5 戦いの中で
よろしくお願いします。
◆◆◆◆
「グルルラァァァァアアァァ!」
その咆哮を聞きアザムは驚倒する。
この咆哮は竜族特有のもの。
アザムは気づいた。
この場所にアイツがいると。
少し前に竜巻に呑まれ空へと消えた竜の事を。
すると海面の波が激しく揺れ始める。
気づく頃にはもう遅い。
アザムの長い首を狙うように海竜が噛みついてきた。
倒すための攻撃じゃない、本気で殺しに来る者の攻撃。
アザムは必死で振りほどこうとするが全く解けず、むしろどんどん牙が深くくい込んでくる。
このままでは殺られると感じたアザムは竜巻を発生させ周囲の海水ごとこの竜を引き離す。
竜巻で発生した強風に邪魔されアザムの首元から牙を離した。
竜巻が消え空に放り出された竜が勢いよく落ちてきてバッシャーン!と水面に直撃した。
それでもさすがは竜。
衝撃によるダメージは無さそうだ。
それから少し睨み合いが続いた。
◆◆◆◆
やっぱりすぐには倒せないか。
アザムによる竜巻で海面へと叩きつけられた俺は体勢を立て直して正面での睨み合いの真っ最中。
俺もレベルが上がったことでアザムと渡り合えるだけの力は手に入れた。
でもそれはステータス値の面だけ。
こっちはクラゲやサソリのおかげで耐性は上だけど向こうみたいに「水魔法」や「竜巻」みたいな攻撃の手札がない。
さっきみたいに詰め寄って噛み付くのがせいぜい。
こっちの噛みつき攻撃でほんの少しだけダメージを与えれるだけ。
向こうは……。
アザムに向かって鑑定してみる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
種族:海竜アザム LV20
状態:出血(小)
HP:110/120(-10)
MP:130/150
SP:140/150(-10)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少しだけどダメージが入っている。
MPもさっきの竜巻で減ったんだろう。
これなら持久戦に持ち込んだ方がいいか?
いやそんなに時間はかけられない、忘れるな。アイツの中にはローラがいるんだ。
時間が経てば経つほど助け出せる確率が下がる。
なら一気に決めるのがいいに決まってる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
種族:海竜 (幼体) 名前:無し LV18
状態:出血(小)
HP:90/120(-10)
MP:130/130
SP:110/140(-10)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さっきの竜巻でかなりのダメージが入った。
けど自然治癒のおかげでちょっとずつ回復していってる。
これならダメージを受けても耐えられるはずだ。
俺は周囲に影響を与えるほどの波を発生させてアザムへと突撃を繰り返した。
アザムの首や背中、横腹、ヒレと場所を選ばずとにかく噛みつきまくった。
レベルアップした俺の攻撃はそれなりに効いてるようで甲高い声を上げながらバシャン!バシャン!と暴れまくる。
するとアザムのヒレに噛み付いていた俺を目掛けて「水魔法」のあの高威力のため技を繰り出してきた。
「キュイィィィ!バーン!」
放たれた高威力の水レーザーを避けることが出来ず、顔面に直撃。
「ガアアァァァアア!」
血が流れ、意識が朦朧として姿勢を保つことも難しくなった俺は海面を叩きつけるように倒れ海の中へと沈んで行った。
◇◇◇◇
静かだ....。
海中へと落ちていくさなかふと頭によぎる。
もう少しレベルを上げていたら。
もう少し作戦を練っていたら。
アイツと初めて会った時に決着を付けていれば。
朦朧とする意識の中ただただ後悔の念でいっぱいになる。
ふと目を開けると周囲が赤色に染まっているのに気がついた。
よく見ると魚達やブルーフィッシュがゆらゆらと力無く沈んでいた。
俺とアイツの戦いに巻き込まれた奴らだな。
ごめんな、俺達の戦いに巻き込んじまって。
わざと殺したわけじゃない。
必死で倒そうと戦った結果周囲の命を巻き添いにしてしまった。
今までの俺は食べる為に殺すことはあっても闇雲に殺したことは無い。
それは命の尊さを俺なりに理解しようとしてるから。
だけど今回は生きとし生きるもの達の命を奪ってしまった。
俺のせいで大量の命が奪われた。
何があっても関係ない命を奪っていい理由にはならない。
ならせめて…。
沈んで行く魚達やブルーフィッシュをボロボロになった体で泳ぎ、食べて回った。
せめて命が無駄にならないように。
パクッパクッと何十、何百匹と食べた。
これなら命が無駄にならないはずだ。
はぁー、もうちょっとこの世界で生きたかったけどもう終わりみたいだな。
案外楽しかったけど大変なこともあったしケイスバイケースってやつだ。
目を瞑り自分の死を待った。
ーーー
ーー
ー
《 レベルが上がりました》
《 条件を満たしました》
《 進化を開始します》
◆◆◆◆
アザムはしばらく身動き出来ないでいた。
体中から血が流れ落ち、少しでも動けば激痛が走った。
自分が逃したあの海竜がまさかここに行き着いていたとは思っていなかった。
ここは自分のたまの縄張りにしている場所。
アザムは体の傷を癒すため浜辺まで歩いていき横になる。
あの攻撃を食らったらいくら同種の竜でも致命的だろうと死んだことを確認しなかった。
それがアザムの命の危機とも知らずに。
すると突然海がざわめきはじめた。
海面が激しく揺れ津波が荒れ揺れる。
ザバァーン!と海底から姿を現した。
長い髭に威圧的な顔。蛇のように銅が長く神々しさすら感じられる。
誰だ?
