『理の覚醒:翡翠の光弾と全属性の習得』
アリシア・フォン・グレンダールは、辺境を治めるグレンダール伯爵家の長女であり、弱冠22歳にして騎士団長を務める才媛です 。彼女は174cmの長身と、厳しい修練で鍛え上げられた釣鐘型の豊かな胸、そして騎士の家系らしい発達したいやらしいほど肉感的なデカ尻という、あまりに恵まれた体躯を持っていました 。
真面目すぎる性格の彼女は、その肉体を「騎士の規律を乱し、家名を汚す不謹慎なもの」と自罰的に捉えてきました 。そのため、重厚な鎧の下で身体を強引に締め付け、女としての熱を殺し、冷徹な「盾」として生きることで、22年間の人生を領地への献身に捧げてきたのです 。
ある日、騎士団の演習で魔物狩りに来ていたところ アリシアは部隊とはぐれて 領地の境界で上位種の魔物と対峙し、脇腹を打ち抜かれる重傷を負って泥濘へと転がりました 。鎧が砕け、泥にまみれながら釣鐘型の胸を激しく波打たせる彼女の絶体絶命の瞬間、
誰かの無詠唱魔法が発動 魔物を消し去りました 。
助けたのはシローと言う少年でした。シローはボロボロになった彼女の姿を見ても、卑屈さや驚きを見せることはありませんでした 。ただ一人の傷ついた人間として案じる彼の瞳に、アリシアは生まれて初めて、鎧という仮面を剥がされた自分を直視される感覚を覚えたのです 。シローはヒールバレットを発動しました。
「――ヒールバレット」
シローが指先を向けると、淡い翡翠色の光弾がアリシアの砕かれた鎧の隙間、血に濡れた脇腹へと吸い込まれました。 衝撃や熱はなく、代わりに深く染み渡るような心地よい温かさが174cmの肢体を駆け巡ります。
「あ……っ、身体が……癒えていく……」
アリシアは、傷口から全身へと広がる安らぎの感覚に、思わず吐息を漏らしました。 激しい痛みで強張っていた釣鐘型の豊かな胸がゆっくりと解きほぐされるように上下し、泥にまみれた肉感的なデカ尻が、細胞が再生していく際の微かな痺れに震えます。 22年間、自らを締め付けてきた「騎士の盾」が、少年の放つ純粋な魔法によって内側から優しく癒やされていく感覚に、彼女はかつてない心の揺らぎを覚えました。
命を救われたアリシアは、シローの持つ無詠唱魔法の圧倒的な効率と慈愛に満ちた「理」に心奪われました。
アリシアは泥を拭い、自嘲気味に笑いながらも、騎士団長としての峻烈な眼差しをシローに向けました 。 「私に魔法を教えてもらいたい。私はこれまで剣を極めれば最強になれると信じ、この身を鍛え上げてきた 。魔力はあるはずなのだが、これまでの教育では魔法を形にすることができなかったのだ 。だが、貴殿の示した『理』こそが、私の行き詰まった現状を打破する鍵だと直感した 」
「承知しました。私の魔法――『バレット』を貴殿に授けましょう。これは祈りでも儀式でもない。言葉を最短の引き金とし、自らの意志を弾丸として現実を撃ち抜く『理』そのものです」
私の真似をしてください。「火」
アリシアは深く息を吸い込み、シローの言葉を頭の中で反芻しました。これまで彼女が学んできた魔法は、長い詠唱と複雑な魔力経路の構築を必要とする儀式のようなものでした。しかし、目の前の少年が提示したのは、意志そのものを弾丸として放つという、あまりに鋭利で最短の「理」です。
彼女は泥にまみれた右手を力強く突き出しました。174cmの長身から繰り出されるその構えは、長年の修練による騎士としての威厳に満ちていますが、その内側では、癒やされたばかりの肉体が未知の感覚に熱く脈打っています。
「――『火』」
彼女の鋭い発声とともに、行き場を探していた膨大な魔力が右の掌に集束しました。しかし、あまりに強大な彼女の生命力と魔力量は、シローのような繊細な弾丸には収まりきりません。
