼそっと言った。
「アンタ!何のつもりだい!!」
ものすごい形相で詰め寄る。それでも手を触れないあたりさすがは最上級生か。
「なんのつもりもないデスヨ。自分の人生を買いませんか?って聞いてるんです?意味わかりますか?」
「なんだい!結婚だと人殺しだのごちゃごちゃと!!言いたいことがあるならはっきりいいな!!」
「カチュアさん。あなたの強盗殺人の証拠を持っています。学園にばらされて犯罪奴隷になりたくなかったら金を出せ。そう言っています。」
「証拠ってそんなもんあるわけないだろ!!見せてみろ」
ガロンのサインが入った紙を見せる。
「パラルさん達には一緒にダンジョンに連れて行ってもらったこともあります。あのPTが全滅した次の日セキロムさんがパラルさんとラウリーさんの魔法剣を持っていました。見間違いはありません。」
「あれは・・・助けようとしてでも間に合わなくて・・・その後・・仕方なく持ち帰っただけだ。」
「嘘はいけませんよ嘘は。特に簡単にばれる嘘はね。クロウェル、ロキスウェル・・・。覚えていますね?」
「・・・。」
「クロウェルはあなたの目の前で死んだはずだ。結界球の中で安全に見守りながら・・・。」
「っ!!」
「ロキスウェルさんは幸運にも3階まで逃げましてね。その場に居合わせたんですよ・・・。もちろんその後何が残ったかも、何が消えたかも知っている。もう一度聞きましょう。次につまらない嘘をつくならあなたのチャンスは終わりだ。あの日、セキロム、ガロン、あなたの3名は13階でパウルのPTに何をしましたか?」
「・・・。驚かしに行きたいというセキロムの依頼を受けて跡を付けた。救出してくれてありがとうのお礼を言った後、後ろから脅かす話だったのにセキロムが火の高等魔術を使ってパラルのPTを焼き払った・・・。その後装備を拾い集めてしゃべったら殺すと脅されて装備いくつかと8銀貨をもらった・・・。」
「・・・。その装備は今どこに?」
「ばれるのが怖くて燃やして捨てた・・。本当にすまないと思ってる。ずっとばれるんじゃないかとビクビクしてた。でも都合がいいと思われるが卒業までばらさないでほしい。卒業して成人したらなんでも言う事を聞く。頼む。」
「あ・・・いまなんでもって言ったよね?聞いたよ?」
「言った。このカチュア偉大なる母のギャリンの名にかけて約束しよう。」
「は?」
「え?」
「いや・・知り合いにギャリンと言う名前の人がいてね・・・あれ?」
よく見ると金髪に怖い目・・このスタイルの良さ・・・。
「つかぬ事をお伺いしますが、もしかして・・・お母さん職場で結構えらい立場だったりします?」
「そうだな一応人をまとめる立場だな」
「同じような金髪で猫みたいな目をして赤い下着とかつけてます?」
「まさにその通りだ!!母を知っているのか!!」
「うっわぁぁ・・・マジかよ・・・スラムの盗賊団の女頭目ですよね」
「そ、そうだ。平民ならともかくスラム出身は馬鹿にされるからな!隠しているんだ。」
「俺もスラムの出身ですよ・・・ってか入学するまで一年ちょっと入団してたけど見たことないですよ!!?」
「あたしは長期休暇で帰らないからな。母もあんな仕事だ。娘がいるとばれたら狙われる。兄がいたが昔の頭目に殺された。母はあたしに盗賊稼業を継がせたくなくて学校に入れてくれた。ここなら身の安全は外よりいいからな。」
「うぇぇぇ・・ちょっとタイム整理しなおす・・・。」
なるほど、持ち込み金含めて基礎教育分ピッタリなわけだ・・・。
ってか娘が学園にいるなら言えよ!・・・って隠してるのか・・・。
まとめると
ギャリンの隠し子で可愛がってる・・・。
下手にアレすりゃギャリンを敵に回す・・・。
ゴレアンの方が強いが肉親の事になると・・・また話は複雑だ。
「どうした?腹でもいたいのか?」
「いや・・・ちょっとどうしようかと検討中・・・。」
「あたしが犯罪奴隷になるとあたしを連れて母はおそらく逃げる。兄を殺した元頭目をぶっ殺したくらいだ。」
ギャリンならあり得る。しかも逃げるなら盗賊団ごとだ・・・。
ギャリン盗賊団だからこそ街での押し込み強盗がないともいえる。
あの盗賊団がなくなる事で街の治安が乱れる事もあるのだ。
街の治安なんかどうでもいいがエリーとゴレアンは大事である。
でもどう考えてもそこらのチンピラや盗賊程度にゴレアンがどうこうなる想像ができない。たくましい冒険者達が逆らえないハイパー女将なのだ。
「と、とりあえずガロンが書いたものを同じものを書いてもらう。」
「わかった。」
「それととりあえず銀貨100枚での借用書。返済しなくていいし、とりあえず長期休みに入ってからギャリンさんと話してみる。それ次第ではカチュアさんに払ってもらうかもしれない。」
「わかった。・・・ただしこちらが約束を守っているのにお前がばらすことがあったら・・・」
一年前に何度か見たことある目が光る・・。
「犯罪奴隷になろうが何があろうがお前かならず殺す」
「は・・・はい」
間違いなく母娘です。銀貨1000枚賭けたっていい