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ハイパー女将再び!

修正加筆済み 2018/01/08

懐かしの冒険宿に到着した。


「ごめんくださいー。ゴレアンさ~ん」


誰も見当たらない入り口で叫ぶ。



「お?やっと来たね坊主。ギャリンの小娘の所で悪さしてたらしいじゃないか?元気だったかい?」


ハイパー女将ゴレアンにかかればあのギャレンさんも小娘扱いである。


「お久しぶりです。元気です」


「色々つらい事があっただろう。まずはこっちにきな、坊主を待ってる人がいる」


「?」


「おーいリョウが着いたよ、あたしの部屋にきな!」


そう叫ぶと俺は受け付けの裏のゴレアンさんの部屋に案内される。


部屋に入った途端


「リョウ!!!」


後ろから抱きつかれた。聞き覚えのある声。この声の主は……。
















「エリー、坊主がつぶれてるよ、早くどいてやんな」


「あぁごめんね!」


ママンの親友エリーである。


(生きてたのか!)


「エリーねぇ……お母さんは!!?一緒じゃないの?」


「リョウ……ごめんね…ごめんね……」

エリーはぽつりぽつりと、あの日の出来事を話し始めた。



-----------------------------


「エリー!お願い助けて!リョウがリョウが……」


「落ち着いてマチルダ。何?どうしたの?」


「キャリー姉さんがリョウをゴメスさんに売ったの!今朝リョウが城壁内に連れてかれたわ!」


「マチルダの許可なくリョウを売ったの!?ありえない……話を聞きに行きましょう」


「だめ……もう時間がないあたし……行ってくる!」


マチルダはエリーの家を飛出し、走って行く。

どれだけ早く走れても、城壁内には入れない。



「キャリー!!あなたいったいどういうつもり?」


「どういうつもりって……なにが?」


「リョウの事よ!マチルダの許可もなく売るなんて・……」


「親の許可が必要なのは奴隷商の時だけよ。あたしらのボスがあたしらを雇うのにそんなルールはないわ」


「対価にお金を受け取るならマチルダの許可が必要のはずよ!!」


「対価なんてまだもらってないわ。もらったら半分マチルダに渡せばいいだけでしょ?たかが子供一人の事であんまり騒がないでくれる?」


「ルール違反をした人間は、たとえリーダーでもどうなるか知ってる?」


「あのガキは自分の商売でかなり貯めこんでたのよ!つらい冬の間も自分達だけおいしいもの食べて……あたしは聞いたわ、皆で分けようと。断ったのはあのガキよ!仲間じゃない奴にルールなんかない!」


「個人の稼ぎは個人の物よ!第一働かないでグータラしてるのはあんたじゃない!」


「それも今日までよ!あのガキが売れれば50万。50万エギラムが入るのよ!綺麗な服を買って貴族様に気に入られて……幸せになるんだあたし!」


「さいてー!サイテーだよあんた!絶対に許さない」


50万なんて大金だったらおそらくリョウは突っ返される。足湯屋というのが気になって呼び寄せた程度だろう。

城壁内の門で待ってればかならず帰ってくる!


