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お受験戦争!

修正加筆済み 2018/01/08

空の月を迎え10歳になりました!


今年からは税金がかかる歳。ゴレアンさんの養子になったので人頭税が必須だ。しかし学園に合格すれば学生期間は税金免除である。


試験の内容は一般教養、歴史のテストと生活魔法の実技。そして最後に面接である。


試験は手を抜こうと思ってる。学費に足りる分はあるし(2年間の全寮制全部込みで40万エギラム)奨学金と言っても年間10万エギラムで卒業後の返済システムだ。妙な成績で目立つよりも、平均点クラスを飛行させてもらう。


知識があると言っても、前の世界の知識と、娼館にいたころの読書の成果だ。歴史についても国の偏りがあるとしても一からしっかりと学びたい。


テストの結果は一般教養72点、歴史43点、生活魔法実技60点だった。

まぁ悪くない結果だったが、一般教養の最終問題は謎だった。


『自分の名前と年齢を書け』

簡単な問題すぎてあくびが出た。


歴史のテスト以外は取ろうと思えば100点余裕の内容だった。


最後は面接である。


コンコン……


「はいりたまえ」


「失礼します」

椅子の隣に立つと自己紹介をする。


「受験番号551番リョウ、10歳です」


「ふむ……よろしい席に着きたまえ」


「失礼します。」


「私はジュビリー・フレイ・ガランタムここの学園の23代学園長じゃ」


(ぶぇ!ここの学園長世襲制!?)


「後学の為に言っておくが初代学園長の血縁ではない。代々学園長はジュビリーの名を継ぐだけじゃ…さて……」


(あれ?この人さらっと心読んだ?)


「普段なら儂自ら面接することはない。非常にラッキーじゃよ。だが残念じゃ、君は本来なら完全なる不合格じゃ。いくつか質問に答えてもらわねば、君の入園を許可できん。」


「え?どういう事ですか?」


「一般教養の最終問題。あの文字をどこで習ったのじゃ?」


(あ~やっぱり……見たことないと思ったらあれが古代語か……)


「……夢庵楼という娼館で下働きをしていた頃、そこで働いている女性に習いました」


「ふむ……相手は人間・・かの?」


「いえ……エルフかなにかのハーフだったと思います。もう何年も前の事なので……」


「ふむ……一応話の筋は通るな。まぁあれは儂のいたずら心じゃ。まさか正解者が10歳から出るとは思わなかったがな」


「あの文字を読めたから不合格なんですか?」


「いや……違う、おぬし……テストで……手を抜いたな?」


「………」


「ふむ……沈黙もまた肯定なり。この学園は一切の身分、階級を認めん。平民も貴族も王であっても学び舎では一生徒じゃ。権力を振り回すド阿呆は即刻停学じゃ。この学園は学びたい向上心と努力を第一としている。お主は今年の受験生誰よりも早く試験を終わらせ、不可能問題として設定した古代語すら解いた。計算にしても難しい問題を正解し、簡単な問題を不正解という謎の始末じゃ」


「………」


「その歳で娼館の下働きの経験がある事も踏まえて今まで苦労したのだろう。なぜ手を抜くのじゃ?実力を偽って入園しようとするならば不合格とさせてもらう。申し開きはあるか?」


「……失礼ながら申し上げます。私はスラムの出身です。ゴレアンさんには先日養子にしていただきました。実の両親はもういません。養子にしていただいたゴレアンさんの為にも、無事にこの学園を卒業したいです。その為にあまり目立ちたくないのです……」


口から出まかせだがペラペラしゃべれる。"いい嘘"というのは半分真実を織り込ませたものなのだ。ゴレアンさんの為って以外は真実だし、それも別に嘘ではない。


「そこまでの覚悟があるならば、次からはもっとうまくやるのじゃな。……さて、自らの努力を偽り、手を抜くのはよろしくないな…どうしたものか……」


「…知識、力を得るために学ぶのが努力ならば、自分の身を守るために偽るのもまた努力ではないですか?」


「ふむ……これは一本取られた。……そうじゃな、こうしよう。これからもう一度テストを受けるのじゃ。次は儂が隣で見ててやろう。もちろん結果は非公式じゃ。儂は君の実力が知りたい」