先程の竜ではない。しかしどこか面影を感じる。
まさかっ。
さっき倒した竜が進化したのかとアザムは推察した。
まだ先程の傷は癒えてないが、ここで逃げれば戦いから逃げた竜として後世まで語り継がれるだろう。
そんなこと竜の誇りとして有り得ない。
ならば最後まで全力で戦って見せよう。
そう決め横になっていた体を起こし、海へと入っていく。
目の前の竜は進化前と比べて一回り巨大になっている。
自分と同等かそれ以上。
同じ海竜でも個体差があるのかとアザムは初めて知った。
自分が近づこうがまだ動かない。
正々堂々を狙っているのか。
バカバカしい。
竜なら竜らしく荒々しく襲っこい!
ザブーンと水中へと潜ったアザムは「竜巻」を発生させヤツにぶつける。
すかさず「水魔法」で致命傷を与えた水レーザーも同時に奴にぶつける。
2つのスキルを同時に使ったせいでごっそりMPを消費した感覚で体が重たくなったがアザムも余裕が無い。
先手必勝の一撃を食らわして早くこの争いを終わらせたかった。
だがアザムの水レーザーを受けたにもかかわらずかすり傷1つのおっていない。
化け物かこいつは。
進化したとはいえ先程通った攻撃が通らなく程の防御力を得たというのか。
ならもう一度と水レーザーの発射準備をしたところで奴が動いた。
長い体をうねらせ急接近してくる。
あいつが自分に接触するまでに放てば勝てると踏んだアザムは急いで発射したが、想定外の速度で迫ってくる奴の方が早かった。
奴は竜の手に何かを込めたあと自分の腹部に拳を放った。
馬鹿め。
水中での物理攻撃は威力が落ちる。
そう思っていたアザムは後悔することになる。
グガァッ!?ボエーッ
まるで腹の中が弾けるような衝撃を受けて腹に入っていたものが海中に飛び出した。
消化途中の魚や甲殻類、海藻など。
その中にはあの少女もいた。
アザムは初めて食らう攻撃の感触に驚愕して薄らとした意識の中ブクブクと海底に沈んで行った。
◆◆◆◆
俺は急いでローラを回収して砂浜へと寝かした。
良かったー。まだ消化されてなくて。
少しベトベトしてはいるけど皮膚が溶けた形跡もなくてほっとする。
にしてもさっきの俺の攻撃やばいな。
進化した俺は新しいスキルを手に入れた、それは「水竜撃LV1」というスキル。
試しに使って見た感じ衝撃波を放つって感じか?
何としても強いスキルが手に入ったことは素直に喜んでおこう。ウェーイ!
他にもスキルゲットしてたよなー。
改めてステータスの確認っと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
種族:海竜シドラ LV20
状態:通常
HP:150/150
MP:180/180
SP:180/180
攻撃力:130
防御力:200
魔法力:140
抵抗力:160
速度力:180
スキル
「鑑定LVー」「水中呼吸LVー」「水中眼LV-」「水泳LV7」「かみつきLV8」「威嚇LV4」「咆哮LV3」「暗視LV5」「麻痺耐性LV4」「毒耐性LV5」「自然治癒Lv5」「水竜撃LV1」「水魔法LV1」「海鱗LV1」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おー!ステータス馬鹿上がってるじゃん!
おっ?海竜の横の(幼生)なくなってるじゃん!
遂に俺も成体の竜ってことー?ヒャッハー!
これだけ上がってるならそりゃーあのアザムの攻撃も無傷で受けれるわけだよー。
新しいスキルも3つも獲得してるしまじ進化神。
でもあれだねー。
同じ海竜でもここまで違うんだね。
種族は一緒でも細かいDNAは違うってことかな?
同じ水生哺乳類でもイルカやクジラが違うのと一緒か。
とにかくアザムに勝ったお祝いと進化したお祝いで祝杯をあげようじゃないかー!フハハハハハ!
それから近くの水辺でご飯を捕まえながらローラが目覚めるのを待った。
ご覧いただきありがとうございます。
これでひとまず区切りです。
なんせここまでしか書いてなかったから…。
新規エピソードなんて書いてないのさ!フッハッハ!
すみません。次回の話で続き書くか考えます。




