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異世界に来てようやく就職しました!

修正加筆済み 2018/01/08

「とりあえず自己紹介から、俺はライター。ここで働き始めて4年だ」


「初めまして、スラム出身のリョウ5歳です」


歩きながら自己紹介をした。


「スラム出身の割には礼儀がしっかりしてるな。ボスがスラムの子供を買うとは驚いたぜ。っと部屋はここだ。狭いが鍵もついてる、が出るときに鍵はかけれないから気を付けてな。ちなみに他人の物に手を出すと罰が厳しいからやめとけよ。まぁ取る奴もいないから安全っちゃ安全だが」


「わかりました」


畳一枚分のスペースで、ほんとに寝る程度しかできない。

荷物はポーチ一つである。鞘だけなくさなければいいとはいえ、万が一を考え、寝るとき以外は常にポーチを背負っていた。刃物を持って城壁内に入ってもいいのかと悩んだが、とりあえず持ってきてよかった。


ヒヨコは放し飼いだ。彼にとって壁外も城壁内も違いはないだろう。

城壁内にも銀行はあるし、問題ない。

(山の月末に手数料目的に引き出すと、引き出し時に手数料が引かれる)


基本的にどこも立ち入り禁止が多かった。

あねさん(娼婦)達の個人スペースはもちろん、浴場や仕事用の部屋などは掃除などの仕事がない限り立ち入りは禁止。浴場はお客さん専用で上位のあねさんしか店の人間は入れない。大量のお湯を使うのでこの店では薪を使って沸かしている。利益があるから使える方法と言える。


あねさんは見習いも含めて200人以上。

男の従業員は30人程度。あねさんは8割以上がゴメスの奴隷であり、男の従業員もほとんどが奴隷である。奴隷以外も俺のように借金持ちが多く、正業として勤めているのはほんの数人である。


男の従業員に15歳未満は俺一人で、後は皆おっさんかおじいちゃんである。


万が一にもあねさんに手を出そうものならそりゃもう(以下略

なのでそんな馬鹿はとっくのとうにいない。


娼館の掃除以外の雑務はすべて男の仕事である。

掃除は丁稚と呼ばれるあねさん見習いの仕事である。

前の世界での遊郭で言う禿かむろのようなものだが、この世界では15未満の見習いはみな丁稚というらしい。

かくいう俺も丁稚である。


この店に男の丁稚は俺しかおらずこんな5歳児に接客も任せられないので、もっぱら専属足湯屋としてひたすら足湯とそれを教える仕事になるようだが…


山の月は商人の客が多く、空の月に近づくほど客は減る。

山の月の月末は俺のような新入りが多く、歓迎会と新年の祝いを込めてお店は休み+夜から大宴会らしい。


貴族と富裕層しか入れないこの城壁内の高級店のこの店は、空の月が一番稼ぎ時である。なぜなら国からの貴族、兵士は空の月に昇格、降格し、一年分の給料がまとめて出る。つまり空の月になると財布があったかくなった貴族様、兵士様がこぞってご来店するのだ。


逆に収入時期が安定してる商人などは店が暇になる川や山の月に来ることが多い。

なので稼ぎ時になる空の月の前に新年のお祝いと新参者の紹介などがある。

さまざまな場所の使い方、使っていい時間、起床の時間などの説明を受け上の人へのあいさつ回りに行く。


「ガーリーさん連れてきました。今日から新入のリョウです」


「おぅ。さっきもあったな。この店は飯もしっかり出るし屋根のあるところでも寝れる。俺もスラムの生まれだが借金も終わりこうして自由民として働いてる。似たような境遇のお前は期待している。何かあったら言ってこい」


