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禁断の奥義炸裂!

修正加筆済み 2018/01/08


ダンジョンで死ぬ思いをした次の日、返却を忘れていた挙句、使用してしまった結界球の料金の支払いに来た。


あぁ……すまんねこっちも預かるのを忘れてた。偶然とはいえ君の身を守れてよかった!私の落ち度もあるからね。2銀貨でいいよ!


…なんてご都合よろしくなく3銀貨を請求された。手持ちは2銀貨。祈りをこめながら指輪の瘴気を換金すると13028エギラム。何とか借金は免れた。


学園からやむを得ず借金をすると休日の学園の無料奉仕に加え、進級、卒業審査の日までに完済しないと留年である。


家が金持ちとか貴族とか関係ないのだ。

まさか1銀貨以上あるとは思わなかったが、思い起こせば簡単である。

救出されるときにいた下層の魔物の集団を範囲魔法で焼き払ったとき、パラル達はまだ通路にいたのだ。取り囲んでいた魔物の瘴気ををすべて1人PT扱いで吸収してしまっていたのだ。


(この金額はパラル先輩達に返さないとな…)


学園に借金ではなくパラル達に借りができたのだ。

思えば普通は請求されるはずの救出費も請求されてない、瘴気を吸ってしまったことに対しても何も言われていない。

返せとは言われていないが、これはけじめである。


合格証と今回の換金でダンジョンの潜り方は合格認定をもらえたが、講義が1周するまでは参加するつもりである。


思えば金策を考えた講義をとっていないので、お金を稼ぐのは非常に難しい。

しばらくダンジョンには近寄りたくないし、足湯で稼げる環境ではない。学園の依頼をこなすか、なにかアルバイトでも探すかお金稼ぎのできる技術を学べる講義をとるしかないのだ。




アルバイトと言えば彼だ!ジンに相談しよう!



「ジーン、なんかいいアルバイトないかー?」


「どうしたの急に?金欠?」


「あぁダンジョンに潜って色々あってさ……結界球使っちゃったんだ」


「うぇ…ダンジョンにもう行ったの?あぁダンジョン講義かぁ」


「いやーそれは運が良くて何もなかったし、合格証も取れたんだけどさー、その後でソロで行ったら魔物に囲まれちゃってさ…」


「うわーソロで行ったの?無謀だね…学園に借金?」


「学園に借金は無いんだけどさー、1銀貨近く返さないといけない所があってさー、金欠なんだよー」


ベットに転がりながらジンに相談する。お互い自分のベットのため、顔は見えない。


「割のいい仕事は先輩がみんなもってっちゃうからねー、僕は他の寮の畑作業の代行とかして稼いでるよ。後はたまにギリアン先輩のアルバイトかなぁ」


「なるほどねぇ……」


「今ダンジョンたまごがかなり売れ行きいいらしいけど…ダンジョンに入らないとダメだしね……」


ダンジョンの中でたまごはよく見かけるが大体灰色以上になっているので割っておくだけだ。


「ダンジョンはしばらくいいや……でもなんでそんなに売れるんだ?」


「ほら後30日で海の月じゃん?未だ聖獣が生まれない貴族様が買いあさってるらしいよ」


「なるほどねー」


飼い主に見捨てられ、部屋の隅で丸くなるジークフリートを見る。

覚醒した聖獣を目の前で見せられ、その本人に聖獣じゃないと言われたジークフリートは飼い主に見捨てられ、飼い主はたくさんのたまごをベットにおいている。

ほとんどはくさって捨てるか、ヒヨコが生まれて嬉々としてビーストテイマーの講師の元に持って行き500エギラムで買い取られ、ショボーンと帰ってくるのが最近のアルベルトの日課である。

たまごが孵化するまでの日数を考えると最後のチャンスなのである。


俺の予想が正しければ聖獣が生まれる要素は魔力の供給だろう。

あのころは余った魔力を毎日たまごに注ぎ込んでいたし、アルベルトのたまごを見る限り、俺が偶然極低確率の運を引き当てたとは思えない。


見ているだけでもアルベルトは100個近いたまごを買っている。

他の貴族も似たような物だろう……


学園で販売されているダンジョンたまごは1個1000エギラムだが偽造不可な学園スタンプがたまごに押されている。

一方生徒販売の学園たまごは500エギラムとお安くなっているが学園スタンプはない。まれにニワトリのたまごが混じっているという噂だ。


所持金は残り3028エギラム……

……やるしかないか…奥義をとうとう繰り出す日がやってきたか…


言い訳させていただこう。これは決してギャンブルではない。検証なのだ!

っ!……そう!あくまで検証なのだ。結果は副産物でしかないのだ。

偉大なる検証の結果の副産物を売っても、別に楽してお金を稼ごうとしてるわけではないのだ!


