ベット争奪戦!?
修正加筆済み 2018/01/08
「おぉ……これは!」
【ビーストテイマー。魔獣、聖獣を使役する者(※講義の参加にはダンジョンたまごの購入が必要です)】
この学園では私物の持ち込みは禁止だが、ペットや使役獣の持ち込みは許可されている。何が起きても自己管理が鉄則だが。
貴族は檻に入った聖獣をたいてい持ち込む。アルベルトも荷物の中に檻に入った小さないぬがいた。
ダンジョンたまごは学園のダンジョンで湧いたもので1個1000エギラム。
何個購入しても構わないが雌鶏は500エギラムでしか買い取ってくれないらしい。受講料は年間で3万エギラム。講義は毎日開催の自由参加。
聖獣の覚醒か、使役した魔獣との意思疎通で合格らしい。
覚醒がなにかはよくわからないが、意思疎通ならできる気がする。
俺の言ってることは理解してるし、ヒヨコの考えは眠いか腹減った……だ。
受ける講義が3つだけだと何か1つ落とした場合が危険なので他の講義も探す。
結果として
【基礎体力】
【魔力を用いた身体強化術】
【ダンジョンの潜り方】
という常勤講師が開いている無料講義を受ける事した。
気が付くとジンが隣で目を皿のようにして冊子を見てる。
「ジンいい講義はあったか?」
「う~ん持ち込み金がないから稼げるまで無料講座しかないよ…とりあず寮監の剣術に出るのは決めたよ」
「ジンは剣術にでるのか」
「リョウはでないの?先輩が魔物狩りに連れてってくれるって言ってたよ」
「自分の武器が手に入るまではパス。ナイフが手に入ったら一緒に狩り行こうな!」
「そっかーリョウはナイフなのか…貸与武器にナイフはなかったもんね…いいよ僕が先にばしばし強くなってリョウを助けてあげる!」
「あぁ……期待してるよ」
「リョウは講義何とるの?」
「あ~、まだ予定だけど機体撃なんちゃら術とビーストテイマーと基礎体力に魔力を用いた身体強化術とダンジョンの潜り方…かな」
「すっごい平民なのにビーストテイマーとるんだ…お金大丈夫?」
「俺ヒヨコって相棒紹介するって言ってたじゃん?あれ聖獣なんだ。3歳の頃エギラムの建国祭りの露店で買ったたまごがたまたまダンジョンたまごでさ。ヒヨコだと思ったらワシの聖獣だったんだよ」
「すっごーい!!僕聖獣なんて見たことないよ!今度見せてね!」
「あぁいいよ。この学園にいるうちにダンジョンに潜ってたまごが手に入ればジンも聖獣持てるかもな」
「そうだね!うん。僕頑張るよ!それとさ、せっかく同じルームメイトだし、真似するようであれだけど僕も基礎体力とか受けていいかな?」
「受講先は各自の自由だろ?ジンがとりたきゃそうすりゃいい。どっちにしても歴史の講義は一緒だしな」
「教養と生活魔法もね!」
「あ…その2つ俺授業免除だぜ?」
「え!!ホントに?……リョウって実は貴族様?」
「んなわけないだろ?むしろ見ての通り貴族とか大っ嫌いだぜ?」
「嫌いなのはなんとなくわかるよ…。でも聖獣持ちだし、持ち込み金もあるし、授業免除が2つもあるし……貴族じゃない方がおかしいよ!」
「まぁ…たまたまだよ、たまたま」
「それより部屋に戻ろうぜ!」
「うん」
面倒な先輩に絡まれるのを避け、部屋に戻るとなぜか俺のベットの上に知らない荷物が置かれていた。
「…一応聞くけどこの荷物ジンのじゃ…ないよな…一緒に部屋でたし」
「僕のじゃないねって事はアルベルト様荷物だね」
「それしかないよな…はぁ……」
ため息をつくと荷物を掴み、2段ベットの下に放り込む。
上はジンが選んだのだ。
「あっ…勝手に荷物触っちゃまずいんじゃない?」
「向こうが俺のベットに荷物を置くのが悪い」
ガチャ
