突然「あなたが生贄です」と言われても困る(5)
ちょ、ちょっと待って!
これは似合わない!
「水色の国」と「私の部屋」は似合わない!
と、思ったところで
「私の部屋]はフッと消えた。
『貴方様の意識が映像化する事があるのです。
これもコントロールできるようになります。』
え?でもそんなのややこしくない?
何の意味があるの?
『それはまたご説明する時が来るので』とライルは言ったまま消えて(!)しまった。
とにかくぼんやりとした世界なので、何も掴めない。
今まで見た「お城」もライルでさえも実在するのかわからない。
だってさっき見た「私の部屋」が、私の「意識」なら、お城だってライルだって「私の意識」かもしれないではないか。
『それはありません』
来た!脳内ライル!いや、ライン!
『「仮の国」の映像は、貴方様の意識の反映ですが、こちらでご覧になるものはこちらのものでございます。』
なるほど。
って、わからないけど分かった感じ。
「私の部屋」が出て来た空間は「水色の国」における「私の部屋」だった。
これもやっぱり物語に出てくるような「洋風」
「大きな窓」「綺麗なカーテン」「天蓋付きのベッド!!!」
びっくり!びっくり!びっくり!
「天蓋付きのベッド」なんて!
やっぱりお姫様だ!
と、1人で(脳内で)はしゃいだ。
『こちらにおいでになる間は、このお部屋をお使いください。』
「わかりました。」
「でも何だかここって、いわゆるヨーロッパの中世の時代みたいですね。」
『そうですね。あの頃はほとんどがこちらの国の方が強かったので。』
「え?強い?」
『はい。少しずつ「仮の国」の方に住む事を選ぶ者が増えていったのです。』
「!!!」
「え?混じっていたんですか?」
『そうです。』
「それはみんなが、つまり地球上の人類が認識していた事なのですか?」
『ある者は認識し、ある者は認識できませんでした。』
「それで?」
『はい。静かで強い争いをしたのです。』
「争い?戦争ですか?」
『ある意味では戦争ですが「仮の国」のような武器を使うものではありません。』
んーー。
武器を使わないのはいいけど、
静かっていうのが、それはそれで何だか不気味。
『例えば、ジャンヌ・ダルクは認識できました。』
うっわ!
ビッグネーム出た!
「でもジャンヌ・ダルクは戦いましたよね?
武器を持って。」
『はい。それは彼女の「仮の国」での「やるべき事」でしたので。」
「じゃあ、ジャンヌ・ダルクが処刑されたのは?」
『はい。生贄です。』
!!!!!