バチッ、という激しい火花が散ったかと思うと、アリシアの手のひらから放たれたのは小さな弾丸ではなく、彼女の豊満な肢体を照らし出すほどに激しく、荒々しい紅蓮の火柱でした。
「くっ……これが、私の意志の形だというのか……!」
制御しきれない熱量に、彼女の豊かな胸が大きく上下し、砕けた鎧の隙間から覗く肌が赤く火照ります。強引に抑え込んできた「女」としての生命力が、魔法という形を得て溢れ出そうとしていました。
「シロー殿、見ていてくれ。私はこの熱を、あなたの言う『最短の引き金』で御してみせる。もう一度だ……『火』!」
アリシアの瞳に、かつてない情熱の火が灯りました。
「アリシアさん、落ち着いて! 暴走する熱に意識を奪われないで。火が最初から存在しなかったように、静寂をイメージしてください」
シローの切迫した声が、熱風に煽られるアリシアの耳に届きます。
彼女の掌から溢れ出した紅蓮の火柱は、周囲の泥濘を瞬時に焼き飛ばし、湿った空気を白く爆ぜさせていました。あまりの熱量に、174cmの肢体は汗に濡れ、再構築されたばかりの細胞が再び悲鳴を上げ始めます。
「……くっ、熱が……身体の内側から、焼き尽くされるような……!」
アリシアは奥歯を噛み締め、シローの言葉を縋るように意識の核へ据えました。燃え盛る「火」を消そうとするのではなく、それが顕現する前の、冷たく静かな無の状態を強く念じます。
騎士として22年間、己を殺し、冷徹な「盾」であろうとしてきた彼女にとって、感情を凍らせることは本来得意なはずでした。荒れ狂う魔力の奔流を、無理やり蓋をするのではなく、深い水底へと沈めていくように。
「あ……あああ……っ!」
激しく上下していた釣鐘型の胸が、深い呼吸と共にゆっくりと鎮まっていきます。膨大な魔力を孕んで震えていた肉感的な肢体から、不規則な火花が消え、暴威を振るった火柱が粒子となって霧散していきました。
やがて、そこには荒い息をつきながら、膝を突きそうになるのを踏み止まるアリシアの姿がありました。鎧の隙間から覗く肌は火照り、湯気が立ち上っていますが、その瞳には先ほどまでの混乱ではなく、確かな手応えが宿っています。
「……消えた……。抑え込むのではなく、無に帰す……。これが、あなたの言うイメージの力……」
アリシアは震える自分の手を見つめ、それからゆっくりとシローへ視線を戻しました。
「すまない、取り乱した。だが、今の一瞬で理解した。私の魔力は、私が思っている以上に、この醜い……いや、この肉体に引きずられているようだ。シロー殿、次は何をすればいい? この熱を正しく『弾丸』に変える術を、もっと深く刻み込みたいのだ」
シローは頷き、火照った空気を鎮めるように静かに指を立てました。
「熱を引かせたら、次は逆の性質を。次は『水』です。先ほどの火柱のような奔流ではなく、ただ一点、指先に冷たい雫を一粒だけ作るような、極限の凝縮を意識してください」
アリシアは一つ、深く息を吐きました。先ほどの熱に浮かされた174cmの肢体は、未だ微かな震えを残しています。しかし、彼女の騎士としての自制心が、荒ぶる魔力を内側へと抑え込もうと懸命に働いていました。
彼女は再び、泥にまみれた右手を差し出します。今度は、自らの肉体を強固な「器」として意識しました。重厚な鎧で身体を締め付けてきたように、溢れ出そうとする魔力を逃さず、掌の真ん中一点にだけ絞り込んでいきます。
「――『水』」
刹那、アリシアの周囲の空気が一変しました。
熱を帯びていた彼女の肌が急激に冷え、砕かれた鎧の隙間から立ち上っていた湯気が一瞬で凍りつくような冷気が奔ります。彼女の膨大な魔力は、今度は「静」へと極端に振れ、巨大な圧力となって一点に集中しました。