-----------------------------


翌日学園マークのダンジョンたまごを買うとたまごに1,2,3の数字を書く。1番と書かれたたまごには多めに魔力を注ぎ、2番目にはヒヨコの時くらいに注ぐ、3番目は魔力を注がず持ち歩くだけにする。


これで3個とも聖獣が生まれれば持ち歩くことが大事だとわかるし、聖獣が1匹も生まれなければ完全に運になる。しかし数日して聖獣が生まれる事を俺は確信した。1番目のたまごがより顕著だが魔力を注ぐと喜んでいるのがわかるのだ。3歳の頃は全然気づかなかったけど……


まずは俺のワシが覚醒したところを見ているアルベルトに売り込みをする。


「なぁ、アルベルト聖獣は生まれたかい?」


「なんだ平民、オレ様は忙しいのだ!要件を言え」


「俺もダンジョンたまご買ってさ…ほら」

学園マークの入ったたまごをみせる


「それがどうした!たまごなら買わんぞ!先輩が300エギラムで売ってくれるのだ!」


なんとなく嫌な予感がしたのでアルベルトの手にあるたまごを視るのはやめた。


「知ってのとおり俺はもう聖獣がいるしさ……このたまごから聖獣が生まれたら買わない?」


「……何のたくらみがある?どうせ生まれたとか言って偽物を売るつもりだろう?」


「そんなことないさ。同じ部屋だし孵化を見守れるだろ?学園マークも入ってるし、騙しようがないじゃないか」


「孵化を見守れるなら……買ってやってもいい。いくらだ?」


「5銀貨だね。買ってから聖獣じゃないと思ったら今年中なら返金するよ」


「ふむ……悪くない。金は長期休暇中に必ず払うと約束しよう!」


「それじゃダメだね。海の月までに5銀貨さ……もちろん聖獣が生まれて、買うと決めてからでいいけどね。」


「貴様…足元を見やがって……いいだろう聖獣が生まれたなら5銀貨で買い取ろう」


「毎度あり!」


3から聖獣が生まれればそれを売ればいいし、万が一どれからも生まれなかったら売る必要がないだけである。


さて…もう一つも生まれる前に買い主……いや飼い主を探すかな!


それから暇な時間を見つけてはたまごを買いあさる貴族に話をするが、詐欺扱いでなかなか話がまとまらなかった。

信用度をあげるためにヒヨコを呼べばそれなら買い取る……という奴ばかりである。



そろそろ海の月になるある日、2番目と3番目のたまごが同時にコツコツいいはじめた。夕方近くに夕飯も忘れジンとアルベルトと俺でたまごを見守る。


先にたまごの殻を割ったのは3番だ。可愛いくちばしと黄色い羽毛。まごうことなき正真正銘ヒヨコである。うん、正直たまごをつついてたあたりから見えてました。


しばらくして2番のたまごが割れると中から生まれたのはトカゲである。

どこからどう見てもトカゲである。


「……ヒヨコじゃないから聖獣だと思うけど買うか?」


「ふざけるな!誰がトカゲなんか買うもんか!」


「んじゃ他に買い手を探すからいいや。」


「……ねぇ…リョウ。いつか頑張って払うから僕に売ってくれない?」


「それはいいが……トカゲだぞ?」


「前に本で読んだことがあるんだ。小さなトカゲが成長してドラゴンになる話。もしかしたら」


「ダメだ!そのドラゴンはオレ様が先に予約していたんだ!横取りするな!」


アルベルトは俺に銀貨を5枚叩きつけると嬉々としてトカゲを眺めている。


【聖獣カメレオンの子供(無属性)】


視てみると一応聖獣のようだ。ヒヨコの時と違ってテイマーの部分がないのは飼い主と認めている者がいないという事だろうか?


前の世界でも刷り込みと言って、初めて見る物を親だと思う習性みたいのがあったはずだ、よくわからんが。

3人同時に見ていたから誰が親かわからないのだろうか?


暫定的な仮定は、魔力を注いでないたまごからはヒヨコ

普通に注いだのからは聖獣、しかも魔力を注いだ者を親と認定するわけじゃない。



検証の結果の副産物が5銀貨である。これはおいしい。それに昔言ってた肉屋のおっさんの話では聖獣は最低でも銀貨10枚である。実に良心的な価格であると思う。別にぼったくりじゃない。


食堂でパラルとラウリーを見つけると瘴気を吸収してた事と救助のお礼として2銀貨を払った。4000エギラムづつ分配すると言っていた。


これで一つ肩の荷が下りたのである。

残り所持金は3銀貨でたまごを買って聖獣転売をしたい所だが海の月に入ると聖獣は人気がなくなるし、そもそも生まれた瞬間を見せなければ信じてもらえない。孵化させるだけ孵化させて売れないからと飼うのも大変なのでたまご孵化、聖獣売り払い大儲け作戦はとりあえず休止である。









残る一つのたまごの売り先を考えながらその日は眠った…

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