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学園長に相談!


ヒヨコは結局無事だった。何事もなかったかのようにアルフォンの空を舞っている。



しかし無傷とはいかず、左目を中心に縦に傷跡が残り片目を失った。



「ごめんな、相棒……」


そう呟きながら魔力を注ぐ。


「ヘイキ。マスター、ブジダッタカラ。ハラヘッタ、マスターアソボ」



さすがぶれないヒヨコ。

正直神からもらった能力と前世の記憶で俺はかなり強いと思っていた。

700人近い大隊の中でも1対1で俺に勝てる奴はいないし、剣奴隷の頃も同じ条件なら負ける気がしなかった。



しかし上には上がいる事が痛いほどよくわかった。今生きているのはあの変人の気まぐれだ。おそらく次はない。しかもあいつはこの戦争に絡んでいると言った。エギラムの人間を殺してるのにこっちサイドなわけはない。しかしこの国に入国はできている。



しかし空が飛べるなら、国境を無視して超える事も可能じゃないか?

じっさいカロナムの城壁内に夜とはいえ入れてるし。

制空権的な概念がない以上、空からの侵入は容易なのかもしれない。




まずは隊長になってから時間がなく、疎かになっていた修業を見直して自分を鍛えなおさないとダメだ。


実際にルアは目の前にいても探知に引っかからなかったし、高位魔術は叩き落とされて、体術でも勝てなかった。しかも相手はまだ余裕たっぷりだった。どのくらいの差があるのかもわからない。



相手の事を知る事と、自分を鍛える事。これがまず大事だ。学園の図書館で調べものがしたいし、伯爵にも話さないといけない。二人に相談事があると手紙を出し、修行を始める。筋トレに走り込み、体内魔力の操作を一から徹底的にやる。走るのも普段は風魔法の補助で走るが、基礎体力の修業なので付加なしに走る。



翌日学園長から返信があり、いつでも訪ねて来ていいとのことだ。

日没後潜伏を使い空を飛ぶと、周囲探知をしてさらに警戒もしながら学園を目指す。



何かあっても金時計を見せればいいと思い、そのまま学園長室の窓をノックする。




「新しい訪問スタイルじゃな、リョウ」




「すみません。あまり街で目撃されたくないので……」




「まぁよい、常識の枠に収まらんのはもう知っておる……が、まさかアルフォンからここまで飛んできた訳じゃあるまいな?」




「……」




「アホたれが!!どれだけ飛べるんじゃ!!」





「……ぼちぼちくらいです」




「ぼちぼちくらいで街から街に飛ばれてたまるか!!全く、儂も特訓せねば……」




「そうだ、学園長、この世界で他にも飛べる魔術師、いや騎士っているんですか?」




「騎士で飛べる者?そりゃおるぞ!」




「っ!!誰ですか!!?」

あっという間に回答にたどり着いた。





「飛竜王国の飛竜騎士団じゃ!」




そりゃ飛竜にのりゃ誰でも飛べますがな!!

「いや、そういう意味じゃなくて、魔法で飛べるって事です」




「だから飛竜騎士団じゃ。あの国の謎の1つでもあってな、飛竜から落ちた時の落下防止魔法と呼ばれているが、わずかの時間ながら浮けるらしい。しかも高位魔術探知結界にも引っかからない。故に飛竜王国3大謎の1つにあげられておる」




高位魔術以外で浮く……か

「3大謎ってなんですか?」




「まぁどこの国にもあるような噂話じゃ。飛竜王国はその国の成り立ちがそもそも異質での。ある一人の傭兵が爵位と共に領地を与えたられたが、元の国が滅んでしまい、自ら独立を宣言し領土を拡大した国じゃ。しかし飛竜の育成法、謎の浮遊術、王族がいない等不明な事が多い」




「王族がいないのに王国なんですか?」




「いないというより、政治の表に出てこないという意味じゃな。国のどこにいるかも不明、そもそも存在しているのかも確認が取れないという謎っぷりじゃ」




「飛竜騎士団以外に空を飛んだり、浮いたりできる魔術師や人間っているんですか?」




「生まれ持ち重力系の魔法が使える者は、訓練次第で飛べるという文献があるが、重力制御魔法は今まで見た事がないの……何千万分の1の確率じゃろうな。それ以外では特異点に認定されている魔術師の数名が、高位魔術にて飛べる事が確認されておる。儂のように歳を重ねて、魔法操作の極みに立ったものだけじゃな」




「20代で空を飛べる者がこの世にいると思いますか?」





「儂はあまり世界を見聞しておらぬが、あえて断言しよう。お主みたいな規格外と、飛竜騎士団の団長クラス以外は無理じゃ。どちらも常識の枠に収まらん」




「飛竜騎士団ってそこまで強いのですか?」





「まず飛竜を従えることができる者で、落下防止の浮遊ができる者でないと騎士になれん。人を載せて飛ぶ飛竜の数も少ないし、基本的に生涯主従関係は変わらないのじゃ。故に戦争で最強の騎士団じゃが人数は非常に少ない。まさにトップエリートじゃな!まぁ範囲殲滅魔術師で、飛竜にも乗れて飛行魔法も使える儂の敵ではないがの!!!」




学園長を乗せて飛べるファラクは、すでに部屋に入る大きさではないので、別に特別室が用意されている。毎朝のたまごの配達もある意味アルフォンの観光の目玉である。



「それと学園長、色々調べものをしたいのですが図書館の本をお借りしてもいいでしょうか?」




「長く貸し出すわけにもいかんし、学園外に持ち出されるのも困る。学園と図書館の立ち入りの許可を出しておこう。好きな時に来て調べるがいい。もちろん物の持ち込み、持ち出しは禁止じゃ。そこは気を付けるように」




「はい、ありがとうございます」




とりあえず1つわかった。ルア・バレンタインはおそらく飛竜王国の騎士団の1人だ。国のトップエリートともなればあの強さもうなずける。

飛竜に乗れば密入国も可能だろう。


しかしあいつはこの戦争を"買った"と言っていた。この戦争に飛竜王国が関わった経緯はない……はずだ。伯爵からも話を聞くのと、図書館で色々本を漁ってみよう。

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