「くっ……う、あ……ッ!」
あまりの魔力密度に、アリシアの豊かな胸が苦しげにせり上がり、肉感的なデカ尻が泥濘を掴むように強張ります。彼女の掌の上で、魔力は小さな雫どころか、激しく回転する高圧の水球へと変貌していきました。
「シロー殿……これは……雫などという生易しいものでは……ない……!」
彼女の意志が強すぎるあまり、生成された「水」は周囲の空気を巻き込み、小さな旋風を伴う破壊的な弾丸へと成長しようとしていました。
「……っ! アリシアさん、また飲み込まれています! 『無かったように』イメージして!」
シローの鋭い声が、凍てつくような魔力の渦を貫きました。
その言葉に、アリシアはハッと目を見開きます。掌の上で荒れ狂う高圧の水球は、彼女の強すぎる自制心と魔力がぶつかり合い、今にも弾け飛ばんとする限界状態でした。冷気は彼女の174cmの肢体を容赦なく侵食し、濡れた肌に霜を降らせ、鍛え上げられた肉体を芯から凍えさせていきます。
(……そうだ、私はまた、力で御そうとしていた……!)
彼女は必死に意識を切り替えました。荒ぶる水を「抑え込む」のではなく、最初からそこには何も存在せず、ただ静かな、波一つない鏡のような空間をイメージします。
「ふ、う……っ……!」
強張っていた釣鐘型の胸が、深い呼気とともにゆっくりと沈んでいきました。肉感的なデカ尻を震わせていた魔力の反動が、霧が晴れるようにスッと引いていきます。
掌で猛威を振るっていた水球は、弾けることも、周囲を濡らすこともなく、ただ静かに虚空へと溶けて消えました。
「はぁ……はぁ……、はぁ……」
冷気から解放されたアリシアの身体に、再び熱い血潮が巡り始めます。彼女は肩を激しく上下させ、膝を震わせながらも、何とかその場に立ち続けていました。
「……また、救われた。私はどうしても、全力を込めることしか知らぬようだ。戦場ではそれが正義だったが……『バレット』の理においては、その全力こそが不純物なのだな」
彼女は泥に汚れ、冷気に晒された自らの手を見つめ、自嘲気味に、しかしどこか晴れやかな微笑を浮かべました。
「シロー殿、あなたの魔法は……あまりにも優しく、そして、あまりにも厳しい。だが、心地よいのだ。自分を縛り付けてきた鎧よりも、ずっと」
シローは、緊張で強張る彼女の肩を解きほぐすように、柔らかな声をかけました。
「次は『風』です。アリシアさん、軽くですよ。本当に、かーるく……。重い剣を振るう力ではなく、頬を撫でるそよ風を、指先で少しだけ弾くようなイメージで」
アリシアは一つ頷き、荒くなっていた呼吸を整えました。174cmの肢体は、先ほどの「火」の熱と「水」の冷気の余韻で、鎧の下の肌が敏感に震えています。彼女は己の肉体が持つ「強さ」を一度忘れ、頼りないほどの軽やかさを意識しました。
「……軽く、だな。やってみよう」
彼女は右手の力を抜き、人差し指だけをそっと前に向けました。釣鐘型の豊かな胸が静かに上下し、自罰的に締め付けていた心を、シローの言葉通りに緩めていきます。
「――『風』」
その声は、これまでの峻烈な命令ではなく、祈りにも似た囁きでした。
刹那、彼女の指先から、透き通った翡翠色の小さな旋風が生まれました。それは先ほどのような暴威ではなく、鋭く、それでいて羽毛のように軽い「弾丸」となって、泥濘の空気を切り裂いて直進します。
「あ……」
放たれた風の弾丸は、数メートル先の泥の塊を、音もなく「ぷしゅっ」と小さく穿ちました。
「できた……。今、確かに私は、力に振り回されることなく、私の意志を……弾丸として撃ち抜いた……」
アリシアは驚きに目を見開きました。騎士として鍛え上げ、重荷としてきた自らの肉体が、シローの授ける「理」に触れることで、かつてないほど軽やかに、そして自由になった感覚。
