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学園、白昼の逮捕劇!

修正加筆済み 2018/01/08


「まずお互いに状況を確認しよう。俺はセキロム、ガロン、カチュア。この3人は絶対に許さない。死ぬよりつらい目に遭わせる。そしてうちの子は必ず取りもどす。これは最低条件だ」


「うん……」


「可能な限りルーアから情報が欲しい、見合うメリットは出す。お互いの目的が達成するまで、俺たちは仲間だ」


「う、うん」


「この2つだけは俺の神と先祖に誓って約束しよう。1つ、俺の目的が達成された時、あの犬はルーアに言い値で売ってやる」


「ほ、ほんと!?」


「あぁ100銀貨でも1鉄貨でもいいよ。好きな値段で売ってやる。それから2つ、セキロムの家から借りてる70万を何とかしてやる」


「ほんとに!?」


「確実にじゃないが、なかなかいい確率だと思う。もちろんルーアにもそれなりの役目をしてもらう。いいな?」


「う、うん!!」


「もう一度言う、いいか俺たちは互いの目的を果たすまでは仲間だ!裏切りは絶対に許さない!いいな?」


「うん!」



オペレーションUCAEQ開始である。


-----------------------------


まずは情報取集である。


うちのわんわんがあの状況なのだ、一刻も早く救出したい。しかしガロンとカチュアに対する報復も思いつかないし、非常に迷う。


なるようになれで、万が一にも見逃せる相手ではない。3人とも死刑以上は確定である。

俺の持つ少ないコネと人脈から、証拠を残さず成し遂げるのに最適なのはダンジョンである。

しかし3人揃っては非常に難しいし、困難を極める。

ダンジョンに入るには申請が必要だし、何より3人同時に苦しめる……と言ったことが非常に難しい。


いくつかのシュミレーションをし、最も成功確率が高い手段に決める。

ミスは許されないのだ。


運も絡む部分が出るが仕方ない……


そう心に決めると作戦内容をルーアに話した。もちろん要所要所はぼかし、ルーアに必要な部分だけしっかり伝える。

万が一にもこいつが裏切ると、俺がピンチだ。



-----------------------------



まず職員室に行き、先月盗難届を出している聖獣を所持している生徒を見つけた。と報告する。


特徴から名前までしっかりと学園長に伝える。

執行部の生徒数名と常勤講師3名を連れてセキロムの寮へ殴り込む。


最近、セキロムがなつかない聖獣を叩いているのは誰もが知っている。


「学園執行部だ、セキロム・ハンガー。聖獣窃盗の容疑で拘束する」


「え?ちょっとなんだよ!!」


「その犬の聖獣は先月学園内で盗難にあったリョウ氏の聖獣の特徴に酷似している。入手経路の説明を求める!」


「こ、これは買ったんだよ!!基礎教育2年のルーアって女から!!」


「前後関係を調べる。学園本舎までご足労願う!」


拘束状態のまま見世物のように学園に連行されるセキロム。0,0002パーセントほど溜飲が下がる。



-----------------------------


「基礎教育2年ルーア、事情聴取の為、連行しました」


「入れ!」


「ルーア!!お前のじゃなかったのかこの犬は!!!」


「セキロムさん。発言の自由は許可しておりません。お静かに。ではルーアさんお尋ねします。こちらの犬の聖獣ですが、どちらから入手し、セキロムさんにどのような経緯で売りましたか?」


「あ、あたし…売ってないです……その…借金の利子だって……連れていかれました」


「ふむ、意見の相違があるようですね。それはひとまず置いておいて、こちらの犬の聖獣はどこで手に入れましたか?」


「あ…あの先月、職員室の前でそこの人とぶつかって……どさくさに紛れてそのまま盗っちゃいました……ごめんなさい!!」


「なるほど、正当なる所有者はリョウさんという事ですね。セキロムさん、お尋ねします、聖獣の売買において意見が異なるようですが、何か意見はありますか?」


「っ!… …払えばいいんだろ?払えば!僕は盗んだ物だって知らなかったんだよ!!僕は悪くないだろう?」


「学園で調べた所、ルーアさんはハンガー家の借金使用人となっておりますが、間違いないですか?」


「あぁ間違いない。パパの昔の玩具だよ。今は僕のお小遣い生産機だけどね!」


なるほど……これで一つ謎が解けた…朝早くから職員室前にいる理由、父親に言われたとは言え、結界球を渡しておくほどの念の入れ方、そしてあの年齢による借金の金額……

この世界の借金は親の借金を子供が背負うことはない。

むしろ子供の為に借金を繰り返し、子供に持たせ、死ぬ親までるくらいだ。

70万という金額は11歳の少女が抱えるにしてはいささか多すぎた。

おそらく学園の40万の学費が含まれていて、持ち込み金を10万出し、すべてセキロムに流れ、その後も学園内でアルバイトや学園依頼をこなしては、セキロムへ借金の返済を迫られていたんだろう……


閑話休題かってなもうそう



「奴隷、借金使用人の犯罪は使用者への責任も問われます。ルーアさんが認めた以上、窃盗での有罪は確定です。何か申し開き等ありますか?」


「僕のパパは公爵様御用達の商人だ。パパに連絡してよ!このくらいなんとかしてくれるさ!!」


「ここは学園内、いかなる国の権力も届かない治外法権の地、たとえあなたが退学になろうと国から逃げようと、学園の法は平等に罪が決まります。治外法権と言いましたが、ほとんどの法の重さは外と同じです、今回の件に関しても窃盗に罰が下ります。もちろんルーアさんの使用者のハンガー家にも」


