俺って実は地味に強い?
修正加筆済み 2018/01/08
Bグループの試合が終わる。やはりAグループと同様、7人でのチームを組み、人数差で他を圧倒し、7人になると他の6人がリングから降りた。
本来闘技祭は1、2年別のトーナメント式だったが今年は時間短縮とバトルロワイヤルでの戦闘評価を見るために試験的に導入となっていた。
どう考えてもルール漏れだろ……ってかあいつら以外が思いつかなかったのが笑える……もちろん自分こみだが……
決勝戦の相手は基礎教育2年の王宮剣術講義生らしい。
革製の鎧もガッチガチで剣の木もなんかよさそうな木を使っている……(気がする)
ナイフに赤い塗料を付けるとリングに上がった。
リングの大きさは5mの正方形でそれほど広くない。もちろん場外は負けである。
「赤い塗料が一定以上つくと私の判断で負けとする。それでは互いに全力を尽くすように。……はじめ!!」
相手がいきなり突っ込んでくる。王宮剣術とはイノシシがモデルなのだろうか?振りかぶりに合わせて相手の右足を踏みながら半身で踏みこむ。
振り下ろしに合わせで右肩で当身をしながらナイフで手首をはらう。
相手はカウンター気味に決まったショルダータックルで吹き飛んだ。
これで終わりである。
しかし審判は試合を止めない。
相手は腰からもう一本の木剣を出すと再度突っ込んでくる。
手首に赤い塗料はくっきりついている。試合終了だと思って油断した俺は反応が一瞬遅れ左手の篭手で木剣を受け止め、持っていたナイフを投げつけると空いた右手で斬ったはずの手首を極め投げ飛ばす。
今度は立ち上がる前に頭にサッカーボールキックをすると木剣を拾い胸を踏みつけ木剣を首筋にあてる。
審判の方を振り返ると試合終了を告げた。
「試合終了!!この勝負引き分け!」
「へ?」
「ただいまの試合、王宮剣術講師側より意見があり、最後のガロン氏の攻撃を防いだ時、リョウ氏の左腕が斬れていたと主張がありました。審判の目から見ても赤い塗料ははっきりと残っており、真剣であれば腕が落ちていたとみなします」
「ちょっと…待ってくださいよ!先に斬られていたはずの手で木剣を持ったのはあっちですよ?真剣だったらそこで終わってたはずです!」
「ば、ばかを言うな俺は真剣だったら避けてたに決まってるだろう!!」
「俺だって真剣だったら避けてるに決まってるだろうよ!」
「し、しばらくお待ちください……審議いたします……」
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審議の途中ではありますが、王宮剣術の講師より真剣勝負をすればいいとのご提案があり、機体撃近接総合格闘術の講師がこれを了承したため、引き分け決勝戦は真剣勝負で行います。各自武器を用意してください。
「え?ええ?ちょ!!」
相手側は何人もの生徒、おそらく講師と思われる者が集まり、ガチャガチャと金属製の鎧を着けたりしている。
ふと、みるとリングサイドにじじいがいる。
「ちょ、何言ってるんですか!死んだらどうするんですか!!」
「弟子の命より明日の金。これは機体撃に口伝で伝わる奥義じゃ!」
「ちょ、ふざけた事言わないでくださいよ!……え?ナイフとかは?」
「そんなもんいらぁん。あんなこぞー、素手でも一捻りじゃ!」
「ヴォル師範じゃないんだから無理ですよ。棄権しますよ!!」
「棄権などしたらぶっ殺す!こちとら生活費かかってんだ!死んでも勝て。負けたら生き返らせてもぶっ殺す!」
「試合を始めます!各自リングへ!」
どうやら逃げ場はもう無いようだ……
上がってきた対戦相手のガロンは全身金属鎧に兜までつけ剣を2本差し、盾まで持ってる。ガッチガチである。
対して俺は革の篭手(左手のみ)に木のナイフである。鎧なんてものはなく学生服のままである。
「なんでもありの真剣勝負だ!死んでも後悔するなよ」
「死にたくないんでお手やわらかに……」
「はじめ!」
「なんでも……ありだよな!!!」
そういうとガロンは装飾の凄い腰の剣を抜き、その場で振り払った。
(あれはまずい!!)
とっさに横に避けると風の魔法が俺のいた地面を抉り取る。
あのままあの場所にいたら真っ二つコース間違いなかった。
確実に殺すつもりで来てる。
ガロンの方を見ると兜の下でニヤニヤ笑っている。
観客席からは怒号が飛ぶが、ガロンの一挙手一足投を見ている俺の耳には雑音にしか聞こえない。
「リョウ!!!逃げろ!リングから降りるんじゃ!!!」
後ろで聞き覚えのあるじじいの怒号が聞こえる。
(なんでも……ありだったよな?)
指笛を吹くと振りかぶったガロンの攻撃に合わせ回避する。
「ばかもん!!リョウ!!逃げろ!!!」
ガロンが3発目を撃とうと振りかぶった瞬間、高位魔法で無属性の弾丸を生み出し、高位魔術によってガロンの持ち手と剣にぶつける。練習の成果で球体から紡錘形を経て、ほぼ弾丸と言える流線形になった。同時展開の6発はすべて回転を加え貫通性を増している。
着弾し、ガロンは剣を手放し、剣は弾が当たったところから真っ二つになった。
次の瞬間、空から相棒がやってきた。
「直接当てるな!足元でいい!!」
ヒヨコの放った風の爪はガロンの足元を大きく削り、ガロンの攻撃以上にリングを削った。
ヒヨコは俺の左腕にとまり、褒めてほしそうに鳴きながら目を細める。
「なんでも…ありだったよな?さぁ…続きを始めようか……ガ、ガラル君?」
ガロンはうずくまったまま動かない。どうやら手から出血しているようだ。
「そこまで!ルール違反により勝者ガロン選手!」
「うえぇぇぇぇぇ!!??」
「審判サイドの検知によりリョウ選手の高位魔法の発動を確認しました。聖獣の使用も認められていません」
「ちょ……向こうは魔法剣とか使ってんじゃん。」
「真剣勝負にて剣である魔法剣は許可されていますが、高位魔法と聖獣は許可されていません」
「は?なんでもありっていったじゃん!!」
「あくまで選手同士の口約束です。闘技祭の真剣勝負ルールですと残念ながらルール違反で失格です」
「そんなぁぁぁぁぁ!!!!!」




