神!登場!
「ここはどこだ?」
異世界転生やトリップ小説物のテンプレ真っ白な部屋である。
デステニ―ライフはヴァーチャルリアリティとか言うかっこいいものではない。
ログインすると素っ裸で白い部屋に飛ばされるゲームなどでは断じてない。
「ようこそ待ってたよ」
男か女かよくわからない声が聞こえる
「ここはどこですか?え?ってかなに?あれ?」
「ここはね〜、管理者の世界。君は誘拐されたかわいそうな子。僕は神。他に質問は?」
「誘拐?なんで?え……ってか家でゲームしようとしてたんですけど……」
「あー、えっとここに来た経緯をざっと説明するね……」
要約すると
1、自称神はデステニ―ライフを管理する神
2、ネトゲができるとそれに準じた世界と神が生まれる
3、そのゲームの繁栄具合によって神の力が変わる
4、俺が(廃人達と)荒らしまわったゲームの世界の神がとても怒ってる
5、力のあるデステニ―ライフの神に誘拐してもらって別世界に飛ばしちゃえ
6、自称神はどうでもよかったがログインしてくるなら捕まえて異世界にぶんなげようと思ってた
7、のこのこ来たので捕まった
8、全裸で神に質問 ←今ここ
「え・・・俺以外につかまって飛ばされた人っているんですか?」
「いやー、僕ねっととかぱそこん?ってのかよくわからなくてさ、とりあえず他の神から言われた奴と同じと判断されてるキャラはおさえたんだけどさ、もうアイテムが全然なかったりRMTでBAN対象でゲームに入ってこないんだよね、君は同じメールあどれす?で色んなゲーム荒してたから捕まえても冤罪って事はないし、安心して異世界に飛ばせるよ」
「ちょ、ちょっと待ってくさい。これ俺死んだんです?」
「家族構成とかによって違うんだけど、君の場合は失踪じゃない?探す人特にいないでしょ?」
泣きそうになった。
「なんとか許してもらうって事は出来ないんですか?」
「あーないね。サービス終了で恋人の神が死んだとか言う奴もいるし、なにせ一人飛ばすごとに僕に入る報酬おいしいから……えへへ」
さすが運営が糞なら神も糞だった。
「もうどっかの世界にすっ飛ばされるの確定って事ですか?」
「その通りだね!こうなったらびしっと気合入れて次の人生楽しみなよ……人かどうかわからないけど」
「え?ちょっと待ってどうゆうことですか?」
「いや……飛ばされる世界って僕の管轄外だしさ、ほら…罰ってか他の神の報復で飛ばすんだもん。転生先が虫とか虫とか魚でも仕方ないよね!」
「66パー虫じゃないっすか!え?ちょどうにかならないんですか?」
「ここで君にいい話があるんだ、ちょっと長くなるよ!」
要約すると
1、神の気まぐれでBANとかドロップUPとかする場合、神の力を消費する
2、俺を異世界にすっ飛ばすことにおける力の消費は俺(廃人達含む)を恨んでる神から提供される
3、俺を異世界に飛ばす=俺のメイン垢はもう使用不可。それに対する代償は自称神が背負わなければならない
4、意外にその代償が大きいからプラマイ0になるように自称神が祝福をくれる
「なるほど・・・で・・・祝福って何ができるんです?」
「何でもできるよ!まずは君の査定を出すねわかりやすく¥で行こう。まず僕は君の敵じゃない。むしろCBTから楽しんでくれた可愛い子供みたいなものさ!」
(うさんくせー)
「そーゆー事考えてると天罰が下るよ?」
「さらっと心読まないでください!」
「仮にも神だしね。まず君のサブ垢のBANの件だ。あれは公式RMT転売のせいだね。あれは僕のせいじゃない」
公式RMTとは俗にいう課金アイテムの販売である。
購入相手の希望する課金アイテムを買い、それをゲームマネーで売る。
つまり現金をゲームマネーにできる。
俺はそれを転売しゲームマネーを稼いでいた時期があった。