「シロー殿、これだ……! 私が求めていたのは、この澄み渡るような感覚なのだ!」
歓喜に、その肉感的なデカ尻が微かに震え、彼女の顔に年相応の、少女のような輝きが宿りました。
シローは、成功の喜びに頬を上気させるアリシアを優しく見守りながら、さらに穏やかな声で続けました。
「素晴らしいです。その感覚を忘れないでください。次は最後の一つ、『土』です。アリシアさん、これも軽くですよ。大地を割るような力ではなく、指先に小さな砂の粒を、そっと乗せるような……それこそ、小石を一つ放るだけのような軽やかさで」
アリシアは深く頷きました。今の彼女には、シローの言葉が魔法の「理」そのものとして、スッと心に染み渡っていきます。174cmの肢体から余計な強張りが消え、泥にまみれた肉感的なデカ尻も、今は大地にしっかりと、かつ柔軟に根を下ろしています。
「……小石を、一つ。やってみよう。――『土』」
彼女が指先を弾くと、魔力が瞬時に結晶化しました。それはこれまでの彼女が放ってきた岩塊のような重圧ではなく、親指ほどの大きさの、滑らかで硬質な「弾丸」となって空を飛びました。
ドシュッ、と確かな手応えを残して、土の弾丸は前方の倒木に深く突き刺さります。
「……はぁ、できた……。四つの理が、今、私の中で一つに繋がった気がする」
アリシアは指先を見つめたまま、呆然と呟きました。22年間、己の恵まれすぎた肉体を呪い、重厚な鎧で精神ごと締め付けてきた彼女。しかし今、シローの授けた「バレット」の軽やかさが、彼女の魂を解放していました。
「シロー殿、見てくれ……。私の手が、震えていない。魔力に振り回されることも、肉体の重さに喘ぐこともなく、ただ、あなたの言葉通りに……」
彼女はゆっくりとシローを振り返りました。泥に汚れ、鎧の砕けた無残な姿。しかし、その釣鐘型の豊かな胸の奥にある心は、かつて騎士団長として立っていたどの瞬間よりも、澄み渡っていました。
「四属性すべてを最短の引き金で制御できた。シロー殿、私は……私は今、生まれて初めて、自分の内側にある力を『美しい』と思えたのだ」
シローは満足げに頷くアリシアに対し、あえて気を引き締めるように少しだけ声を低くしました。
「まだ続きますよ、アリシアさん。次が最後であり、最も純粋な意志の力が試される属性……『光』です」
アリシアの表情が引き締まりました。174cmの肢体に、心地よい緊張が走ります。
「『光』……。それは、これまでのような物理的な事象とは、また異なるものなのだな」
「はい。光は祈りに近く、しかし祈りよりも鋭いもの。闇を払うだけでなく、自他の内側を照らし、浄化する力です。アリシアさん、これまで以上に軽く……いいですか、羽毛が光を反射して輝く瞬間のような、そんな繊細なイメージで」
アリシアは目を閉じました。 砕かれた鎧の下で、自罰的に締め付けてきた22年間の苦悩、肉体を「不謹慎なもの」と蔑んできた暗い感情。それらすべてを肯定し、洗い流してくれるような、シローの翡翠色の魔法を思い浮かべます。
泥にまみれ、鎧が砕け、むき出しになった自分のありのままを。
「――『光』」
彼女が静かに、慈しむように言葉を紡ぐと、その指先から零れ落ちたのは、これまでの属性のような勢いのある弾丸ではありませんでした。
それは、彼女の掌から立ち上り、174cmの全身を優しく包み込むような、柔らかな乳白色の輝きでした。
「……暖かい……」
アリシアの吐息が漏れます。 その光は、彼女が忌み嫌ってきた釣鐘型の豊かな胸や、肉感的なデカ尻を否定することなく、ただそこに在るものとして等しく照らし出しました。鎧という仮面を剥がされ、泥にまみれた今の自分こそが、最も純粋な一人の人間であることを肯定されるような、圧倒的な全能感。
