三話
先ほどの屋台を抜けて、住宅街のようなところに私はきていた。
「ルナちゃん?」
後ろを振り向くとそこには綺麗な金髪を靡かせながら私に近づいてくるお姉さんがいた。
「ヴィルセリア…!」
ツノの周りを髪の毛で巻いて隠してるようだ。可愛らしい尖ったようなお団子…
「久しぶり、ルナちゃん。」
私が彼女の元へ駆け寄ると、彼女は優しく私の頭を撫でてくれた。
ヴィルセリア、魔族なのに神聖魔法を使うなど謎の多い幹部。
そして…
「うふふ、相変わらず可愛いわねぇ♡ほっぺぷにぽに。…」
ルナフレアのことを溺愛してた…!
両手で頬を揉んでくるヴィルセリア。
確かこの人が、生活力のないルナフレアを結構支えてたって書いてあったなぁ。
などと、ファンブックという名の思い出に浸っていると彼女は私の手を引いて宿を指差した。
「さぁ、とりあえず宿に泊まりましょう。」
そのまま一緒に歩いて行く。
宿に着くと、ヴィルセリアは私のツノと尻尾を彼女の持ち金と交換してくれた。
「大事に使うのよ。」
「ありがと。」
私は彼女からもらったお財布にお金を入れて、ポケットに突っ込む。
「しかし、久しぶりに人間界に来たわぁ。相変わらず明るい場所ねぇ。」
魔界は大陸位置関係で、昼間でも火の当たる時間が短い。そのため光に弱い魔族も多いのだが…
ヴィルセリアは光属性である神聖魔法を使う。やっぱり謎なんだよなぁ。
「それにしても、ルナちゃんが人間界の学校に興味があるなんて。昔の私を思い出すわぁ。私も通ったことあるのよ、高校に。」
私は彼女の顔を見つめる。
「確かまだ400歳くらいの頃かしら、人間が描いたおとぎ話に憧れてねぇ。魔界を飛び出したのよ。楽しかったわぁ。たったの一年しか通わなかったけど、」
「一年だけ?」
ここらの高校は私にとっての前世でいう海外の学校のように、四年制だ。Senior High Schoolといったか。Freshman, sophomore, junior, そして seniorとい四学年あるのだが。
「ふふ、髪型が崩れて、ツノがバレちゃったの。にしてもルナちゃん、ツノ抜くなんて勇気あるわねぇ。」
確か推しが通ってた学校では、神聖魔法の授業もやっていたな。そういうとこで学んだのだろうか…いやしかし、魔族なのに光属性の魔法を…?
「ルナちゃんはツノがなくても可愛らしいわ。それに………なとこも可愛いし………が素敵で…もう本当に、…」
ヴィルセリアの一方的な話を聞き流しながらの時間、私は悩んだ。
どうしたら、推しと同じ学校に通えるかな。
せっかくなら物語の中心となる高校生活を送りたい。
あの、リッチやビッチたちが通う学校に…
確か一般人が入れる枠もあるんだよな、数が限られてるだけで。
相当賢かったり、魔法や剣術などに優れていないと入れない…一般人枠は難易度マックスだけど、それでも…!
私はオタクであって夢女子!!推しとの学校生活を夢見るのなんて当たり前だろう!!!
今の私の年齢はわからないけど、見た感じはまだ小学生だろう。
「ヴィルセリア、」
「どうしたの?」
「私に修行つけて!!!」
それから色々あり、私の年齢は7歳だったことが発覚。
それから、私はずっとヴィルセリアに修行をつけてもらった。
漫画でどんな技があるか、どんなふうに使うか、それぞれの魔法などの威力。漫画に出てくる全てを記憶している私は、感覚さえ掴んで仕舞えばすぐに覚えられた。
前世と違い運動音痴ではなくなっており、体もものすごく自由に動く。
原作のルナフレアと違い、勉強もたくさんした。
そして8年の時が過ぎ、入学試験当日。
「寮生活大丈夫?」
「大丈夫だよ、」
「寂しくなったらいつでも帰ってくるのヨォ。」
「ヴィルセリア、魔界に戻っちゃうんでしょ?」
「魔界まで帰ってきなさい…」
「…」
「今、めんどくさいって思ったでしょ。」
「バレたか。」
「ふふ、行ってらっしゃい。」
「…行ってきます!」
私は彼女から荷物を受け取って、学校の方へ歩いて行った。
クライスト王立高校に、推しとの学校生活を送りに!!