「ちょっと待ってよ、家は関係ないだろ?そいつとルーアの問題だろ?」


「いいえ、残念ながらリョウさん、ルーアさん、そしてルーアさんの雇い主のハンガー家の問題です。もし仮にリョウさんが盗難届を取り下げていただければ……いいのですが」


ちらりとこっちを見る。

ここまでやれば十分でしょ?後は謝罪なり賠償なり好きにしなさい。

という執行部員の視線が飛ぶ。


「っ!…わかったよ金だろ金?5銀貨か?10銀貨か?パパに頼んで持ってきて持ってきてもらうよ!!」


「……まずは鞭で叩いたことをうちの犬に謝罪して頂きたい。話はそれからだ」


「誰がこんなボロ犬に謝るかよ!!!疫病神め!!!」


そういってセキロムは子犬を蹴った。


湧き立つ怒りを立ち上がる寸前で押しとどめる。


「執行部!!窃盗が確定して俺の物だと判断した時点でなぜ保護しない!!!今のは明らかな仲裁役の落ち度だ!!!」


「大変申し訳ありません!!」


セキロムの両脇にいた執行部員がセキロムの頭を机に抑え込むと、子犬を保護し俺の隣に連れてきた。


「くぅーーん。くぅーん!」

頭を優しくなでてやり、魔力を送り込む。


「執行部に謝罪と賠償を求める。話し合いは終わっていないが、この子はあまりにもお腹が空いているようだ。いい物は求めない、できるだけ早く何か食べさせてやってほしい」


「早急に対処します。誰か……ビーストテイマーの講師の元へ連れて行って世話を…請求は執行部へ」


「はっ!」


そういって執行部員一名が子犬を抱きかかえ、部屋から出ていく。

ルーアがそれを物欲しそうに見ている。


もうこれで謝るチャンスはなくなったのだ……


「俺の聖獣に対する横暴な態度、謝罪する誠意も感じられない。俺は絶対に許さない!!」


「意地を張るなよ、平民!!苗字がないって事は貧乏なガキだろ?10銀貨払ってやるよ。それで取り下げろ」


「……わかったよ。金で解決させてやる。100銀貨……100銀貨で盗難届を取り下げよう……」


「っ!!足元を見やがって!!!いいよ、払ってやる山の月の長期休暇にうちに取りに来い!!」


「何言ってるんだ?今、この場でだ……俺がこの部屋から出る前に100銀貨だ。それが払えないなら後は知らない」


「待て!!100銀貨も持ち歩いてるわけないだろ!!寮の金庫になら50銀貨ある!!!知り合いに借りれば今日中に!」


「ダメだ、俺がこの部屋を出るまでだ……持っているだろう?100銀貨……払えないとは言わせない」


そういいながら部屋から出ようとする。


「犯人はわかった。聖獣も取り戻せた。俺はここを出ても構わないですか?」


「ご自由にどうぞ、ルーアさんとハンガー家への処罰は決まり次第、学園回覧に掲示されます」


「待て!!ホントだ、僕は今100銀貨なんて持ってない。調べてくれてもいい!!あるなら払うから!!!」


扉に向かう足を止め、振り返らずそのまま質問する。


「ルーアさん。あなたがハンガー家から借りている金額はいくらですか?」


「な、70万エギラムです」


「ほら……ここに70万もある…それに」


振り返りながらセキロムを指差す。


「高そうな剣が2本に、いい質のローブ、瘴気を溜めこんだ指輪に魔宝石のついた指輪。たくさん持ってるじゃないですか?」


「ル、ルーアはパパの使用人だ!僕に売る権利はない……」


「それこそパパに頼んだらいいんじゃないか?まぁパパが雇用主って言うならパパに罪が及ぶだけだけど……それじゃ、またどこかで……」


「わ、わかった。払う、払うから盗難届を下げてくれ……」


「下げて……くれ?…幻聴が聞こえる」


「さ、下げてください」


「2日以内にルーアの借用書の名前を俺の名前に変え、届ける事。それでまず70万。残り30万は……どうする?」


「寮の金庫に行かせてくれ……残り30万すぐに払う!」


「ダメだよ……ルールは今、ここでだ……」


「このローブ……ブラックモルフォの繭からとった糸で作った火属性の防御と攻撃力が上がるローブだ。これで何とか……」


「そんなものいらないね……価値が俺には分からないんだ。そこらのローブと違いが判らない」


「じゃぁ……この指輪だ。魔宝石が付いている。これならいいだろ?」


「俺は君の魔法イメージを知らない。中古の魔宝石には価値がないくらい、知っている」


「じゃ、じゃぁどうすればいいんだよ!!」


「そうだな、…とりあえず……全部。全部脱いでおいてけよ。それでギリギリ30万にしておくよ」


「馬鹿を言うな!!!これだけの物、全部揃えたらいくらになると思っている!!!」


「それがわからないから全部おいていけって言ってるんだよ。大好きなパパが学園に捕まって、前科が付くことを御用達の貴族様はどう思うかな?」


「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」










「あ……下着も全部おいてけよ?」

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