オレ様アルベルトが帰ってきた。
「おい!貴様なぜオレ様のベットに腰かけている。どけ!」
「お前様のベットになる前からこのベットは俺のものだ。早い者勝ちって聞かなかったか?」
「オレ様は母様の見送りや門の前の聖獣屋との交渉で遅くなったのだ!仕方ないだろう。いいからそのベットから降りろ!オレ様は貴族だぞ!平民!」
「だからここじゃ貴族とか平民って関係ないって聞いただろ?早い者勝ちだ。お願いします、公平に決めましょうって頭を下げるならみんなでじゃんけんしてもいいぜ?…なぁジン」
「ぼ、僕はどっちでも…」
「ふ、ふざけるな!誰が平民などに頭を下げるか!!オレ様は偉大なるフォブスリーン伯爵が長男…」
「はいはいわかったわかったえらい貴族様ナンデスヨネー」
話半分に聞きながら棚に置かれた金庫を開ける。
この金庫は固定されていて持ち運べず、事前に登録した魔力波形の合う者にしか開けられない。
魔力波形は生まれた時にきまり、成長などで変化したりしない。
双子だとまれに同一波形の子もいるようだ。
「わかった、金だろいくら欲しいだ?1000エギラムくらいなら払ってやる。そのベットを譲れ!」
「いやだね。このベットを買う気なら1億エギラム持ってこいよ」
「き…きっさまー」
「素直に頭下げてじゃんけんしようでいいじゃないか。ここのルールでは早い者勝ち、俺が一番ジンが二番。最後のアルベルトは残った場所だ」
「も、もういいそこの平民!!平民の下で寝るなぞ高貴なオレ様には不可能だ!そこを売れ」
そう言ってジンに銀貨2枚を投げつける。
「まぁ僕はいいけど…」
そういってジンはベットから降りる。
アルベルトは下段ベットから荷物を出すと乱暴に棚に突っ込んだ。
「それと平民たち、お前等持ち込み金があるならオレ様が買い取ってやろう!」
「「は?」」
「学園で金を寄越せば山の月の長期休暇中に10倍にして返してやる。悪くない話だろ?」
「ぼ、僕は持ち込み金がないのでこの銀貨2枚しかないので1枚なら…」
「俺は無駄使える余裕がないんでね。返ってくるかどうかわからない金より意義ある講義に使わせてもらうよ」
「金がないならないと言えばいいのに強がりやがって!まぁいい。せいぜいちまちま稼いで持ってくるがいい。そっちの平民は見どころがあるな!名前は何という?」
「ぼ、僕はジンです」
「ジン…か。そうだなお前を俺の家来見習いにしてやる光栄に思え!」
「えっいや…あの……」
「ジン。断るならはっきり断れよ。後々面倒な事になっても知らないぞ?」
「お前は黙ってろ!」
「すみませんアルベルト様…僕は貴族様の家来になれるような人間じゃないので…あの…その家来と言うのはお断りします…」
「ふん!!まぁいい家来候補なんて他にいくらでもいる。後で後悔しても知らないから!!」
檻の中でうずくまってるアルベルトの犬をなんとなく視る
【犬(雑種)1歳】
(ちょ……)
「なぁアルベルト……その犬のことなんだが」
「貴様目がよく肥えているな。この犬は入園の祝いに母様が学園の入り口で買ってくださった犬の聖獣だ!名前は…そう、ジークフリート!」
「それ…聖獣じゃなくてただの犬だぞ?」
「馬鹿な事を言うな!この犬は由緒正しき聖獣屋から買ったのだ!そもそもなぜただの犬だとお前にわかる!…ははーん、なるほどな……ただの犬だと言って俺が捨てた所を拾う気か!!いやしい平民め!!」
「まぁどうでもいいけどさー明日は入園式か…ジン、おやすみ。朝食楽しみだな!」
「そうだね!リョウおやすみ!」
「貴様らぁぁオレ様を無視して寝るんじゃなぁぁぁっぁい!!」
アルベルトの怒鳴り声と共に照明が落ちた。