「ありがとうございます」


「ライター。ボスが言ってたがこいつは普通の丁稚とも男の従業員とも別な仕事をさせるらしい、あねご達にも挨拶に連れて行っておけ」


「わかりました。おい、いくぞ」


「そういえばリョウ。この店は年齢じゃなく仕事ができる奴が上だ。ボスはあんなだが仕事をしっかりする奴は認めてくれるからな、腐るな、気張れよ」


「わかりました…」


ガーリーさんはそれなりに信用のある偉い立場のようだ。

ガーリーさんが言っていたあねごとは、娼婦であるあねさん達のボスだ。


店の看板娘TOP3である。その3人を筆頭にこの店には3つの派閥がある。


5年連続1位の不動のTOP、エリス

年齢は不詳だがエルフとのハーフらしい。

元奴隷だがどこぞの侯爵様が身分を買い上げ自由民になったそうだ。

それでも本人の希望でこの店で働いている。

銀髪にやわらかい笑顔、甘い香りに、穏やかな雰囲気。

お得意様にしか使わない魔法のサービスでの色々が好評らしい。

主にハーフ、亜人のあねさん派閥のボスである。


第2位は今年の空の月に新入し、たった一年で2位の座を勝ち取った人間のあねご、アクナ

明日の空の月で2位の立場から派閥を作る許可が出ているが、メンバーは比較的新しいあねさんや甘い汁を吸おうとするごますりが多いとのこと。本人の性格はさっぱりとした勝気なあねごである。ムカツク客をぶん殴って罰を食らったこともあるが、翌日に殴られた客が土産を持って謝りに来るので、店としてもなんとも言えないらしい。


第3位は去年まで不動のTOP2だったあねご、ノーリ

年齢の事には絶対触れるなよとあいさつの前にライターに釘をさされた。

スタイル抜群の妙齢の美熟女で派閥の人数はダントツのTOP。売り上げは3位だがその権力は3位ではない。去年までの3位の派閥を飲み込み、アクナ派閥を敵視している。以前はエリスとも対立していたらしいが普段温厚なエリスさんが亜人の丁稚のいじめを知り、10日ほど店が影響できなくなるほどの大惨事を引き起こしたらしい。それ以来ノーリは全面的にエリス派閥にかかわらなくなった。



エリスは自由民、アクナは借金持ち、ノーリは奴隷である。

派閥の強さはノーリ>>エリス>>>アクナ

ちなみにどの三人も怒らせてはいけない最重要人物である。


男の丁稚は珍しいためか色々聞かれたが、失礼の無いように丁寧に返しておいた。

10日に一度休みがあることがノーリさんにばれると、休みの日の午前中にお小遣いをあげるからとマッサージを頼まれた。

マッサージ師はおそらく足だけでなく全身でも効果はあるはずなので、社交辞令的に了承しておいた。



この店に新入で入るのはほとんど奴隷である。未だ自分の状況がわからず、与えられた部屋(普通の丁稚は集団部屋)で泣いているか黙ってうずくまっている。

新年祝いの大宴会に参加できる新入はそれだけで珍しく、将来有望だと思われる。ハーフや亜人は流れるようにエリス派閥へ他の子は最大派閥のノーリ派閥か新進気鋭アクナ派閥の勧誘を受け焦っている。


派閥に入らなければ生きていけないし、スパッと決めることでその派閥への忠誠心にもなる。賢い子はさっさと決め、今頃部屋にいる子は一か月ほどいじめられたあげくどこかの派閥が拾うのであろう。


男の従業員も半分ほどはそれぞれの派閥に属している。

俺はノーリさんの派閥から勧誘されたがお断りした。

派閥とかグループとかお断りである。困ったことがあったらガーリーに相談して、それでもだめならどこかの派閥に入ろうと思う。


そう思っていたがガーリーはその年で辞めていった。(ちょ…おぃ


派閥は売り上げの平均によってボスから様々なご褒美や特権が出るために競争意識が激しい。もともとこの派閥システムも競争させるためにボスが考えた物である。TOP3は仕事以外でも風呂に入ることができ、休みも本人の自由である。部屋も特別な部屋を用意されいたれ、尽せりである。


ただ年間での売り上げが落ちると即降格である。

中には要領が悪かったり、売り上げが悪かったりでどの派閥からも除け者にされてる人達がいるがそんなのはどこの世界どこの業界でもいるものだ。

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