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Winter Wonderland  作者: 夜図
8/8

エピローグ

アイミーにも、ルーベルトにも、エリーにも、元の日常がやって来ました。

これからというもの、この日以来、端目には相変わらずに見えるものの、彼らの仲は、思いの他深まったのでした。

街を駆けていたおじさんはというと、よく交番で、見かけるようにはなったのですが、まるで表情は硬く、もうあの夜のように、笑顔を見せることはなかったのでした。

アイミーとルーベルトの間に、少し友情が芽生えたのもそうですが、アイミーとエリー、ルーベルトとチェノゥラの間柄が、友だち以上になりつつあるのも、また、あの夜がもたらしたことでした。

チェノゥラはと言いますと、あれ以来とても元気になりまして、あの数ヵ月後に、また学校に通い始められるようになったのでした。

ちなみに不良のような青年たちは、あの警官が苦手になって、とてもおとなしくなっていき、例の酒場に出入りすることもなくなったのでした。

あの後アイミーは確認しに行ったのですが、酒場の看板には、ただ“Cat(キャット) and(アンド) Fiddle(フィドル)”と、どこにでもあるような名前が、書かれているだけでした。


 この街では、中々雪が降りません。

あの夜を歩いた子どもたちは、また雪が降って積もらないものかと、心待ちにしました。

そうすればまた、あの賑やかなスノウ・マンたちに出会えて、静かで明るい夜の街“Snow(スノウ・) Wonderland(ワンダーランド)”を、歩き回れたりするのです。

ですから子どもたちは、冬が来るたびに、雪が降り積もることを、願うのでした。

そして数年後、その日は来ました。


「雪だ、」

アイミーは相変わらず元気な男の子だったので、夕飯時に関わらず、雪が降るなりそう叫びました。

アイミーは待ちきれない様子で、みんなが寝静まるまで待ちます。

こうしている間にも、スノウ・マンは路地から生えるように現れて、あの日のように歩き回っていたり、“Sleigh Bells”の酒場で騒いだりしているのかもしれないのです。

やがて夜中になると、アイミーは棚から“S.W.”の金刺繍の入ったあの長靴を取り出しますと、玄関で履こうとします。

「あれ、」

しかし、長靴が入りません。

アイミーは気付きました。

アイミーは数年の間に、成長してしまい、もう長靴が入らなくなっていたのです。

アイミーはふと、自分が手にしている長靴を、小さく感じました。

雪が降った日の、この街の夜は、この長靴を履かないで、出歩くことができません。

そうしてふと外に耳を澄ましますと、アイミーよりももっと小さな子どもが、はしゃぎ回る声が聞こえたりするのです。



最後までお付き合いいただきありがとうございました*

ありがとうございました、ありがとうございました。。

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