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エッグノック中隊、最後の日!


とんでもないことになった。

13歳になると同時に辞めるつもりでいたのが、あれよあれよと流されて何故か中隊が大隊規模になった。


大隊長の役職と共に3名の中隊長の任命権限、さらに年間予算として6000銀貨。

アルベルトの補佐としてジンと他2名の合計4名と、表向き鉱山労働者としてだが、裏で軍属5年契約をした奴隷500名。


合計700名以上の立派な軍である。

国から派遣された衛兵は年内に宿舎からの退去、さらに備蓄食料は軍事備蓄に関してはすべての使用を許可された。


とりあえず空の月1日まではまだ時間がある、カチュアとアニマに相談だ。




-----------------------------




「……というわけなんだが、二人は来年も軍に残るか?自由に決めていいよ」




「あたしはリョウが残るなら残る!行くあてもないしね」



「わたしも元々は学園卒業後騎士になりたかった。望んでこの立場にはなかなか来れない、ぜひ来年以降もよろしく頼む」




「そっか、新兵の訓練と領地の巡回、警備その他のローテーションを組もう」




「し、しかし伯爵家の次期当主も来るのだよな?大丈夫なのか?」

不安げにカチュアが聞いてくる。




「元学園のルームメイトだしな、伯爵からも一平卒から扱えと言われてるし、まぁ悪い奴じゃないよ」

アルベルトの扱いに関しては厳しくしてくれと、伯爵から言われている。



「でも予算が6000銀貨ってすごいね!なんでも買えちゃうね!!」




「半分以上はエッグノック元中隊の給料で消えるんだけどな」



「元中隊?」



「あぁ、今後エッグノックは大隊の名前に変わる、今ある中隊は空の月1日をもってエッグノック大隊第一中隊に名称が変わる」




「しかしこの時期に侵略戦争とはな……」

アニマより頭のキレるカチュアがつぶやく。




「……カチュアの感想は?」




「うーん、伯爵様と隊長のやりとりを聞いた限りでは、力のある貴族の力を徴発で削って、軍事力を低下させる。でもそれが原因で国の金庫がかなり危ないと……」



「その通りだな」

カチュアはアニマと違って3人の時でも隊長と呼ぶようになった。



「一番簡単なのは貴族から臨時税を徴収してしまえばいいはず……」



「臨時税は領地の収入や大きさでなく爵位で決まるからな、上の方は大赤字いだぜ?」



「それが嫌な上層部が他国への侵略戦争を提唱した、第一陣は徴発軍と徴発兵、負けたらどうするつもりか……」




「俺の予想だけどおそらく負けていいと思ってるんじゃないか?」




「ん?どう言う事だ?」



「負けたら口減らしにもなるし、責任は指令本部に丸投げできる、逆侵略されてもエギラムには防衛に関しての切り札がある」






「……学園長先生か!!」



「その通り、攻勢には出なくても国の自衛には出る第二級特異点、学園長が健在である限り、余裕だと思ってる国の上層部の汚い顔が見えるよ」



「じゃ、第一陣はただの捨て駒、というより責任転嫁の為に隣国に攻め入るのか!!?」



「まぁ真相はわからないけどね、伯爵も指令本部として従軍するらしい、勝たない限り、生きて帰っても色々と面倒だろうね」



「それがわかってて、なぜ行くんだ!!」



「国の命令だからさ、逆らえば国家反逆罪、領地の没収、廃爵もあるからね。その為にアルベルトの当主としての自覚を持たせる事と、領地の自衛力強化の為にこの流れになっていると思う。まぁ推察だけどね」




「だが、しかし!」



「しかしもかかしもないんだよね、カチュアだって俺の部下である以上、俺からの命令は厳守だ。俺達にできる事はロミスカの地を守る事と、軍を少しで鍛える事だ、孵化した聖獣は順次配っていく、それと大隊の話と奴隷解放の話は、俺が発表するまでまで口外しない事」



「はーい」「……了解」



こうして今日も夜は更けてゆく……。



-----------------------------



山の月90日朝の点呼の後朝食をとり、隊員全員を訓練場に整列させる。

ローテーションを組んで、全員がアルフォンにいるように調節した。




「全員注目!今日は大事な発表がいくつかある!2度は繰り返さないので騒がずに聞くように。まず1つ、全隊員に配布し終えた動物はすべて聖獣である。各自で世話をし管理しろ。名前も各自でつけて構わん。ただし、虐待、管理放棄をした場合相応の罪で償ってもらう。2つ、君たちは空の月1日をもってすべての隊員が奴隷身分から解放となる。今までとは違い、別途給料が支給される。現金、貴重品の管理は各自で行いたまえ」




あちらこちらで歓声がある。




「話はまだ終わっていない!!!!3か月で多少まともになったと思ったがまだまだのようだ。今騒いだ者は自己申告にて訓練所1周ダッシュで走れ!」



隊列から半数近くが抜け、走っているが全員笑顔だ。



-----------------------------



「話を戻す!3つ、明日から新兵500名が合流する。彼等にも諸君らが受けた訓練、いやそれ以上の訓練をし、育てる。明日以降エッグノックは大隊名とし、諸君らはエッグノック大隊第一中隊所属となる。くれぐれも後輩に抜かれる事無いように。なお新兵訓練と並行して諸君らには更なる訓練も積んでもらう。もちろん今までの領地の自衛や、情報収集も並行して行われる」




多少のざわめきはあるが先ほどよりは静かだ。



「最後の発表だ!この3か月よく頑張った。一人も欠けずここまで来れたのは諸君らの努力と団結の賜物だ。本日は訓練を中止し無礼講の宴会とする。酒も提供するが、明日に残らないように考えて飲むこと。3か月共に歩んできた仲間をたたえ合い羽を伸ばすといい。明日からは今まで以上に厳しくなる。それでは解散の号令後、各班の班長は明日以降の予定について会議があるので、全員会議室に集合。副班長は班員が度を超えないように管理せよ、では解散!!!」




解散の号令と共に喜びに沸きあがる隊を背に、会議室へ向かう。

明日から500名の新兵……非常に苦労しそうだ。

中隊全員が聖獣を持ってしまった。これからどこに向かって突っ走るのだろう?

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