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通じ合わせ方

作者: 森野涼子

久々に更新してみました。

今回もふと思いついたものをかいてみてるだけです。


駄文ですが、よろしくお願いします。

人間って単純なようで、ものすごく複雑な生き物。

誰ひとりとして、その人の心を知ることはできない。

自分の心を知るのは、いつだって自分だけ。



「う~ん……」



それは、数カ月たった恋人同士でも、同じことである。

そして私は、それで一番困っているわけだが。


「あの人の気持ちなんて、わかんないよぉ……」


今日は9月の7日、あの人の誕生日1週間前。

そろそろ誕生日プレゼントを本気で考えないとやばい、そんな気がする土曜日の午後。


あの人にそれとなく「どんなプレゼントがいい?」って聞いたんだけど、「陽菜ひながくれるものなら俺何でもいいよ?」というあげる立場として一番厄介な回答が待っていたわけだけど。

まぁ私自身も、誕生日プレゼント何がいいと聞かれたときに同じような答え方をしたから人の批判はもちろんできるわけもなく、うんうんと首を動かすしかなかった。



「さて、どうしたものかなぁ……」



考えれば考えるほど、どつぼにはまるようにクルクルめまぐるしく回り続ける思考の数々。

あの人の好み、あの人の好きなモノ、あの人の欲しそうなもの……

どんどん浮かぶものは、ありふれていたり当たり前すぎてつまらない、ばかばかしいものばかり。

正直この辺の私のセンスがないことが、改めて知らしめられる結果となってしまっているわけだが。


「感謝の気持ちくらいは、伝えたいんだけどな……」


そう、私は普段、あの人にお世話になりっぱなしなのである。

金銭面も、精神面も、私のすべての支えとなってくれている、そんな大切な人なのである。

そんな大切な人に、せめて誕生日くらいは自分の感謝の気持ちを精一杯に伝えたい、というわけなのである。

しかしそのものが見つからず、本末転倒。それが残念なことに現状なので心底困っている。



「どうしたら喜んでくれるんだろう……」



唸りながらベットをごろごろと回り転げる午前1時。明日が部活ってことも忘れて、眠気まで吹っ飛ぶほどの問題である。

私のせい一杯の気持ち…どうしたら……



「あっ!!」



そして私は、ある提案を思いついた。

野良猫も静まりかえって近所迷惑にもなりかねないような、そんな声を上げながら。

きっとこれなら、喜んでくれると信じて……!




ー1週間後ー



竜太りゅうた、お誕生日おめでと!!」


決心がついたあの真夜中から一週間、ついに誕生日がやってきた。

「物」はまだバッグの中。ちょっとだけお話ししたいのが私の我がまま。


「ありがと、陽菜。部活後で疲れてるって言うのにわざわざ……」


「いーの!ちょっとでも長く一緒に……いたいし…」


「ん?」


「なんでもない!!」



ちょっと目を反らして話も反らす。

いつもの私のやり方である。

恥ずかしさが8割、2割はその他諸々の感情っていうなんとまぁわかりやすい天秤となっている。


「そ、そんなことよりこれ!」


話を反らしたついでにプレゼントをバッグの中から取り出す。

骨董品のような高いものじゃないけど、ちょっとだけ壊れやすいからゆっくり、慎重に。

壊れたらちょっと私の努力が無駄になりそうだから、本当に慎重にとりだしていく。

その姿を見たあの人は、ちょっとだけ笑いをこらえるようなしぐさをして、その姿を見つけた私がほっぺたをつねったのはちょっと別の話。


「これ!プレゼント!!」


ようやくプレゼントを包んでいる包装紙がすべて顔を出したところで勢いよくあの人の胸元へ渡した。

バレンタインでもないのに、この光景は珍しいかもしれない。


「お、おぅ……」


勢いに押し負けたのか、そのままたじたじになりながら少しずつ包装紙をはがしていく。

几帳面なあの人は、包装紙を絶対に破かないようにはがしていく。



「おぉ…!」



姿を見せたのは、チョコレートケーキ。

あの人の大好物っていうことは知ってたから、未だなれないお菓子作りで一番頑張った代物だ。

形も崩れてない、大丈夫、成功した。



「ど、どう……?」



それでも不安になった。こんなありふれたものでいいのかって。

そんじょそこらのケーキ屋の方が、絶対おいしいことに間違いはないのに。


「嬉しいに決まってるじゃん!なんでそんな自信なさげにしてるんだよ!」


「いや、だって……」


「俺、すっげぇ嬉しいよ?陽菜がわざわざ作ってくれたんだもん、嬉しくないわけないだろ?

もし嬉しくないやつがいたら俺がそいつのことぶん殴ってやるよ!」



茶化しとともに嬉しいことをさらりと言ってくれる。

そんなところも含めて、大好きなんだ、私は。


だから、だから―――――



「ねぇ、竜太?」


「ん?なに??」


「ちょっとだけ、目をつぶって?」


「ん?何で――――」


「いいからつぶって!!」


「お、おぅ……」



本日二度目の『お、おぅ』をいただいたところで私の指示に従ってくれたあの人。

改めてみるその姿はやっぱりかっこよくて。


(……大丈夫、大丈夫――――)




一つ、深呼吸して。

最後の決心をして。

一番の感謝の気持ちを、ありったけこめて。





「大好きなんだからね」






誰よりも大好きな、あなたに。

誰にも譲りたくない、あなたに。

あなた以外にあげない、あなただけの。



私からの、口づけを。





とんだありふれたものだけど、あなた以外にあげるなんて、ないんだから。









.

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

どうでしたでしょうか??

コメントや感想、どんどん待っています!








……まさかこの主人公が、作者をイメージしてたなんて、言えないよね((ボソッ

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― 新着の感想 ―
[良い点]  綺麗な青春ですね。何か目が潤みます。 [一言]  竜太良い奴だ……!
2012/05/27 01:45 退会済み
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