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伯爵からの呼び出し!


山の月に入った。

非常に困る問題が見つかった。食糧である。

街から離れた村の手伝いに森での狩猟、街での手伝い。

食糧が余って仕方がない。

しかしやはり売り物にならないサイズや傷物ばかりなので、売るのも気が引ける(貰いものだし)


捨てるのももったいないので、禁断の必殺技を使うことにした。

そう伝説の大食い、聖獣の出番である。200個のダンジョンたまごを学園から買っても20銀貨で足りる。放出量は少ないとはいえ、魔力の保有量はそれなりに自信がある。鳥系を優先的に班長に回せば連絡の面も楽になる。


ヒヨコはいつでもハラヘッタと言っているが、成体になってからはそれほど食わない。


とりあえず学園からダンジョンたまごを買い取り孵化させよう。

このまま食糧を廃棄するより全然いい。

さっそく学園長に、200個ほどダンジョンたまごが欲しいので安く売って下さいと頼む。一度にまとめては無理だが、毎朝のファラクのたまご便で少しづつ送るという約束で決まった。価格は1個1000エギラム。学園内価格で買えるのでかなりお得だと思う。

到着したたまごは日付を書き、体内魔力を流し込む。

ヒヨコの羽はかなり集まっているが、瘴気を吸わせないと魔力を溜めないので消費媒体は使えない。

カチュアやアニマの分もあるので正確には200個以上買うつもりだが。


二人の希望はアニマがウマ、カチュアがイヌらしいのでそれっぽい聖獣が生まれたら優先的に振り分ける事にした。



山の月の90日で俺がやめても問題が無いようにする。

アニマとカチュアはどうするか不明だが、それぞれにそれぞれの人生があるのだろう。


領内の盗賊をいくつか捕まえて、アニマにウマの聖獣、カチュアにイヌの聖獣を渡し、隊員の半数以上に聖獣を預け、[調子に乗りすぎた、食糧逆にやばくね?]と思い始めた頃、伯爵から直接会う時間を作ってほしいと頼まれ、山の月64日、もうすぐ生まれそうなたまご達に魔力を与え、夜中に潜伏を使い空を飛ぶ。


来る時にには馬車で2日かかったが、直線距離を飛べば4,5時間で着く。速度もある程度でるし、暗視もあるのでヒヨコと夜のお散歩気分だ。


城壁内の門を通ると色々まずいので、直接伯爵家の屋敷に降りる。

入り口で来訪を告げると、時計を見せる必要もなく中に案内される。


応接室でしばらく待つと、ガウンの羽織った伯爵がやってきた。



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「こんな深夜に申し訳ありません。あまり長くあちらを離れられないもので……」



「こちらこそすまない、急に呼びつけたりして。よくこんな深夜に城壁内に来れたね」




本来夜間の城壁内の門は、緊急時以外通行が不可能だ。



「色々ありまして、ご用件の方は……まぁなんとなく察してますけど」




「うん、すまない。おそらく推察通りだ。率直に言えば中隊の継続を願いたい」




「一応中隊は個々に考え活動できるように訓練し、俺が居なくてもある程度活動できると思いますが……」




「君になら問題がないから話しておこう。先日の国の議会で年明けと当時にカナン国に宣戦布告することが決まった」



「え?」




カナン国は隣接する王政国家で、国土こそエギラムより広いが、あまり戦争をしない国だと歴史で学んだ。それでも国が存続するのは防衛力と良政のおかげだろう。




「飛竜王国関係で、妙な動きがあるからっていう軍事待機だったんですよね?」

なぜ攻め込むんだこの国は!!