期間限定のガチャチケットも、期間内に買えばいつでもまわせた。
期間中にゲームマネーが欲しい奴からまとめて買い、のちのち始めた廃課金にまとめて売る。在庫を抱えるとつらいがなかなかいい儲けになる。
オークション、無人露店、掲示板取引とさまざまな取引方法があったので、転売にはもってこいだった。
「それで垢BANくらうのかよー」
心も読まれるしもう素の自分全開でいく。
「君はあの当時持っていた所持金の桁と課金アイテムの数が膨大だったからね。本来メイン垢も凍結だったけど、特殊ボスの討伐の影響と、メイン垢の自費購入以外の課金アイテムの帰属で垢BANは免れたんだよ」
「ってことはメイン垢の所持財産が祝福の目安って事?」
「僕はこれでも寛大なんだぜ?一応サブ垢は垢BANだけど実質凍結扱いで一応データは残ってるから査定額に入れてあげるよ。所持金の桁がすごかった…って言っても3年前の話だしね」
「あ、ありがとうございます?」
「さて……ざっと行くよ、サブとメインのキャラのレベル装備、乗り物、アバターで25万円」
(おぉ結構行くな!)
「まぁせっかくこのゲーム楽しんでくれたしね今の相場じゃなくて3年前の相場で計算してあげたよ」
(さらっと読心してるのはスルーしよう)
「アイテム、所持金で3万円これは今の相場だけど申し訳ないね。後は課金ポイント6000円分と課金アイテムで6万円分結構ため込んでたねぇ」
「サブ垢の課金アイテム貯蔵が結構あったからなぁ」
「最後これが重要さ。大型ボス討伐報酬で未受取の物。これが結構ある。まずは課金ポイント3万円分、課金アイテム総額2万円分」
「あれ?予想より少ないんすけど……」
「問題は称号さ……登録人数2000万人。伝説の事件の当事者たった8人のメンバーに送られた称号……なんとお値段……」
(ごくり)
「ぷらいすれす!!」
「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「とまぁ査定額は39万6千円。プライスレスの称号がついてちょっとおまけして40万って所だね」
「プライスレスってか4000円じゃないっすか」
「そんなことはないよ。実際40万円分で君を異世界にとばすと、僕の負担はとても大きい。だから君に選択肢を4つ上げよう」
1、虫として転生し長寿命、あらゆる能力チート、出生先の自由、性別選択、ハーレム、運、他に欲しいものあればつけてあげる
2、全種族から生まれも性別もランダムでくじ引き一発決定!
3、人間を選択して生まれも性別もランダムでくじ引き一発決定!
4、魔物として生まれる代わりに微チート、性別の自由
「どれを選んでも生まれ種族の言語と文字の識別はあげるよ
これは記憶を持ち越しての転生になるから幼児の頃の言語記憶が難しいから神からのサービスだね!」
「ちょっと待てなんでそんなに虫推しなんだよ。ってか2選ぶくらいなら3選ぶだろ」
「虫推しなのは他の神からの要望さ。記憶をそのままに虫か魔物に転生させてつらい人生?を歩ませろってね!2選ぶくらいなら3って言うけど実は2だと上位魔族やエルフ、もしかしたら神になれるかもしれないって可能性を秘めてるのさ!素敵だろ?」
「虫と魔物はまず除外、どうせ2選んでもチートなしの虫にして運が悪かったねとか言うのがお前らのやり方だろ?俺は3でいく」
「君のギャンブルしてみるいい所見てみたいー。って言いたいけど、これからの人生だもんね。君の選択を僕は応援するよ」
「ところでさらっと言ったけど、魔物とかエルフがいる世界なのか?」
「そうだね!魔法と剣のファンタジー。魔王もいるし、勇者もいるし君はどっちにもなれる可能性があるね!」
「俺も魔法が使えるのか?」
数々のゲームをしてきたが、ぶっちゃけ魔法ぶっぱなし大好きである。