「わかりました。満点をとったら何かいいことはありますか?」


「普通の試験の際も、満点の学生はその年のその教科の授業免除じゃ。仮に満点とる事があれば儂が講師に裏から手をまわそう」


「わかりました。全力でやります」


「筆記の方はどうにもならんが、生活魔法の採点はちと辛口になるがの。ほっほっほ」


-----------------------------


結果は………


一般教養は余裕の100点、歴史は74点、生活魔法は洗濯機+脱水コンボと水を氷に変化させるのを見せ、さらに風での飛行魔法も披露して文句なしの100点だった。


洗濯機+脱水でふむふむという顔をしていた学園長は、氷を生み出した際に「な、なんと!」と驚きの声を発し、風魔法で試験会場を飛んだ時は固まっていた。



「お、お主その飛行はどのくらい飛べるのじゃ?」


「無理しない範囲なら30分程度です」


「す、凄まじいな!ぜひ儂にもコツを教えてくれんか?」


「コツと言っても…足の裏とかかとと腰と肩に風魔力を展開させて、後はバランスをとるだけですよ?」


「ほうほう……こうか……いやこうか…?」


一時間ほど練習につき合わされ、俺が飽きてきたころには、何とか学園長は宙に浮いていた。


「なるほど風魔法で空を飛ぶ……か斬新だ。今まで飛行系魔法は重力系の特殊魔法という概念だったからのう……リョウ」


「はい」


「この魔法は誰に習ったのじゃ?」


「自分で考えたオリジナルです。思いついたのは3歳くらいかな…」


「も、もうお主の事では驚くのがアホらしいの。高位魔術は使えるのか?」


「使えません。むしろそれを学びに来ました」


「なんと……それだけの魔法の技術があって、古代語を理解できるのに高位魔術が使えないだと?もったいないもったいない」


「?」


「ふむ…入園資格としては十分じゃ。一般教養の一年次授業免除と一、二年次の生活魔法の授業免除を認めよう」


「生活魔法は2年なんですか?」


「あったりまえじゃ、生活魔法を突き抜けて戦術魔法クラスの飛行を生活魔法でやられたら講師が逃げ出してしまう。問題ない資格は十分じゃ……ただし…一つ条件がある」


「条件……ですか?


「そうじゃ。在園の間、儂の特別授業を受けてもらう。もちろん良い成績がであれば専門分野の合格判定もだそう。代わりにお主は儂に飛行魔法を教える。どうじゃ?」


「……構いませんが、学園長先ほどすでに宙に浮いてましたよね?」


「意地とプライドを守るために膨大な魔力を使った力技に過ぎん!しっかりと習得せねば眠れんではないか!!」


(自分で暴露したらプライドも糞もあったもんじゃないな)


「わかりました。お引き受けします」


「通常高位魔術を習おうとすると高いからのぅ……第三級特異点《スペシャルハザード3》に数えられる魔術師の儂に師事できるなんて、王様でも泣いて喜ぶのじゃがな」


この学園では基礎授業以外の授業はすべて個人の選択式である。

講師が各自決めた時間割での授業に参加し、合格を目指す。


一年単位で授業をする講師もいれば1月単位で試験をし、月初めにやたらに生徒を募集する講師もいる。

非常勤講師には納めた学費とは別に授業料が必要で、各生徒が入学時に持ち込める金額は10万エギラムまで。出来高制の非常勤講師は受講生の数が生命線であり、人気の講師のスケジュールからわざとずらしたり苦労が大変である。


食事、授業に必要なものはすべて学費で賄われるが、嗜好品、娯楽に関しては自分の所持金から出せねばならず、無駄遣いする者や、生まれが貧しいものは常勤講師が行う無料の授業しか選択肢がないのだ。

生徒同士のお金のやり取りは可能であり、私物の持ち込みは禁止だが、売店にあるものでお菓子を作って売る女子や宿題をお金でしてくれる生徒までいるらしい。卒業までに正しい金銭感覚を身に付ける為らしいが……ある意味で正しい金銭感覚になりそうだ。


閑話休題+1(はなしがそれたついでに)


学園長が言っていた第三級特異点《スペシャルハザード3》だが、この世界では災害級に認定されている個人、もしくは団体がある。


第一級特異点・・・個人もしくは意思疎通が可能な団体で世界を滅ぼす力を持っている最重要危険クラス。主に魔王、勇者PT、古代竜、始祖エルフがあげられる。


第二級特異点・・・個人の力で国を1国滅ぼせる力を持つ重要危険クラス。最上級の魔人、魔獣、悪魔。突然変異の竜、戦略級の高位魔術師がこれに当たる


第三級特異点・・・個人の力で街を1つ滅ぼせる危険クラス。戦術クラスの魔術師や竜などの高位生物、有名な盗賊団などがここになる。


災害認定は情報と占いの完全中立国家ペルードが毎年空の月に更新しており、この災害認定を受けた自由民は基本的に国境がフリーパスである。


(いつかなる。災害級に、俺はなる……)






「……よろしくお願いします」


「ふむ、ようこそ。ジュビリー学園へ。儂は君を歓迎する」

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