6 海の底で
こんばんは。書き上げてきたぜ。
この はつけてないです。よろしくお願いします。
わーいわーい!
ローラを日陰に移動させて俺は海ではしゃいでいる。
わーい…ふん!
しっぽの先でバッシャーン!と海面を叩く。
叩いたところには海サソリが。
海サソリゲットだぜ!でも…でもッ!
サソリの毒針を腕に突き刺す。
ガリ…。
か、貫通しねぇ…。
進化前に使えた毒の点滴が出来なくなった。
ローラが寝たきりで1日が経っていた。
その間近くを離れる訳にも行かず出来ることをしようとして色々やっていたけど、出来ないこともあった、その一つがこれだ。
うーん、でも食べれば毒の回収は出来るか。
でもな〜痺れるんだよなー。
サソリの体はカニの味がして食える。
けどしっぽと尾の部分が毒でピリッと刺激的な味に…。
まぁ食べれるんだけどね!
にしてもローラ起きないなー。
あれから1日経ってるって言うのに。
アザムを倒してローラを助け出すことが出来た。
それからは寝たっきりのローラに付きっきり。
まだ起きなさそうだしもう少し海で潜っとくか。
ザブーンと波を立てて海中へと潜る。
進化したおかげか泳ぎにさらに磨きがかかった気がする。
スイスイと進んでいき俺はまた閃いた。
アザム食っちまうか…。
別に食べなくてもいいんだけどね。
だけどさ命を粗末に扱うのは違うかなーって。
なら食べてあげて成仏させてあげるのが日本人としてのあれじゃなかろうか。
なんやかんや言い訳をするが実際のところ食べてみたいだけだ。
少し深い海底をさまよってアザムを探すこと数十分。
お、居た。
未だに横たわってるアザムを発見。
近くまで近づきぐるぐると泳ぎ観察する。
死んでるんだよな?
「水竜撃」の一撃で倒したけど死ぬほどの威力があったのか初めて使ったから俺もわからん。
つんつんと体を突いても反応がない。
ただのしか…やめておこう。
安否確認も終わったしそれじゃいただきまーす!
アザムの腕を基ヒレを持ち上げガブリと噛み付いた。
するとアザムの目がかっぴらいた。
ギョロリと俺と目が合う。
……………………………。
……………………………。
しばらくして俺は静かに口からヒレを外してそーと海底に下ろした。
そのまま静かに海上に上がろうとした時。
おい、そこのお前。進化したということは喋れるだろう。
えっ。
アザムが喋りだした。女の声で。
よくも私の高貴な体に傷をつけてくれたな。
こっちへ来い。その喉食いちぎってやる。
俺は後悔した。食べてやろうと考えていた俺は逆に食べられるということを。
俺は少し考えた。
スキルに翻訳や他の生き物と喋れる特殊能力はない。進化したからこいつの言葉がわかるようになった?
そんなご都合主義が通っていいのか?
いいな、面白いし。
でもどう返事しようかなー。
喋り方を聞いてる感じめんどくさい系だ。
これは絡まれたら一生付きまとってくるタイプだしどうしたもんか。
貴様さっきから返事がないが私の言葉がわからんのか。
どうやら貴様は強さは一級でも脳までは賢くないようだな。アーハッハッハ!
おい、もう一度その腹に拳を食らわしてやろうか?
俺は半分冗談でドスの効いた声で威嚇した。
あ、えっと…、その…、わ、私が悪かった〜!
もうあの攻撃はやめてくれ〜!
ヒレをパタパタとさせてやめろーと命乞いを始めた。
うーん。
俺は思った。
こいつこんな感じだったの?
もっと威厳があって迫力のあるやつだと思ってたのに。
ていうか私って…。
もしかしてこいつ雌だったのか?
俺ずっと雄の竜だと思ってたのにちょっと残念。
うっ、オェェェェ!