「そうだ、それも元はと言えば力を持った貴族の戦力を削るために、軍中枢が提唱した事なのだが……」




「あー、でも軍事待機にかかるお金が尋常じゃないと……?」




「その通りだ、このまま警戒態勢を解いて徴発を返還して、も軍中枢の貴族の首がいくつか飛ぶほどの金額が既に使われている」



「それを埋めるために侵略戦争をすると……?」



馬鹿の極みだ、それこそ傭兵国家の飛竜王国はカナンに助力する。攻め込んできた相手だ、遠慮なく逆侵略してくるだろう。



「まさにその通りだ。わたしも指令本部の人間として従軍することになった。」

ありえない馬鹿はどこの国にもいるようだ。




「戦争の理由はあるんですか?」




「ここ100年での国境近辺での軍事演習や、カナンから流れてきた移民を犯罪者を送り込んだ扱いするようだ。どの国から見ても言いがかりに過ぎないお粗末な理由さ」


どこかの軍中枢の侯爵様が、盗賊を隣の領地に送りこんでなかったっけ?



「勝算はもちろん見込んでの攻勢ですよね?」




「空の月に徴発軍および徴発兵による第一陣、約7万の軍勢で攻め込むが、わたしには正直確実に勝てる戦とは思えない」




「防衛とか国の余力戦力は……?」



「軍事機密なので詳しい数字まではわからないが、各領地に派遣されている衛兵をかき集めても4,5万程だろう。戦時における再徴発を行っても10万は超えるまい」




「それで勝てるかどうかわからない国に喧嘩売るのが、異常だと感じるのは気のせいでしょうか?」



「全く同意見だ、しかし戦争好きの馬鹿どもは侵略して奪えばそれで何とかなると思っている」




「もしかしてエッグノックも従軍ですか?」

問題の核心に触れる。



「いや、伯爵家の軍ではなく私一個人の近衛隊の扱いだからね、国も無理に従軍要請はだせない。隊長が君であることもあるしね」




「えっと、つまりどう言う事でしょう?」




「率直に言おう。我が息子アルベルトを学園から中退させる、中隊を後二つ設立してその育成と領内の治安の維持をしてもらいたい」




「言ってる意味が、ちょっと待ってください……え?」




「わたしがこの従軍で生きて帰れる保証はない。アルベルトには貴族の跡継ぎとしての責任がある。歳が明ければアルベルトも13歳だ。もう十分大人だ、軍を率いる者としての責任を持ってもいい頃だ」




「え?でも中隊なんて……え?しかもさらに中隊作るとか無理ですよ!」




「エッグノック中隊の元奴隷200名は軍属5年の契約だ、奴隷身分から解放し、給料は伯爵家から出そう。私設軍徴発で浮いた分の余裕がある。近衛隊の給料は本来軍事費扱いで出せないのだが、君への給料として支払ってからそれを隊員の給料として処理する」




「元奴隷という事は全員解放するんですか?」




「戦時徴発で剣奴隷や男の奴隷はほとんど軍属だ。奴隷身分のままでは都合がよくない。新たに増員する500名はちょっとしたコネから手に入れた奴隷だが鉱山労働者としての雇用だ。徴発規定には引っかからない。500名に加えアルベルトとその補佐役を送る。もちろん補佐役の給料も伯爵家の家臣としてこちらが出せる」




「アルベルトの補佐役ですか!それならその方に」




「期待してる所申し訳ないが、補佐役とは君も知ってるジン君の事だ。家の家訓でね。補佐役は同世代の者をつけ共に成長すると……」




「う、うわぁ……どこの子供中隊ですかそれ……」

絶望しか見えない未来である。



「中隊どころか700名ともなると大隊なのだがね、予算もアルベルトの小遣いとして別に貯めていた資金を流用する。君への給与額もエッグノック中隊隊員の給料と予算の合算なので年間6000銀貨ほどになる」




「そんな給料額絶対におかしいですよね?間違いなく国から文句が来ませんか?」



「どこの領主でもやってる事だ、ここまで来たらわたしも腹をくくらねばならん。どうにか頼む!」



話がどんどんとんでもない方向に流れて行ってる気がする。

分水嶺はとっくに過ぎ去ってしまったことを理解してうなずくしかなかった。

気づいたらアルベルトとジンが再登場決定!

さらに中隊が拡張して大隊になってしまいました。


あれ?ヒヨコが無双して魔王を倒して世界平和になる物語がどうしてこうなった?

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