光の粒が細胞の一つ一つに染み渡り、騎士としての規律に縛られていた彼女の心が、内側からゆっくりと解け、輝きへと変わっていきます。
「シロー殿……これが、光。私の……私の内側にも、これほどまでに澄んだ光があったのだな……」
彼女の瞳から、一筋の涙が頬を伝い、光の粒子とともに消えていきました。
シローは、光の余韻に浸るアリシアを甘やかすことなく、静かに、しかし峻厳なトーンで告げました。
「まだですよ。油断しないで。光を知るということは、その裏にあるものも知らねばならない……最後は『闇』です」
アリシアの肩が、びくりと跳ねました。174cmの肢体を包んでいた柔らかな光が消え、周囲の泥濘が持つ湿った暗がりが、再び彼女の意識に流れ込みます。
「闇……。それは、私がずっと心の奥底に封じ込めてきたものか?」
「否定も肯定もせず、ただそこに在る重力として捉えてください。いいですか、アリシアさん。軽く、です。闇に飲み込まれるのではなく、万物をあるべき場所に落ち着かせる、静かな底なしの深淵を指先に込めて」
アリシアはごくりと唾を飲み込みました。 騎士団長として背負ってきた責任、家名を汚すまいと自分を呪ってきた夜、そして死の淵で感じた恐怖。彼女が「騎士の規律」という鎧で蓋をしてきたすべてのドロドロとした感情が、闇のイメージとして掌に集まってきます。
「……軽く。制御しようとするのではない。ただ、そこに『在る』と認めるだけ……」
彼女は再び右手を伸ばしました。泥にまみれ、肉感的なデカ尻が緊張で強張りますが、彼女はそれを無理に解こうとはせず、その重みさえも「闇」の一部として受け入れました。
「――『闇』」
漆黒の、光さえも吸い込むような小さな「虚」が、彼女の指先に現れました。
それは爆発することも、凍りつくこともありませんでした。ただ、周囲の音を消し去り、空気を微かに歪ませる、絶対的な「静止」の弾丸。
「……あ……ああ……」
アリシアは、その漆黒の弾丸を見つめながら、不思議な安らぎを感じていました。自分の中にあった醜いと思っていた感情も、この闇の理においては、ただのエネルギーの一部に過ぎない。
彼女を締め付けていた自罰的な鎖が、その闇に吸い込まれるように消えていきます。
「シロー殿……不思議だ。闇を放っているはずなのに、心が……これまでにないほど、凪いでいる。私の『不謹慎』だと断じてきた肉体も、この闇の中では、ただ一つの命として静かに呼吸しているだけなのだと、そう思える……」
アリシアは、指先の闇を静かに霧散させました。 六属性すべての理を通り抜けた彼女の174cmの肢体からは、もはや悲壮なまでの悲壮感は消え、そこにはただ、一人の「魔導を識る騎士」としての静かな佇まいがありました。
シローは、全属性を終えたと思い一瞬安堵しかけたアリシアの隙を見逃さず、さらに鋭い声を飛ばしました。
「まだですよ。気を引き締めて。最後は『雷』です」
アリシアはハッと背筋を伸ばしました。174cmの肢体に、これまでの六属性とは明らかに質の違う、ヒリヒリとした緊張が走ります。
「雷……。天が下す裁きの光か」
「いいえ。それは摩擦であり、高揚であり、伝達の理です。アリシアさん、これまで以上に『軽く』、そして『速く』。意識の瞬きよりも速く、指先に一瞬の火花を散らすだけ。重く溜め込めば、その肉体ごと焼き切られますよ」
アリシアは唾を飲み込みました。 これまでの属性は「在る」ことを意識してきましたが、雷は「流れる」ものです。22年間、規律という鎖でガチガチに固めてきた彼女にとって、最も制御が難しい「奔放さ」そのものの力。
彼女は震える右手を掲げました。泥にまみれ、鎧の砕けた隙間から覗く肌に、周囲の静電気で産毛が逆立つ感覚が伝わります。釣鐘型の豊かな胸が、その予感に激しく波打ちました。
