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異世界こんにちは!

温かい水の中から強烈な圧迫感がかかる。


(痛い!いたい!イタイ!いだぁぁぁい!!!)


温かい場所から放り出されて冷たい針が肌に突き刺さる。


(いだだだだだ!!!!いてぇよ!)


温かい水に浸けられる…さっきより痛みは和らいだ。


(体も動かせねー…目もあかねー)


とりあえず人間に生まれたのは間違いないが、性別すらまだわからない。


「ちょっと!みんな勝手に入ってこないでしょ!」


びっくりするほど若い声が響く。母にしても若いし、出産直後でよく元気だな。


「エリー、ちゃんと生まれた?大丈夫?」


かすれた声で尋ねる声が聞こえた。


(こっちがママンか……それにしても声若いな)


「大丈夫よ、元気な男の子!あたしは女の子がよかったな」


(よっしゃー!性別男確定!これはハーレムフラグ!)


「名前はね、決めてたんだ名前は【リョウ】あたしがこの子にあげる最初のプレゼントなの」


「女の子だったら何にするつもりだったんだぃ?」


「女の子でもリョウだよ。可愛いしかっこいいでしょう?」


「しばらくは仕事に出られないんだから大人しくしてなよ。ちょっと外にいる馬鹿達のケツ蹴ってくる」


俺は軽く抱き上げられると母の腕の中に渡された。


「よく生まれてくれたね。ありがとう。お母さん頑張るからね。これからよろしくね。リョウ」




うーん意外と素敵なママンに遭遇したようだ、これはパパンにも期待。


とりあえず腹減った眠いぞ!



男に生まれた嬉しさと安心で泥のように眠った。




-----------------------------




とりあえず、男に生まれてよかった!素敵なママンでよかった。

あの糞神に感謝していた日もありました。

はい。私もそう思っていた時期がありました。


しかしそんなのはあっという間に崩れ去った。


一歳になった。

大きな病気もすることなく、すくすく育っているが、この世界は糞だということがこの一年でわかりました。


一歳になる前にできることをしようと考えた結果、周りの会話に聞き耳をたてる事と魔力操作の練習をした。


魔力操作は、目に魔力を集めると魔力が見えることが分かったので、血液のように身体をぐるぐる循環させる練習をしている。そのおかげか最近やっとつかまり立ちができるようになった。


子供はまとめて一か所に集められて3、4人の女の子が面倒を見てる。

家というには不衛生な地下水路の一角。数日に一回の散歩以外では太陽は見れない。ここにいる子供は0~3歳くらいまで。面倒見てる子も、最年長に見えるのは11歳程度。


一日の食事は2回あればいい方。これでも子供たちは恵まれている。

面倒を見てる子達はおそらく一日1食だろう。



そう……ここはスラムのはずれ。

避妊も堕胎もできず、スラムの子が産んだ子が集まる保育園。


しかもうちは女の子だけで固まったグループ。

生まれた男の子はすぐに奴隷商に売られるか、5歳程度で窃盗チームに食糧と交換である。


この世界の人の命は軽い


ママンの歳は14歳。この世界での結婚年齢が15歳であることを考えると普通なのかもしれないが、日本の記憶を持って生まれ変わった俺には苦い感覚である。


俺は生まれてすぐ奴隷商に売られそうになったが、ママンが貯金を出して止めたらしい。生んだのが誰であろうとグループの共有財産という考えのようだ…くそったれ。


しかしどんなに頑張っても5歳を迎えるころ、俺は別な男のグループに交換に出されるらしい。


毎晩寝るときにママンは「リョウが5歳になる前に、こんなところから一緒に逃げ出そうね」と言っている。




人生こんなハードモードスタートなんて聞いてないよ!


-----------------------------


あっという間に時に流され3歳児


現代記憶+言語チートでペラペラしゃべる動き回る、スーパー3歳児の誕生である。



できる子は働かなければならない。

この世界の常識ってやつだ。


5歳までに自分の有用性を示さなければ、ママンとは別のグループに売り払われる。ママンは逃げると言っていたが現実的ではない。


「リョウ行くよ」

「はい!…お母さんいってきます!」

「危ないことからは逃げなさい。気を付けてね」


元気よく飛び出す俺に明るい笑顔で手を振るママン。やはり母は偉大だ!

3歳になる少し前から俺はエリーと行動と共にする。仕事は物乞い、教会の炊き出し並び、雑草むしり、ごみの片づけなどだ。



男のグループが、グレーを通り越してブラックな事をしてる分、女の子だけのグループに街の人々は意外に寛大だ。


寛大と言っても雑草むしりが終わる直前に不法侵入だと衛兵を呼ばれたり、残り物をもらいに訪問すると水をぶっかけられる程度の事は日常茶飯事だ。


現代チートで何か作って売ろうにも、生活レベルの魔法が一般に浸透している為できることはほとんどない。むしろ俺にその知識がない。


どこのグループでも15歳を超える頃にまでに、男は盗賊団か冒険者崩れ、女は特殊な宿の接待役、商家の妾などになる。


ママンがいまだにグループにいるのは、処女ではないのと見た目の問題であろう。

そう……ママンは一般的に美少女の部類ではないのだ。




「エリー姉ぇ、今日は何するの?」

「来週からエギラムの祭りが始まるからその露天の手伝いだよ。今日は荷物運び、じゃがいもの皮むき、明日は露店の販売手伝いだよ。夕飯ありの二人で鉄貨5枚だ」

「ご飯が付くの!やったね!」


(鉄貨5枚ってあほかぁぁぁぁぁ!!)


ちなみにこの世界も貨幣は国によって違う。ここはパルズ大陸と呼ばれる広大な大陸で、様々な国が乱立する群雄割拠の時代である。


俺がいる国はエギラム。平凡な王政小国で俺がすむのはその国の首都カンナムである。

エギラム祭りは国の建国祭りで、国の色んな町、村から人が首都に集まる。




エギラム国の通貨単位はエギラムで、だいたい1エギラムが10円。

貨幣は1エギラムで1鉄貨、10鉄貨で大鉄貨100エギラムで銅貨1000エギラムで大銅貨、10000エギラムで銀貨である


つまり朝から晩まで働いて夕飯が出て二人で50円の収入である


50円でできる事

1、飲んでも害がない水が10Lくらい買えるよ!

2、焼きたてのパンが1個買えるよ!

3、売れ残りの野菜が2個くらい買えるよ!

4、卵が1個買えるよ!



「頑張ろうねリョウ!」

「うん」


ママンの親友の隣で、つらい世の中だなぁ…とつぶやくのであった。

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