先に行ったマチルダと合流するべく城門に向かって走る。





「お願いです貴族様!息子が中にいるんです!助けたいんです。どうか一緒に通らせてください。」


マチルダは通りがかりの貴族の裾を掴み、土下座している



「どうか。どうかお願いします」


「しつこい奴だなぁ仕方ない……」


「あ、ありがとうございます」

そういって感謝しながら顔あげた瞬間……



























「マチルダああああああああにげてぇぇぇぇ」




















駆け寄っていたエリーには、貴族が腰に下げている剣の柄に手を持って行ったのが見えていた。


喜びの笑顔で顔をあげた瞬間、裾を掴んでいたマチルダの右手は宙を舞った。









「マチルダああああああああああああ!!!」


何事もなかったように剣を鞘に納めると、貴族は城壁内への門を通って行く。


「リョウ。ごめんね!お母さん今行くから、絶対行くから。エリー、行こう、リョウはあっちだよ」



「いいから!いいからもうしゃべらないで!!」


自分の服を破き、腕をきつく縛る。

マチルダを抱え、家までの距離を急ぐ。


「エリーごめんね。ごめんね。リョウを……リョウをお願いね。ごめんね」


「謝るな馬鹿!死なないから……絶対大丈夫だから!!」



時間がかかりながらも一歩一歩確実に………

地下水路に着いたときはもう真夜中を過ぎていた。


冷たくなったマチルダを抱えたたまま、騒がしい声がする保育園に向かう。



「おぅエリー、今帰りか?なんだマチルダは寝てんのか?したかないなぁ。でも見ろ!あのガキ50万で売れたぞ!!こんなにたくさんの銀貨初めて見た」



「キャリー。マチルダは死んだよ。アンタのせいだ」

その瞬間、部屋の空気が凍りついた。


「アンタがマチルダを殺したんだ。あたしは絶対に許さない!」



そう告げた直後、背中に衝撃を感じ背中が熱くなった。



エリーを抱えたまま、前のめりに倒れると、そのまま気を失った。


-----------------------------


「目が覚めるとそこは地獄だった。死体がゴロゴロ転がっててね。10日ほどはみんなの墓作りだった。死体がない子は逃げたか攫われたんだと思う。あの時キャリーに突っかからずにマチルダを追ってれば……マチルダは死ななかった!」


「……変わらないよエリー姉ぇ。それがなくても盗賊は押し入ってきた。そんなことは知らずに3年間のほほんと娼館で働いてた俺は……」


「3年間って……約5年じゃないのか?」


「8歳の海の月に借金は終わったよ。その後は事件の事を聞いて復讐の為に色々やってた。ギャリン盗賊団に入って仇は討ったんだ……討ったと思っていたんだ……でもかあさんは俺のせいで……貴族に……」


「あいつはどこの貴族かはわからなかった……もう復讐なんてやめて…マチルダはそんな事望んでないと思うんだ……あれからあたし、ゴレアンさんの養子になったんだ。リョウも娼館から戻ったら養子にしてくれるってゴレアンさんが言ってたんだ。だからここで一緒に生きよ?…マチルダの分も……」


「リョウ。あんたは今日からうちの子だ。昨日住民登録もしてきた。エリーとは姉弟になるけど仲良くやるんだよ!」


「ゴ、ゴレアンさん………」


「亡くなった旦那との間には子供ができなかったからね。ちょうどいいよ」


「お世話になります、仕事もがんばります」


「リョウに仕事なんてないよ。手は足りてるし部屋もないんだ。来年から10歳で税金もかかるしねぇ……でもそれが全部いっぺんに解決する方法がある」


「?」




「リョウあんた学園へいきな!」





「えぇぇえぇぇぇぇえ!!」


「ギャリンの小娘から金預かってきただろう?だしな!」


「は、はい」


ギャリンさんからもらった袋をそのまま渡した。


「ひー、ふー、みーっと。おや結構あるねぇ。基礎教育の学費分とは言っておいたが、学費を知らないのかね?」


この国唯一の学園であるジュビリー学園。

10~12歳までの基礎教育課程。ここでは一般教養、歴史、生活魔法を基礎として学び、他の専門分野については空いている時間に専任の講師開催の授業を受け学ぶ。基礎の3つに専門分野3つの合格判定で卒業できる。


12~15歳の高等教育課程は各個人の自由で、授業に参加し5つの合格判定で卒業である。


このジュビリー学園は、この国の初代国王の友人であったジュビリーなんちゃらが作ったこの国唯一の学園で、あらゆる特権を持った学園である。

国の法適用外であり、カンナムの壁内地域にあるにもかかわらず、高等魔法の使用が許可されてる稀有な場所でもある。


入学は簡単な試験で、学費さえ払えばだれでも入学可能。

試験で成績がいいと学費の免除もある。

一方卒業はある意味厳しく、講師から合格判定を買った貴族が即退学や、わがまま王子が停学などザラにある。


「学園って………俺が?」


「ギャリンからのこれはリョウの正当な報酬だしね。うちは別にそこまで忙しくもないし、山の月から空の月にかけて長期休暇があるからちゃんと帰ってくる事。それが約束だ。守れるかい?」



「守れる!守ります!!」


実は小さいころから学園には憧れていた。ここを卒業できるかどうかだけでやれることがかなり違う。なにせ魔法についても独自だし、学びたいことはたくさんあった。


「空の月1日から10日が入園受付と試験期間だよ。忘れないように。学園が始まるまでエリーと同じ部屋だけど仲良くやりたなさい。」



「「はい」」


「とりあえずこのお金は自分で管理しなさい。なくしたら学園に行けないんだからね!」


受け取った袋を視ると


【布の袋(60万エギラム)】


(げげ!そんなに入ってたのか!)



学園にわくわくしながら宿のお手伝いをし、エリーと昔話をしながら眠りについた・・・。

ママンの名前が初出という事に気づいた。

ママンの名前はマチルダでした!

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