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アンノウンとの遭遇!

空の月23日。その日ファルコン3からの朝一の連絡が届かず、不審に思い捜索を始めた。


担当区域の森に入って異常に気付いた。やたらと獣が密集している場所がある。狼タイプの群れる獣だ。群れというには妙にばらついており、気になって調べに行く。



潜伏をしながら近づくと、明らかに血のにおいがする。



まさか獣相手と戦闘中か?獣の数も多いが苦戦するだろうか?夜中に奇襲を受けたにしては戦っている時間が長すぎる。



現場についた瞬間思わず固まった。








―――食っているのだ。獣たちが部下を……




反射的に高位魔術を使い、周囲を獣を蹴散らす。











数分後我に返ると多数の獣の死体が転がり、周囲に獣の反応はなかった。

激しく損傷した6つの遺体は正面から見るに堪えず、それぞれのナイフを回収した。ナイフにはエッグノック大隊の紋章と主に番号が刻まれている。これで個人の識別ができるのだ。


ナイフを探しながら気づいた。遺体のすべての頭に穴が開いている。

俺の知る限り野球ボールサイズの穴をあける獣なんて知らない。

そもそも魔獣相手でも6人なら負けないレベルだし、ましてや猛禽班である。全員が逃げ切れないなんてことがあるのだろうか。



全員分のナイフを回収すると周囲探知に集中し、周囲の敵意、魔力を最大限に探知した。




しかし日常と変わらず何もない。



「やばい、敵をなめすぎていたかもしれない!」




コンドル3とホーク3、それにアルフォンにヒヨコを使って連絡をする。

まずは合流して引き上げだ。





約2時間後、コンドル3が合流した。ホーク3も現在こちらに向かっている最中だ。ファルコン3が壊滅したことは、ヒヨコで伝えてある。この隊で初めての死者だ。軍だから人が死ぬことも当たり前なのだが、今まで誰欠けることなくやってこれたので、この衝撃は大きい。



しばらくすると一人の人間の反応がこちらに駆けてくる。

知っている感覚という事は猛禽班のメンバーだろう。

その場で待機して合流する。




「た、隊長!!怪しい奴が出ました。相手は一人、他の班員が!!!」




(やはり逃げるのすら困難な相手か!!)




「班長の指示で3名が決死の足止め、残り3名で合流地点へ報告へ走りましたが……」




「ご苦労、コンドル3と共にアルフォンへ一刻も早く帰還せよ、それとこのナイフを頼む」



そういってファルコン3のメンバーのナイフをコンドル3に預ける。




「た、隊長は?」

心配そうにコンドル3の班長が聞いてくる。



「これでも追跡術などを教えたのは俺だ。単独での追跡と探索が一番都合がいい。俺が戻るまでは今後の指揮は中隊長に委任する」




「し、しかし!」




「お前等がこれ以上ここでできることはない。速やかに帰還しろ」




「わ、わかりました」




これは非常にまずい、伝令役が3人走ったのに1人しか戻ってこないという事は、足止め役の3人はもうこの世にはいないだろう。

おそらく他の2人も、そしておそらく最後の1人は逃げる先を追われてきたはず。

にもかかわらず俺の周囲探知には異常は見られない。

俺以上の探知能力か追跡能力があるか、俺の探知に引っかからない潜伏をしているのか、偶然1人だけ逃げ切れたのか……



こんな時に楽観視はできない。慎重に潜伏し隊員が逃げてきた先を注意深く探知する。








「やぁ、君がリョウ君かい?」







唐突に後ろから声を掛けられた。油断もしてないし、潜伏もしていた。

周囲探知で確認するが、背後には何の気配もない。


背筋が凍る。俺の勘がやばすぎると最大限に警鐘を鳴らす。




相手を刺激しないようにいゆっくりと振り返る。

そこには若い白い髪の青年が立っていた。

目の前にいても周囲探知には引っかからない。



「なかなか面白いね君、魔力も生命力も感じられないし、なんか存在が薄い感じ。君がリョウ君だよね?」




「だとしたらなんですか?」

返事をしながら相手を視る。



【ルア・バレンタイン 22歳】



女みたいな名前だが男だ。



「ずっと君に会うのを楽しみにしてたんだ、楽しもうよ。戦争の火種君」




「っ!!」




「君の事はたくさん調べたよ、スラムの生まれ、飛竜の発見者、学園での殺人、剣奴隷からの短期解放、さらに今は大隊の隊長さんだってね……」




「……何者だ、お前」




「俺は名無しの魔術師さ、"この戦争"を買ったのさ。一番の楽しみは最後まで取っておく方でね」




なんだ?言ってる意味がわからない。とりあえずこの場から一刻も早く逃げたい。相手は魔術師だ。視界から消えるか、接近戦だ。魔術の発動前に叩く!




「2年も待ったんだ、楽しませてくれるだろ?」



先手必勝!相手の懐ろにもぐりこむ。この間合いなら魔法は使えない!

肩での当身から手首を取りに行くが、当身を流されそのまま投げられる。



「まだ話の途中じゃないか、しかし妙な体術だね。一度見たことがあるよ。神武帝国の情報部が使う体術に似ているね、どこで習ったんだい?」




追撃がこないので、転がりながら距離を取ると高位魔術を展開し撃ちまくる。


(後先は考えちゃダメだ)


塵も残らないほどに徹底的に撃つ。
















30分ほどしてようやく手を止める。風魔法で宙に舞い、潜伏をしながら木の葉の陰に隠れる。




「なかなかいい攻撃だけど、詰めが甘いよね。しかし空も飛べるとは意外だった」





急に背後から声がした。振り返りながら裏拳を当てに行く。




「こわいこわい、やだなー話をしようよ!」




あっさりとよけながら軽く笑う。相手も宙に浮いている。




「何が目的だ!!」



高位魔術を1発全力で撃つ。







次の瞬間ルアはそれを左手で軽く叩き落とした。




「実にいい練り方をされた魔法だ。でも実戦じゃ役に立たないね」




麻痺ナイフと毒ナイフを両手に持つと、高位魔術の攻撃と一緒に突っ込んだ。




「おや?不思議な魔力が使われてるナイフだね、こりゃ当たると危ないかな」



高位魔術を叩き落とし、避けながら俺の方に突っ込んできていつの間にか抜いた剣でナイフを払うと蹴りを放ち倒れた俺に剣を突きつける。





「これでゆっくりお話しできるね。あ、動いたら刺すから気を付けてね」




細身の剣は俺の喉にあてられている。




「これでまだ14歳になりたてだもんね、そこらの騎士よりよっぽど強いよ、リョウ君」




「しゃべる事は何もない。殺すならさっさと殺せ!」






視界の隅にヒヨコが見える。油断大敵って知ってるか?まだ負けちゃいないぜ!!

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