予選?突破!
修正加筆 2018/01/08
「よーし!今日はこれまでじゃ!」
「……はぁ…はぁ……ありがとうございました」
今日も一発も殴れなかった。永遠とつづくじじい無双タイムであった。
「ところで今月の半ばに闘技祭がある事は知っておるな?」
「前に聞きました。武術系の講義を受けてると出れるんですよね?」
「登録してきた、優勝してこい」
「おぉーがんばります」
「……。…ほれ」
じじいが右手を出している。
握手かと思ったが手のひらが上だ
「え?」
「え?じゃない。参加費1銀貨。はやくよこせ」
「え?初耳なんですけど」
「闘技祭は無用な参加を避けるために参加費が必要じゃ。もう登録してきた。立て替えた参加費を払え」
「俺が参加しないって言ったらどうするつもりだったんですか?」
「お主に選択権があると本気で思っておるのか?面白い冗談だ。痛い思いをする前にさっさと払え」
講義の回を重ねるたびにこのじじいは横暴になってきてる気がしてならない。
しぶしぶ参加費1銀貨を出す。
「どうせ返ってくる金じゃ。さくっと優勝してこい!」
「参加費返ってくるんですか?」
「んなわけなかろう。賞金で取り戻せ!」
「…何位から賞金が出るんですか?」
「優勝のみに決まっておる。優勝賞金は参加費総取りじゃ」
無茶苦茶だな……じじいも学園も…
「ルールとか全然聞いてないんですが…」
「参加申請したときにルールブックをもらってきた。読んでおけ」
「はい…」
ルールを要約すると
1、基礎教育生1、2年全員でのバトルロワイヤル
2、闘技場特設ステージでA、Bグループの2回戦で各グループの勝者で決勝戦
3、武器は木製、防具は革製、高位魔法は禁止
4、リングアウト、降参、審判の判断による戦闘不能で負け
5、決勝戦のみ武器に特殊な塗料を塗り、真剣が当たったと判断される。
「ヴォル師範……ルールを見る感じ機体撃って圧倒的に不利じゃないですか?」
「それを覆して勝つのが漢じゃ。負けは許さん。逃げ回れ、ぶん投げろ、お主が死んでも構わん。勝て!」
「最後のがちょっとおかしいんですけど」
「優勝賞金の半分は儂の取り分じゃ。絶対に勝て」
「え?なんでですか?」
「儂が教えているのだから勝てるのじゃ。当たり前じゃろう?それに申請はギリギリじゃった。儂が申請していなければ参加すらできなかった。当然の権利じゃ」
「は、はぁ……」
「ちなみに当日は賭けも行われる。もちろんお主の優勝にかけるので負けたら許さん!!」
「そ、それはヴォル師範の都合ですよね!?」
「万が一にも負けたら掛け金はお主から回収する!いいな!いいな!!」
「よくないです!優勝したら何かあるんですか!?……あ、合格認定をくれるとか!」
すでにダンジョンの潜り方、身体強化、ビーストテイマーで3つ合格があるので別にいいのだが……
「ばっかもん!!その程度でやれるか!!まだまだ未熟者の分際で!!こい性根を叩き直してやる!」
(誰か金払うから、このじじいの根性叩き直してくれないかな?)
そんなことを考えてるとあっさり投げられ宙に舞う……
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そしてとうとう闘技祭り当日。
くじを引くとAグループを引いた。各グループ30名程度の計63名
優勝総取り63銀貨である。いやはや……なかなか洒落にならない金額である。
闘技場のリングは25mプール程度の長方形で一定間隔の距離をとって、スタートの合図とともにリングに上がる。以降落ちたら失格だ。リングに上ってから両隣の相手は攻撃してはいけない。30秒経つとブザーが鳴り隣にも攻撃可能となる。
(集中攻撃されないことが大事だな……)
「はじめ!!」
開始の合図とともにリングに乗りそのまま中央を目指す。
リングから落ちたら問答無用で負けなのだ。
30秒後の乱戦に付き合うことはない。
同じ考えのやつも何人か中央に向かって走ってくる。
周囲索敵を使いながら人の少ないリング際に慌てず向かう。
装備は左手の篭手と木のナイフだけである。三十六計逃げるにしかずに従いひたすら逃げ回る。身体強化で鍛えた回避力に追い付ける基礎教育生などいないのだ。
囲まれない位置をキープしながら逃げ回る。
ふと気づくとリングが狭くなってきてる気がする……
(あれ?こんな狭かったっけ?)
ためしにリングの端に立つと少しづつだが中央に向かって動いている。
(そう言う事かよ、くそったれ!)
足元のリングが消えるよりはましである。ナイフを腰にさし、場外に背を向けると周囲の状況をうかがった。
周囲索敵にリングふちを高速で走りながらこっちにくる人間がひっかかった。
「あれぇ?きみ、どこかであったような……」
「てめ!犬泥棒」
「あー、パンツ覗き魔!!なにアンタも参加してたの?」
「しちゃ悪いかよ!ってか犬返せよ!」
「もらったものは返せませーん!」
「やってねぇよ!盗んだんだろ?」
「ちゃんと対価はらったもーん。ってかルゥリめちゃめちゃご飯食べるんだけど……食費がやばいんだけどカンパしてくんない?」
「大会の参加料払えるくらいなら楽勝だろ?」
「参加料、せんせーが出してくれたんだよね~。カンパできないから代わりにって」
「まぁ…いいや、で?俺とここでやりあおうっての?」
「いやいやそんな気はないヨ。あたしはとりあえず逃げ回るさ!じゃね」
振り返るルーアを見ながら中央の混戦に目をやると
「隙ありっ……」
突っ込んできたルーアを紙一重で避け、足を引っかけた。
顔面からリングに突っ込みリング際でうつぶせに倒れこんだ。
「……あぅ~」
「ルーア選手……最後の一言は?」
「ゆ、ゆるしてニャン」
「お前犬だろ?」
躊躇なく蹴りころがし、リングから落とす。
蹴り飛ばさないだけ優しさはあるのだ。
すでに残りは10人程度。リングは10m程度まで狭まっていた。
5人ほどが徒党を組み、残りの人間が対抗して即席チームを作っている。
しかし5名ほどのチームは明らかに集団戦慣れしており、一人ずつ確実に落としたり戦闘不能にしていった。
5人以外が全員失格になると
「報酬はよろしく」
「素晴らしい決勝戦を期待してるぜ。」
「じゃーなー」
「最後のちびは余裕だろ?」
というセリフを残し4人がリングから降りていった。
明らかに最初から組んでいた身内である。
観客席からは
「せこいぞー!!掛け金返せー」
「正々堂々やれよ糞貴族~」
とヤジが飛ぶ。
「悪いなボーズ」
そういって剣を構え突っ込んでくる。
俺の手前で剣を振りかぶった時にこちらから一歩踏み込み、振りかぶった右手を掴み、手首を極め、そのまま回すように場外にぶん投げる。
(いい作戦だったよ。ルール違反じゃない。だけど解散するのは俺を落としてからだったな)
闘技場が拍手と大喝采である。
プチ英雄気分を味わいながら控え室に行く。
今回も1~10のランダムで2までがC
3~6までがA
7~10までがBという運命のダイスを振ってみましたが0を含まなかったせいか3が出ました。BやCだった場合新たなヒロイン登場の予定でした。