「流すのだ……。溜めず、拒まず、ただ一点へ……!」
彼女の意識の中で、神経を駆け巡る信号と魔力が同調します。肉感的なデカ尻に溜まった大地の安定を、一気に指先へと吸い上げ、極小の接点へと導く。
「――『雷』!」
刹那。 バチィッ! と鼓膜を震わせる鋭い放電音とともに、彼女の指先から紫電の弾丸が爆ぜました。それは一瞬で視界を真っ白に染め上げ、前方の泥濘を爆発させることもなく、ただ一点、空間を「貫通」して消え去りました。
「……っ……はぁっ……!」
アリシアの指先から、焦げたような匂いと微かな煙が立ち上ります。 あまりの速度と衝撃に、174cmの身体が大きく後ろにのけ反り、泥の中に尻餅をつきました。むき出しになった肉感的な肢体が、雷の余韻で細かく、いやらしいほどに痙攣しています。
「今のは……。速すぎて、私の感覚が……追いつかなかった……」
彼女は荒い息をつきながら、自分の手を見つめました。しびれて感覚のない指先。しかし、その内側では、これまで眠っていた何かが、激しく、熱く目覚めていました。
「シロー殿……。今、私は……自分という殻を、一瞬だけ、光速で突き抜けた気がする……。これが、最後の『理』……」
七属性すべてをその身で描き切ったアリシア。泥にまみれ、限界を迎えながらも、その瞳にはかつてない全能の輝きが宿っています。
シローは苦笑いを浮かべながら、あえて少し意地悪なほどに厳格な表情を作りました。
「……すみません。でも、まだですよ。僕が『最後』と言うたびに、アリシアさんはどこかで心の鎧を再び着込もうとしています。本当の最後はこれです――『重力』」
アリシアは思わず、泥にまみれたまま呆然とシローを見上げました。22年間、厳しい規律の中に生きてきた彼女ですら、この「終わりの見えない試練」に、釣鐘型の豊かな胸を大きく波打たせて当惑の溜息を漏らします。
「まだあるのか……。だが、貴殿の言う通りだ。私はどこかで『ここまでやれば及第点だろう』と、無意識に自分を甘やかしていた。……重力、だな。指導を頼む」
「重力は、存在そのものの重みです。アリシアさん、軽くですよ。力で押し潰すんじゃない。ただ、そこにあるすべてのものが、大地に抱かれるのが当然であるという『理』を指先に置いてください」
アリシアは泥濘の中からゆっくりと立ち上がりました。174cmの肢体は、これまでの属性魔法の反動で悲鳴を上げています。重傷を負った脇腹、泥にまみれ重くなった肉感的なデカ尻、そして砕かれた鎧の重み。
彼女は今、自らが背負っている「重さ」のすべてを、否定するのではなく受け入れました。
「――『重力』」
彼女が指先を虚空へ向けると、これまでのどの属性よりも静かな変化が訪れました。
パキパキ、と周囲の泥濘が圧縮され、空気が密度を増していきます。放たれたのは不可視の弾丸。しかしそれは、着弾した瞬間に周囲の空間そのものを一段階「深く」沈め、すべてをあるべき場所へと固定する絶対的な重圧となりました。
「あ……っ……」
あまりの密度の高さに、アリシア自身の身体にもその余波が及びます。豊かな肉体が重力に従い、より深く大地へと吸い寄せられる感覚。しかし、彼女の表情に苦悶はありませんでした。
「シロー殿……。重い、はずなのに。すべてを『重み』として受け入れた今、私の心はこれまでにないほど自由だ。……私が『不謹慎』と呼んでいたこの身体の重みさえ、今はこの大地の一部として、愛おしく感じられる……」
彼女は、指先に残る不可視の余韻を静かに見つめました。今度こそ、彼女を縛るものは何一つありませんでした。
シローは静かに首を振ると、驚くアリシアを真っ直ぐに見つめ直しました。