ビチビチとアザムがまた吐いた。
おわっ!おま、急に何だよ。
急にゲロを吐いたアザムを見て一瞬ビビった。
ゲホッゲホッ。あー、気持ち悪い…。
お前のせいだからな。起きた瞬間からお腹が緩くて気分が悪いぞ…。
青ざめた顔をしたアザムの表情を見て俺も少しは悪いなと感じた。感じただけだけど。
それはお前があの女の子を食べたせいだろ。
俺が気にかけていた人間を食べた自分を裏め。
ていうかその前にお前進化前の俺を追いかけ回した挙句にこんなところまで飛ばしてくれただろうが。
そのお詫びはないのかなー?
ふんふんと俺も返してやった。
あれはお前が悪いだろ。あそこは私の縄張りだったんだぞ。
竜ならわかるだろ。他のやつの縄張りには踏み入るな。
もし踏み入ったら何をされても文句は言わない。
それが共通の認識のはずだ。
なのにそれをお前は破った。当然の報いだ。
ふんっと鼻を鳴らしてそっぽをむくアザム。
はいはい。じゃあお前死んでなかったし、ここでお別れな。じゃあな。
俺はローラの様子を見に行かないとと上に上がろうとすると前に進まない。
なんだと思って後ろを振り返ると俺のしっぽの先を噛んで進ませないようにするアザム。
なんだよ…まだ…
ちょっと、
アザムが言葉を濁し。
ちょっと、もうちょっとだけ一緒に居てくれ。
少し寂しそうな声色で俺を停めた。
◇◇◇◇
何だよ急に気持ち悪いぞ。
い、いいじゃないか。もう少し居てくれよ。
海底の底で寄り添う2匹の竜。
私はずっと1人だった。
生まれた時両親が居た。
父には狩りを教わった。
母には竜としての知恵を教えてもらった。
それから教えてもらったことを実践しながら仲良く暮らしていたのさ。
そんなある日目が覚めると両親の姿がなかった。
お父さん。お母さんどこー?
しばらく辺りを彷徨い続けた。
来る日も来る日も毎日毎日。
けど二人が見つかることは無かった。
それからは毎日が大変だった。
私は寂しさを埋めるために必死で強くなった。
一人でも生きていけるようにならないと、と。
それから私は進化を果たした、つい最近の事だ。
ある獲物を捕え倒した時眩い光に包まれた後自分の視界の高さにびっくりしたのも懐かしい。
そして進化してからしばらくだった頃、お前と会った。
でもお前俺を襲ってきたじゃん。
あれは言っただろ。竜同士の決まりだ。
いくら幼生の竜でもよそ者はよそ者。
追い払わないと行けなかったんだ。
それで竜巻でお前を飛ばした後ここに来た。
お父さんがこの時期になったらここに来て人間を食べるようにと言っていたからな。
アザムの話が終わり、俺はようやく口を開く。
なーるほどって話長いな!
要するに一人で孤独だったーって訳だろ?
それは俺もそうだし。ていうかお前よりハードモードじゃこちとら。
俺なんか生まれた時から完全だっつーの。
お前だけせこいだろ。両親の顔すら見たことないわ!
それともう人間は食べるなよ。
なぜだ?竜は人を食うものだろ?
ダメなものはダメだ。俺が許さん。
もしまた食べようとしたら…。
目の前に握りこぶしを見せびらかす。
わ、わかった。人間はもう食べない。約束する。
少し焦ったように首を縦に振った。
じゃあとりあえず上に上がろうぜ。
お前が食った人間の女の子が目を覚ましてるかもしれないからな。
わかった。うっ。すまんが手を貸してくれ。
まだ本調子じゃなさそうだ。
仕方ないな。お前の背中掴んで上がるからな。
こうして俺は食べてやろうとしたアザムと一緒に地上で待っているローラの元へと帰って行った。
ご覧いただきありがとうございます。
アザムとの会話に違和感があった人は評価お願いします。
次こそ考えてないからな!




