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借金完済!僕は自由の身

修正加筆済み 2018/01/08

8歳になりました。

ノーリは現役の自由民として残留し新たな一年が始まりました。


ノーリといい仲になったのは当然極秘中の極秘だ。

ノーリが残留した裏に気づくものはほとんどいなかったが、エリスさんに休日マッサージをしに行ったとき…


「悪い男ね」


とぼそっとつぶやかれた。この人にだけは逆らっちゃいけないと心に決めた。

こういう直感は大事にした方がいい。恐れ多くて敬称を外せないのだ。


あれからノーリ派閥では連日のようにリョウマッサージを使ってもらっている。例年以上のチップとお小遣いで空の月が終わるころには借金分は終わった。



「ゴメスさん僕の借金残りはいくらですか?」


「あ~ちょっと待てよ・・・41万3419エギラムだ」


「今日銀行で下してきましたエギラム銀貨42枚あります、おつりをください。」


「おぉ?終わっちまったのか。このままうちで働かないか?」


「遠慮しておきます」


実際預金はギリギリだった。おつりをもらっても20063エギラムの残りである。


奴隷や自由民と違って借金で働いてる身分は借金の完済と同時に自由である。約1000日不当に労働したのだ、キャリーを見つけたらぶっ飛ばす。こんなときは男とか女とか言う差別はいけないのだ。


「そういえばノーリはどうするんだ?」


「え?ナンノコトデスカ?」


「3年したら結婚するんじゃなかったのか?ノーリが言ってたぞ」


「そんな約束した覚えはありませんヨ。ではお世話になりました」


「あぁ気を付けてな……まぁすぐに戻ってくることになりそうだがな」


「どう言う事ですか?」


「まぁ帰ればわかる。……すまんな」


ゴメスは夢庵楼のマークとゴメスのサインが入った使い捨ての許可証を投げてよこし、目を伏せた。


「へ?」


借金が終わった事と三年ぶりにママンにあえる喜びで、特に深く考えもせずなつかしい我が家へ向かった。城壁内の門は出るときはフリーで通過できる。入るときにだけ身分証明が必要なのであと一度だけ入ることができる。


好事魔多しという教訓を忘れずに範囲索敵をしながら潜伏をし家に帰る。


(3年ぶりだどんな顔して帰ったらいいだろう……)




















家につくとそこには何もなかった。


















そう何もないのである。

うろ覚えながらエリーの家にも行くが何もない。

保育園にもキャリーの家にも他の女の子グループの家にも行くが何もなかった。


スラム中を駆け回り話を聞くと、とんでもないことが分かった。



3年前の空の月1日。

新年のお祝いをしている女の子グループの集まりに盗賊団が押し入った。

全員が殺されるか連れ去られ、もうそんなグループはとうに残っていないそうだ。




















「うそだ………うそだぁぁぁぁぁぁっぁぁあぁぁっぁ!!!」

























その後の記憶はない。

気づくと猫を被るのも忘れて、ゴメスにナイフを突きつけ掴みかかっていた。



「どう言う事だ!!!あのグループのボスはお前だろう!どう言う事だ」


「ま、まてっ俺はホントにしらん。聞いたのはお前が5歳になった年の海の月の上旬だ。下手に言ってもお前が逃げるだけで」


「俺を売った金50万エギラム。そのことを知ってるのは誰だ?」


「お、お前と俺とキャリーと………ガーリーだ」


「ガーリーはあの年に辞めた!俺は覚えている。金を運んだのもガーリーだろう。あいつが主犯なら金を持って逃げる。言え!あのたった1日差でしかも襲われたのはあそこだけだ。情報を持ったやつがピンポイントで襲っている。他の心当たりを言え!でなければお前が犯人だ」


「ほ、他に知ってる奴はいない。おそらく犯人はガーリーだ。奴はもともとスラムの盗賊団の出だ。犯罪で奴隷になったところを買った。おそらく金を持ち逃げすると自分が指名手配を受けるのがわかっていたから金を運び、昔の仲間に連絡し自分はぬけぬけと辞めたのだろう」


「ガーリーはどこへ行った!!」


「俺は知らない。ほんとに知らないんだ。黙っていたことは悪いが、襲われたことを聞いたときにはもうどうにもならなかったんだ!」


「お前の神と先祖に誓って言え。今の話に嘘はないな?」


「ない……だからそのナイフをおろせ!」


「脅すような真似をしてすみませんでした」

俺は首筋にあてていたナイフを離す。


「ほ、本来なら衛兵につきだしてやるところだが黙っていた俺も悪かった。帰る場所もないだろう?どうだ?ここで働かないか?お前ならいつか支店を持つ事だって……」


「すみませんがその前にやらなければならないことがあります。失礼します」


範囲索敵をすることも忘れ、潜伏を使いながら我が家があったところに帰る。

薄っぺらい藁に布をかけただけの布団だった。それでもママンと寝ると温かかった。いつも寝ていたあの場所にそのまま転がる。


この憎しみを忘れないように、何度も、何度も心に刻み。………静かに泣いた。













明日から俺は復讐者だ。

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