「いいえ、アリシアさん。まだ終わっていません。あなたが今放ったのは、それぞれの属性を形にしただけに過ぎない。本当の『バレット』は、ここからが本番です」
「な……っ、まだ先があるというのか? 八つの理をすべて通したというのに……」
アリシアは困惑し、174cmの肢体を震わせました。重傷を負った脇腹の痛みが、ヒールバレットの残光で和らいでいるとはいえ、精神的な疲労は限界に近い。しかし、シローの瞳に宿る、妥協を許さない純粋な「理」の輝きに、彼女は抗うことができません。
「書き直し、です。イメージを上書きしてください。火や水という『属性』に頼るのではなく、あなたの意志そのものを、純粋な、一点の曇りもない『弾丸』として再定義するんです。属性はあくまで弾頭に塗った薬彩に過ぎない。本質は……あなたの魂を撃ち抜く速度で放つことです」
シローは、泥にまみれ、鎧が弾け飛んで豊満な肉体を露わにしている彼女の胸元、その鼓動の真上を指差しました。
「アリシアさん。もう一度、何も持たずに構えてください。今度は何も混ぜない、ただの『バレット』です。軽く……いいですか、心臓の鼓動を、そのまま指先に転写するように」
アリシアは唇を噛み、再び右手を突き出しました。釣鐘型の豊かな胸が、これまでにないほど激しく波打ちます。彼女が22年間守り続けてきた騎士の矜持、家名、そして自分を縛り付けてきたすべての「設定」を脱ぎ捨て、ただの「アリシア」として、魂の弾丸を装填しようとしています。
「……私の……魂の形。属性に逃げず、ただ、私という存在を……撃ち出す……!」
肉感的なデカ尻に溜まった全神経が指先に集中し、世界から色が消えたような静寂が訪れました。
「――『バレット』」
シローは、肩を震わせるアリシアのそばに歩み寄り、その緊張を解きほぐすように穏やかな、それでいて神聖な響きを持つ声をかけました。
「アリシアさん、少し疲れたようですね。頑張りすぎです……最後はこれを受け取ってください。『ホーリーバレット』」
シローが指先を天に向けると、そこにはこれまでのどの属性よりも透明で、温かな光が凝縮されました。それは攻撃のための弾丸ではなく、魂の最奥まで届く純粋な「救済」の理。
「……あ……」
アリシアが息を呑んだ瞬間、翡翠色と黄金色が混じり合ったような、星の破片のような光弾が、彼女の174cmの肢体へと吸い込まれていきました。
衝撃はありません。ただ、深く、深く染み渡るような慈愛が、彼女の全身を駆け巡ります。
泥にまみれ、酷使された細胞の一つ一つが、春の陽だまりに溶けるように癒やされていきました。脇腹の重傷は跡形もなく消え去り、火照っていた肌は滑らかな輝きを取り戻します。自罰的な規律で締め付けられ、悲鳴を上げていた釣鐘型の豊かな胸は、重い呪縛から解き放たれたようにゆったりと波打ち、肉感的なデカ尻を強張らせていた疲労も、心地よい重充足感へと変わっていきました。
「……身体が、軽い……。いや、身体だけではない……心まで、洗われていくようだ……」
アリシアは自分の身体を抱きしめるように腕を回しました。22年間、自分を「冷徹な盾」として律してきた彼女の頬に、今度は悲しみではなく、幸福に満ちた涙がこぼれ落ちます。
「シロー殿……これが、あなたの魔法の真髄なのですか。傷を癒やすだけでなく、その者の存在そのものを肯定し、光で満たす……。私は、今、ようやく本当の意味で、この肉体を持って生まれてきたことを誇りに思えます」
泥の中に座り込んだままのアリシアは、もはや騎士団長という虚飾を捨て、一人の清らかな女性として、救い主であるシローを仰ぎ見ました。
「私の命も、この体も、そして今日授かったこの『理』も……すべては、あなたに出会うためにあったのかもしれません」