メイン垢とは言っていたが、支援はもともとサブでソロだったほうはPT推奨ダンジョンをソロで突破できる廃火力魔法職だった。
「僕も詳しくないけど魔獣、人間に属するものは多かれ少なかれみんな魔法使えるよ。魔法で思い出した。君結構闘技場やってたよね?サブ垢のキルデス比率がとてもすごくて、僕感動しちゃってたんだ。転生先人間ってだけの条件じゃプライスレス分埋まらないから、魔力保有量の上限UPと魔力操作の才能をあげるよ。まぁ一般人より多少すぐれてるって程度だけど!」
「ここだけは本気でありがとうございます!!」
「素直なのはいいことだね。さて40万円分の祝福を決めようか。とりあえず欲しいもの言っていったら金額を教えるよ!」
「ちなみにこれから行く世界に他の日本人はいるのか?」
「あ~それは僕もわからない。いるとは断言できないけど可能性はある。ただチートをもらって無双する転生勇者とかはないね。次元のはざまに迷い込んで落ちた迷子か、神に恨みを買って飛ばされたかわいそうな子か。まぁ人間として出会えるとしたら迷子じゃない?見つけて報告してくれたらご褒美あげちゃう。」
「転生してからも連絡取れるのか」
「強く念じてくれたらその時の気分によって答えるよ。あ……そうだ他の世界荒しまわったオトモダチに連絡してよ。君のおかげで釣れたらボーナスあげちゃうよ!」
(一旦でも元の世界に戻れるのか!現代知識詰め込もう!これは勝つる!)
「変な事考えてるしやっぱやーめた!さっさと祝福決めて飛んで下さい」
(しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ)
-----------------------------
「……こんなところか……」
どれだけの時間がかかったかわからないが、もらう祝福は決まった。
記憶を保持したまま人間に転生。性別ランダム、出生環境ランダム
人間種族の言語の理解
亜人間、人間、上級魔族で使われる古代言語の理解……(7万円)
盗賊セット(周囲探知、潜伏、開錠、罠解除、スティール、暗視)……(20万円)
鑑定……(3万円)
風魔法の才能……(5万円)
運UP(金額によりUP)……(5万円)
正直無茶苦茶だ!
性別変更は300万、出生環境は一般クラスでも30万~
出生環境も性別もランダムである以上、一人で生きていく才能がないと即ゲームオーバー。正直5,6歳まで生きれるかが既に運である。
体力や筋力をあげる事も考えたが、金額によってどこまで上がるか不明な分、成長後に期待より、運に賭けた部分は否めない。
病気無しや自己治癒系もあったが、高すぎたために断念。
そもそも回復魔法がレア能力であり3000万した。
(冒険者とかってどうやって冒険すんだよ?アレか?ポーションがぶ飲みゲーか?)
「さてちゃちゃっと飛ぼうか!ささやかなお祝いだけど生まれ変わっても名前は【リョウ】になるようにしておくよ。家名とか苗字は生まれた先依存だね!」
「色々と便宜図ってもらって感謝してるよ。才能選んだりしてるうちになんかわくわくしてきたし、一応神様相手だししっかりお礼言っておくよ。……ありがとうございます」
「なんか照れるね、話し方もだいぶ砕けてくれたし。さて名残惜しいが君の新たな人生に祝福あれ!」
光に包まれて体が薄くなる……
姿は見えないが男の子のような声の神に送られ、新しい人生が始まる……直前にとんでもないことを思い出した。
「ちょ、出生環境と性別のくじ引きひいてねぇ!」
「あ……忘れてた僕が代わりに引いておくよ!」
「え?まだ決まってないのに何で転生先に送られてるの?」
もう身体はほとんど消えている
「……。……。……えへ」
「てめぇぇぇぇぇ!!!!てへじゃねーよ!!ぶっ殺すぞ!!」
やっぱりこの神は糞だった。