7 目覚め
よろしくお願いします。
◆◆◆◆
私は目を覚ました。
真上には長い葉が私を太陽の日差しから守っている。
私生きてる。なんで。海竜に食べられたはずなのに。
海竜の口が目の前に迫ってきたところまでは覚えているのにそれからの記憶が無い。
どうして私がこんなところに横になっているのかも。
寝たきりの体を起こして前を見るとそこには2体の海竜が居た。しかも目と目が触れ合えるほどの近さに。
あ、あ、あぁっ。
これは何かの罰なのだろうか。
折角命が助かったのに目の前の竜が私を凝視してくる。
私はすぐに気を失った。
◆◆◆◆
なぁ、こんなに近い距離で見るのはどうかと思うぞ。
それ言うの遅すぎないか?
俺はローラが目を覚まして嬉しくなり顔と顔が触れ合えるほど近づいてしまった。
そのせいでローラが気絶してしまった。
俺の馬鹿!
でも良かったでは無いか。
私に食われても生きていたのだから。
それはそうだけど、お前が食わなかったらこんなことになってないからな。
またしばらくローラが起きるのを待つしかないよな。
◆◆◆◆
また目が覚めた。
少し頭がズキズキする。
また起き上がると目の前には奇妙な光景が。
2匹の海竜が水を掛け合って遊んでいる。
私は食べられると思っていたのに一向にその気配がない。
このまま気づかれる前に逃げる?
でもそれじゃあ島の皆になんて言われるか。
お前は生贄にもなれないのかと蔑まれる?
でも私の気持ちに気づいた今はもう食べられたくない。
私はそーと島の中心に構えた家に戻ろうと歩みを進もうとした時。
ドシッドシッと地鳴りが起こった。
えっ。
音の方に振り返るとものすごいスピードで走ってくる一匹の海竜が。
うわぁぁぁ!
私は腰が抜けそうになりながら走ろうとしたけどぐるりと竜のしっぽが絡んできた。
ぐるぐる巻きにされ逃げられなくなった。
これはもう助からない。
諦めて死を覚悟して目を瞑った。
けれど一向に意識が飛ばない。
あれ。
ゆっくり目を開けると竜は私の目の前に顔を向けていた。
その口には何かくわえている。
ブルーフィッシュ?
竜の口には器用に加えられたブルーフィッシュが。
クイクイと顔を上下し私に近づけてくる。
私に?
ゆっくり両手で受け皿を作るとそこにピタッとブルーフィッシュが乗せられた。
この行動の意味がよくわからない私は呆然と立ち尽くした。
改めて竜の顔を見るとその目には一切の敵意も殺意もなかった。むしろなにか慈しむような…。
それから竜の拘束が解かれた。
まるでもう用事は済んだと言わんばかりに。
竜は後ろに振り返り海の方へと戻って行った。
◆◆◆◆
お前馬鹿だろ。なんであんなことをしたんだ。
お前があの娘に何かしても思いは届かないって言うのに。
戻ってきた俺に早速アザムが小言を言ってきた。
良いだろ別に。初めて会った人間なんだ。
無事を確かめてお見舞いにプレゼントをして何が悪い。
俺はムスッと返した。
まぁ、それがお前のやりたいことなら私は何も言わん。私には理解出来ん行動だがな。
だがあの娘は今後どうするんだろうな。
お父さんの口ぶりからしてここに来た人間は竜に食われないとダメなんだろう。
だが今回あの娘は食われなかった。
人間の事情は知らんがどうなるか。
俺もお前の話を聞いてから少し考えてローラの状況を見て思った。
多分あれは人柱。要するに生贄だ。
厄災やらなんやらを鎮めるためか、幸運を呼ぶのかは知らないけどその風習がこの島にはあるんだろうな。
その生贄に選ばれたのがローラだったって訳だ。
だからお前がローラを食べたのは間違ってなかったし、間違いでもある。
この風習は無くすべきだ。
お前も人間なんか食わなくても生きていけるんだろ?プロテクトフィッシュ食ってたし。
人間なんぞ好んで食いたい馬鹿はいるのか?
私はどちらかと言うと魚の方が好きだ。
今回に関してはお父さんに言われてやったまでだしな。
それにお前との約束もある。
なんにしてもどうしたもんか。
このまま違う場所に冒険に出てもいいけど
この場所での問題が解決したとは思えない。
ローラの今後も心配だし。うーん。
あ、そうだ。
グイッとアザムの顔を見た。
ん?何だ急に?
急に顔を合わしてきた俺に首を傾げるアザム。
お前ここの主になれよ。
えっ嫌だが。
なんでだよ。お前強いじゃん。
私の縄張りはここより少し遠い。
言っただろ、ここはたまの縄張りだと。
要するに頻繁にこの場所にはこんのだ。
じゃあその縄張り広げたらいいんじゃ?
うーん、広げすぎるっていうのもあれなんだよな〜…。
なんだか煮え切らない様子に
いいじゃん。広げちゃいなよ☆
と言ってみると。
うーん、わかった…。
その代わり、何かあったら責任とってもらうからな。
それなら引き受けてやってもいい。
なんの責任かはわからんが多分大丈夫だろう。
おーけ。何かあれば俺が責任を持とう。
トンと胸に手を当てる。
て言っても少し時間がかかるからしばらく私はここを離れるぞ。
その間お前はこの付近で過ごしておけ。
あの娘の事も気がかりだろうしな。
そういうと颯爽とアザムはどこかに行ってしまった。
またここで過ごすのか。
とりあえずアザムが帰ってくるまでの留守番だな。
でもこれじゃ前とあんまり変わらんないな…。
それからまたこの場所での暮らしが始まった。
ご覧いただきありがとうございます。
なんでか書いちゃったんだ…。




